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おまけ後編

おまけというかもはや本編(長い)。


みなさんの翻訳魔法にさらに翻訳をかけますので字幕付きでお楽しみください。

間に古文をはさむとわかりますよね(強制)。

意味がわかりやすいように漢字を混ぜて、直接対応する語がないかまたはわかりにくい場合は[]で意味が通る言葉を埋めておきます。


『ん? ぬーやが?』

→む? なにであるか?

→ん? なんだ?


『ぬーあびとーが?』

→なに()べて居るか?

→なに言ってんだ?


『あーありなー。たーがやがんわからんしがしーがねーっしいーふぃるぎとーんどー』

→あああれな。誰がやかもわからぬとが[いやがらせ]して言い広げて居るぞ。

→あああれな。だれだかもわからないがいやがらせに言いふらしてんだよ。


『わんねーわっさるくとーびっちぇーんぐゎーそーんどー』

→我には悪さあることは[ほんの少し]し居るぞ。

→俺は悪いことはほんの少ししかしてないぞ。


『ぬーんでぃちわかたん? っちゅぬじゅしぇーわーがいっちんじょーじやんどー』

→なんと言ってわかりたり? 人[騙す]とは我が[一番]上手であるぞ。

→なんでわかったんだ? 人をだますのは俺が一番うまいんだぞ。


『てぃーべーさるむのーありやあらに?』

→手早さあるものはあれではあらぬ(疑問)?

→乱暴者はあれじゃないか?


『やないーさんけー。わんにんちゃーぬじぇーうらんどー』

→やな言いせず居けや。我にも[いつも騙して]は居らぬぞ。

→人聞き悪いな。俺だっていつでもだましてるわけじゃないぞ。


『たっくるしゅんどー! むるくーしゅんどー! たーやが?!』

→叩き殺し居るぞ! (もろ)壊し居るぞ! 誰であるか?!

→なぐるぞ! 全部壊すぞ! だれだ?!


『やなむんぬふぇーしたてぃてぃさきうぃーっしばくちゃうっちむるくゎーりてぃ、とぅがくゎーちあやーたーりーにみーちらりてぃ、わんじょにんぬかりてぃ、しくちんふぃまんじゃさりてぃ、やーかざいむるうしなてぃやーまでぃーっし、なーちょーしーんねーくとぅ、あんやらーわんぬじゃるあぬひゃーたっくるちわんにんくびりらんでぃうむてぃ』

→やな者の囃し立てて酒酔いして博打打って諸喰われて、咎喰らひて[母様父様]に見切られて、我無蔵にも逃かれて、仕口も暇出だされて、家家財諸失ひて家惑いして、いまや[一食分の食べ物]もないこと、[そう]であらば我[騙し]をるあの[野郎]叩き殺して我にも縊りらむと思ひて。

→悪いやつにおだてられて酒に酔わされてギャンブルで全部取られて、勘当されてかあさまとうさまに見捨てられて、彼女にも逃げられて、仕事もクビになって、全財産なくなって路頭に迷って、もういま食べるものもないから、それなら俺をだましたあの野郎をぶちのめして俺も首くくろうと思って。


『あぬひゃーくぬひゃーくびりくるさ』

→あの[野郎]この[野郎]縊り殺さむ。

→あの野郎この野郎絞め殺してやる。


『うぬひゃーやわるむんやんどー……あんしちゃーすが……』

→その[野郎]は悪者であるぞ……[そうだが]如何(いか)するか……。

→そいつは悪者だぞ……でもどうするか……。


『くれーたんめーぬつくたるうぶんぬぐとーん。なつぃかしゃぬ』

→これは[お爺様]の作りたる御盆の(ごと)あり。懐かしさあるの。

→これはおじいさまの作ったごはんみたいだ。なつかしい。


『くゎっちーしゃびたん。ちゅふぁーらかだん。くぬぐうんちゃぬぐとぅっしけーししぇーゆたしゃがわからん』

→喰らわしてし侍りたり。一腹(ひとはら)噛みたり。この御恩如何の如して返しすれば[よろしい]かわからぬ。

→ごちそうさまでした。腹いっぱい食った。この御恩はどのようにして返せばよいかわからん。


『わーがわっさ。あひゃんがれーっしてぃべーとーたしぇーわっさしゅんどー』

→我が悪さ。[やけになっ]て手早りて居りたとは悪さし居りむぞ。

→私が悪い。やけになって狼藉を働いていたのは謝るぞ。


『ぐぶりーさびら。しだるさらーさぎやびら』

→御無礼し侍らむ、済みたる皿は下げ侍らむ。

→失礼します。済んだお皿お下げします。


『ぬーがたがら?』

→なにが違はむ?

→なにが違う?


『くぬやどぅぬっちゅやみ? くゎっちーしゃびたん。むるまーさくとぅかふーしやたさ』

→この宿の人である(疑問)? 喰らはしてし侍りたり。諸美味さあること果報しでありたるさ。

→この宿の人か? ご馳走様でした。すべてうまい、礼を言う。


『あい、にふぇーでーびる。……くぬっちょーぶんぬあるっちょーあいびらに?』

→[まあ]、()(はい)ぞであり侍る。この人は分のある人ではあり侍らぬ(疑問)?

→まあ、ありがとうございます。……この人は身分の高い人ではありませんか?


『やしがあんぐとぅはごーぎさるっちゅぬじぬんむっちぇーうらんしぇーふぃるまさぬ。かにぬはんでぃとーるぐとーいびーん』

→であるとがあの如く歯痒(はがゆ)[らしい]人の(ぜに)も持っては居らんとは怯ましさあるの。(かね)の外れて居る如あり侍り居り。

→だけどそんなに汚らしい人でお金も持ってないのはとても怪しい。常識がない/頭がおかしいみたいです。


『いーひゃー、あしひゃー!』

→ええ[野郎]、そうだ[野郎]!

→ああそうだよ!


『あきさみよー!』

→[きゃあ!]

→きゃあ!


『わーがむんぬあてぃぬねーらんしどぅしっちょーる。わかとーさ』

→我が物の当てのないことぞ知って居る。分かって居るさ。

→私が分別のないことは知っているぞ。わかっているよ。


『わーがわっさ。うさんなむんにうまーりてぃんじふぃねーむん、ちゃーしんいじぬすぃじららんぐとぅなとーん。くぬぐとぅふぃんちしゅしぇーふぃんやっさ』

→我が悪い。胡散な者に思われても是非ないもの、如何しも意地の過ぎられぬ如なって居り。この如変気し居とは変であるさ。

→私が悪い。疑わしいものに思われてもしかたないのに、どうしても怒りが収まらないようになっている。こんな風に機嫌が変わるのはおかしいな。


『わんにんぐぶりーさびら。あねーいやんむんやいびーたん。やなむにーっしねーくとぅわっささびら』

→我にも御無礼し侍らむ。あの様言わぬものであり侍りたり。いやな物言いしてないこと悪さし侍らむ。

→わたしもごめんなさい。あんな風に言うべきではありませんでした。いやな言いかたしてごめんなさい。


『わんねーうにつぃびんでぃいゆるむんどぅやる』

→我には鬼末(おにつび)と言ふものぞである。

→私は鬼末(おにつび)というものだ。


『あんやさ』

→[そう]であるさ。

→そうだ。


『むしかゆーしゃぬあとーあいびらに?』

→もしか勇者の跡ではあり侍らぬ(疑問)?

→もしかして勇者の子孫ではありませんか?


『ゆーしゃぬなーじきーやなめーんかいうにぬちちゅくとぅやいびーんどー』

→勇者の名付けは名前向かい鬼の付き居ことであり侍り居るぞ。

→勇者の名付けは名前に鬼が付くからですよ。


『やさ。わーたんめーぬゆーしゃどぅやたっさ』

→であるさ。我大人前の勇者ぞでありたるさ。

→そうだ。私のおじいさまは勇者であったぞ。


『たんめーやうにまるやたっさ』

→[お爺様]は鬼丸(おにまる)でありたるさ。

→おじいさまは鬼丸(おにまる)だったよ。


『うめーやうわーちみしぇーびてぃい? むしか……』

()(まへ)は御歩きして召し侍りて(疑問)? もしか……

()(ぜん)はお元気でいらっしゃいましたか? まさか……


『にじゅーにんあたいめーうてぃみーくーてぃーしゃん』

→二十年辺り前居りて目[閉じて]してあり。註:みーくーてぃーは幼稚な言い方

→二十年くらい前に起きなくなったよ。


『あぎじゃびよー!! みしなーく……』

→[いやあああ!! なんてこと……]

→いやあああ!! なんてこと……


『うぇーんうぇーん、うやふぁーふじがなしーめー』

→うぇーんうぇーん、[父祖様]

→えーんえーん、ご先祖様


『なくな。なかんけー』

→泣くな。泣かず置けや。

→泣くな。泣くな。


『い~、くれーちゃーしゅが? はごーさぬ』

→ええ、これは如何し居が? 歯痒さあるの。

→ああ、これはどうしたらいい? じれったい。


『えー、んかしんかし、たんめーややまんかい……』

→おい、むかしむかし、おじいさんは山向かい……

→おい、むかしむかし、おじいさんは山に……


『ゆたから「あまからいふーなっちゅぬくーわゆーしゃやんどー」んでぃいやりとーたるとぅくるからわーたんめーぬあったにんじちょーたくとぅんでぃわーたんめーからちちょーん』

→与太から「あ間から異風な人の来らば勇者であるぞ」と言はれて居りたるところから我[お爺様]の[突然]出でて来居りたことと我[お爺様]から聞き居り。

→ゆたから「あそこから変わった人が来たら勇者だぞ」と言われてたところから私のおじいさまが出てきたんだっておじいさまに聞いた。


『ふぇーくからあんいゆるちてーぬあたんでぃやりとーいびーん』

→早くから[そう]言ふ伝へのありたりと言はれて居り侍り居り。

→むかしからそういう言い伝えがあったと言われています。


『さーだかさるっちゅぬくとぅやいびーんたい』

→[霊力]高さある人のことであり侍り居る(女性丁寧語尾)。

→霊力の高い人のことですよ。


『ゆたぬゆしぐとーゆーあたいびーくとぅ』

→与太の寄せ言はよく当たり侍ること。

→ゆたの忠告はよく当たりますから。


『たんめーやゆーしゃぐとーるふぃるましーむのーあらんでぃちゃーいゆたしが』

→[お爺様]は勇者如ある怯ましいものではあらぬと[いつも]言居たとが。

→おじいさまは勇者のようなおかしなものじゃないといつも言っていたが。


『「ちねーやわんぬたから」んでぃ』

→「[家庭]は我の宝」と。

→「家族は私の宝」と。


『うね、かちつぃきんでぃゆしぇー「いふーなっちゅぬいめーたるとぅちねーくりみしり」んでぃいやりたるかちつぃきぬあたんやー』

→[そうだ]、書付(かきつけ)と言居とは「異風な人のお見えたる時にはこれ見せろ」と言はれたる書付のありたるや。

→そうだ、文書といえば「変なやつが来たらこれ見せろ」って言われた文書があったんだ。


『いったーやむるふぃるましゃぬ』

→[おまえ]たちは諸怯ましさあるの。

→おまえたちは完全に怪しいだろうが。


『あい、やんけー』

→[まあ]、言はず置けや。

→まあ、言っちゃダメよ。


『わんねーうむてーういびらんどー』

→我には思っては居り侍らぬぞ。

→わたしは思ってませんよ。


『あれーしまんかいあんどー』

→あれは島向かいあるぞ。

→あれは島にあるぞ。


『ちーべーさぬ』

→気早さの。

→気が早い。


『ゆーしゃぬしまんかいいちゃびーみ?!』

→勇者の島向かい行き侍り(疑問)?!

→勇者の島に行くんですか?!


『ぬーぐとぅやいびーが?!』

→何事であり侍るか?!

→なにごとですか?!


『うー、……変なの(うがんちゅみいびたん)』

→[はい]、……拝み留め侍りたり。

→はい、かしこまりました。


『どういうこと? これでいいの?(はなしびけーんっししまびーみ?)』

→話ばかりして済み侍り(疑問)?

→話すだけでいいのですか?


『そんなことよりわたしも勇者の島に行きたいよ(なりゆんでぃ?)』

→慣れ居ると?

→慣れるって?


『行きたいのならついて来ないか?(いちぶしゃんでぃいらーうーてぃくーに?)』

→行き欲しさあると言はば追ひて来ぬ(疑問)?

→行きたいのならついて来ないか?


『え? 行ってもいいの?(あい、どぅーぐりささびーくとぅ……)』

→[まあ]、胴苦しさし侍り居ること……

→まあ、恐縮/むずかしいですから……


『そんなこと言ってあとからよそで変な評判流す客いるからね(あんしぇーないびらんくとぅ)』

→[そんな]は成り侍らぬこと。

→そうはいきませんから。


『なにも言うな(むぬやんけー)』

→もの言はず置けや。

→なにも言うな。


『行きたい!(えーたい、うやぐみさあてぃんわんにんしまんかいいちぶさいびーしが、じゅんにゆたさいびーみ?)』

→[あのう](女性丁寧語尾)、[恐れ多いけれど]も我にも島向かい行き欲しさあり侍り居るとが、純に[よろし]さあり侍り居り(疑問)?

→あのですね、恐れ多いですがわたしもしまに行きたいのですが、本当によろしいのですか?


『ああ、いいぞ(い~、ゆたしゃゆたしゃ)』

→ええ、[よろし]さ[よろし]さ。

→ああ、いいぞいいぞ。


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