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第九十一話 勇者ぬしま

『この船速いね!(くぬふにぬふぇーさぬ!)』


「だいぶくだけてきたな」


「テンション振り切れてる」


「切れてしまわないでしょうか?」


『「張りすぎた弓は引けない」と云うからのう』


「ことわざ?」


「なにごともやりすぎたりムリをしすぎると目的が達成できなかったり失敗したり、場合によっては壊れてしまうということわざですね。限界を知り適度に加減することが大切という教えです」


『ウニナーでは「音痴は弦をあまり張りすぎて切る」と言うな(うになーうてー「ふぃじゃいぬーでぃーやつぃるどぅくちゅーみすぃじてぃちゆん」でぃどぅゆる)』


「本当にそんなことわざあるのか?」


『だれが音痴ですって?(たーがふぃじゃいぬーでぃーやら?)』


「ぐるう」


「あ、島が見えてきたよ。あれかな?」


『おお、あれだ。あれがおじいさまの島だよ(あー、ありどぅやる。ありがたんめーぬしまやさ)』


『あれが勇者の島……(ありがゆーしゃぬしまやら……)』


「あ、あそこに船がいるよ」


「詐欺師が乗って逃げた船ですね」


『この島に逃げ込むとはふざけたやつめ!(くぬしまんかいふぃんぎんちゅしぇーでーちれーどぅやる!)』


「そういえばあいつ島の宝がどうとか言ってたよな」


『宝を盗むつもりとか?(むしかたからぬすまんでぃ?)』


『宝? そんなものあったか?(たからんでぃ? うぬぐとーるーぬあてぃー?)』


「どっちにしてもこれ以上は逃げられないでしょ?」


「袋のネズミだな」


「船に乗った桃太郎ではないですか?」


『なんでわしを引き合いに出すんじゃ』


「ぐる」


「着いたよ」


「詐欺師は影が追跡していますが、泳がせて目的を暴きましょう」


「まずは島を案内してくれ」


『あそこに屋敷が見えるだろう。以上だ(あまんかいやしちがみーら。なーやん)』


「だめだこりゃ」


「屋敷以外になにがあるの?」


『畑があるぞ。川もある。魚は海で獲ったほうがいいが(はるどぅある。かーらんあん。いよーうみばたうてぃとぅいしぇーましやしが)』


「もっと教えて」


『まずは屋敷に行きましょう(まじぇーやしちんかいいちゃびら)』


「そうですね。詐欺師も屋敷に向かったようですし」


『なにか隠してあるのかのう?』


『宝がとられちゃう(たからぬどぅとぅらりてぃねーんぐとぅないら)』


「なんかこの島のおもしろいところはないの? 秘密の洞窟とか」


『屋敷の地下から舟に乗って海に出られるぞ(やしちぬゆかしゃからふにんかいぬてぃうみんかいんじらりーんどー)』


「おいそれを早く言えよ」


「ネズミを入れた袋に穴が開いていたようですね」


「桃太郎の乗った船に穴が開いていた?」


『それはいやじゃのう』


「屋敷に着いたぞ。どっから入るんだ?」


「玄関には鍵がかかっているようですよ」


『その辺から入ればよかろう(まーりかーからんいれーゆたしゃが)』


「さすが自分ち。平然と雨戸ぶち抜いたぞ」


「詐欺のおじさんどこにいるんだろう?」


「こちらです」


『自分の屋敷を案内されるのはとても奇妙だな(わーやしちさちだちさりゆしぇーどぅっとぅみゅーやさ)』


「影の人たちはどこから入ったんだろうね?」


「それを言うならあの詐欺師もどうやって入ったんだ?」


『鍵を持っとるんじゃろ』


『そういえば鍵もとられたな(あんゆしぇーさーすぃぬっくゎんとぅらりたさ)』


「だめだこいつ……」


「この奥の部屋のようです」


「なにがあるの?」


『おじいさまの部屋だ(たんめーぬざしちどぅやる)』


「御用だ!」


「そうだけど」


「トラ様、飽きたんですね?」


『だれもおらんぞ?』


「影は?」


『その(ふすま)の奥に地下への階段があるぞ(うぬふつぃまぬうーくうてぃゆかしゃかいぬきざいぬあさ)』


「おお押し入れかと思ったら」


「影がちゃんと灯り用意してくれてるけど、まるでだれも通ってないかのように装う必要ある?」


「虎彦がそれを言ったらおしまいだろ」


「影が泣いてしまいますよ」


『追跡を楽しむ演出なのかの?』


「演出とか言い出したら影がかわいそうだろ」


「よし気づいてないふりしようね」


「もう全部聞こえてますけど……」


「この階段どこまで続くの?」


「結構深いな」


『海までだ(うみまでぃやさ)』


「それはそう」


「俺なんでこいつに聞いちゃったんだろ……」


「あと百段ほどですよ」


「やっぱナビはエドさんにまかせよう」


「暗黒騎士団長だからな」


「タツ様、あとでお話があります」


「ごめんなさい」


『あ、見えた! あいつよ!(えーみーたん! あぬひゃーどぅやる!)』


「気づかれたぞ」


「もう舟に乗ってる!」


『間に合わんかのう』


『あの野郎! 生かしておけん!(あぬひゃー! いかちぇーうからん!)』


「海に飛び込んだぞ」


「でも舟には追い付けないよ」


「がるう!」


「チョコちゃん!」


「ウニチビの頭を使ってジャンプ!」


『ぶくぶく(ぷーるぷーる)』


『あきさみよー! くぬゆちあしひゃー! くーんな! あっかーっ! たしきてぃくぃれー!』


「カオスだな」


「とりあえず一件落着」


『いやまだしとらんじゃろ』


「舟をこちらに寄せましょうね」


「勝手に寄ってくるように見える」


「影の人たちすごいね」


『あの、ウニチビさん、ぶくぶくしてましたよね?(えーたい、うにちびぬさとぅぬしぬぷーるぷーるーそーてぃー?)』


「いっしょに連れてくるだろ」


「いえ忘れてました」


「この短時間に?!」


「冗談ですよ」


「目が笑ってない」


「まずはあいつを縛り上げて袋詰めにしようか」


「もうこれ以上泳がす意味もないですしね」


『それは私のことか?(うれーわーくとぅやみ?)』


「自力で上がってきたね」


「まだ泳いでてもいいぞ」


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