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第五十七話 町と魔法の腕輪

「ところで俺たちは転移で渡ってきたけど影たちはついて来れてるのか?」


「ええ大丈夫です。普通に馬車の転移陣を使って移動してますから」


「うわあ、いつの間に。気づかなかった。そういう使いかたもするんだ」


「でも町に着いてもあまりお役に立てないかもしれませんね」


「あー、言葉が通じないからな」


「あのかたが特殊なわけではないならそうでしょうね」


「ひごっどん、森から出たよ。この道で合ってる?」


「おお、わっぜはえかもんじゃ。こわまこちらっじゃっど。あっけたけきのみゆっがじゃろ? あんむこうじゃ」


「だって。楽しみだなー」


「だってって言われてもなにもわからんけどな。道は合ってるのか?」


「あの木の向こうらしいよ」


「よくわかるな」


「慣れれば簡単でしょ。辰巳も慣れたらいいよ」


「慣れるってのは自由意志でできることじゃないだろ」


「わたしも少しは慣れてきましたけどたぶん三割もわかっていませんね」


「不思議だねー」


「ぐるう」


「チョコもわからないよな?」


「わかってるよ」


「なにか言葉とは違うものがあるんでしょうか……」


「まあそれでいくとこのなかでは俺が一番言葉じゃないなにかで理解してることになるんだが」


「辰巳はチート特殊能力だもんね」


「チート言うな」


「そういえばどういう仕組みなんでしょうね」


「謎でしかない」


「異世界チート」


「チート言うな」


「まってかおはんどんどっかあおいやったんじゃっとな?」


「死の渓谷の向こうからだよ」


「あんたんのこっじゃろかい? きもんふとかね。あっこからおいやったしなんだはいめっじゃっど」


「そうなの?」


「たっどんあつよかっせえな」


「辰巳は強いよね」


「急になんの話だ?」


「急じゃないよ?」


「ところであの木も越えたしもうそろそろ着くのか?」


「まだなにも見えないね」


「どうやらこの先にそこそこの町があるようです」


「おお、影さん仕事が早いねえ。頼りになる」


「冒険とは」


「さすがに初めての土地ですから慎重になります」


「あっこまがいっせえまっがすっみゆっど」


「あそこを曲がれば町が見えるはずです」


「エドさん、ひごっどんと同じ説明してる」


「……難しいですね」


「エドさんがこんなに困った顔してるの初めてじゃないか」


「オレも初めて見たかも」


「ないごてそげんこまっちょっとな?」


「そういえばひごっどんは困ってないよね。なんで?」


「ああ、こっちはこっちの言葉で話してるのに普通に通じてるな」


「影の話でも、町で話しかけると普通に返事をしてくれるのですが、向こうの言ってることはわからないそうです」


「一方通行なのなんで?」


「ああ、おいどま翻訳魔法ばつこたくっせえどしこむごかなまいでんきっとれっせえよ」


「ええ……」


「なんて? 翻訳魔法?」


「みんな翻訳魔法使ってるからひどい訛りでも通じるんだって」


「ええ……」


「お互いに翻訳魔法を前提にしていると??」


「よそむんがきっせえしゃべくっこっがわからんとっがうえっせえ翻訳魔法ばつこごたっないじゃらい」


「よその町の人とも言葉が通じないんだ」


「頭が痛くなってきました」


「お、着いたみたいだぞ。あれがひごっどんの町か」


「そっけとめっせええさっばしょごたっ」


「あ、その辺で止めてって」


「門番に挨拶するのでしょうか? わたしたちも挨拶しておきましょう」


「こら! フィゴッドさあ! そんくいまあないごて……」


「急に怒られたぞ」


「怒ってないよ」


「こんしあおいのいのっばすくっもろたおきゃっさあじゃっど」


「そやいのっのあっなかこっがあったちゆっこっじゃろけ?! じゃっでおいが……」


「わやいっもそげんせっきょばっかい」


「まあまあ、ひごっどんも一人でふらふらしてたら危ないよ」


「なっ?! そげっ…………じゃっど!」


「でも一人で自由に冒険したい気持ちもわかってあげなよ」


「じゃがじゃが!」


「まったくなんの話で盛り上がってるのかわからんな」


「ちょっともめているようですけど大丈夫でしょうか」


「二人は仲良しだから大丈夫じゃない?」


「なんか言い合いしてるけど」


「喧嘩するほど仲がいいって言うじゃん」


「変なもめごとじゃないならいいか」


「こん腕輪ばしっせえ翻訳魔法がつこゆっごっなっでごれにさっしゃぐいもそ」


「ん? なんだ?」


「お礼にこれくれるって。翻訳魔法が使えるようになるらしいよ」


「マジか?!」


「それは大変助かりますが、いただいてよろしいのでしょうか」


「とりあえずつけて」


『魔法の使えない人ってのはいるからねえ。それはそういう人用に町で余分に用意しているものなんだよ。ほかの町から訪ねて来た人に貸したりしていたもので予備もあるものだから気にしないで使ってくださいな』


「?!」


「わかりますね」


「あんまり変わらないけど?」


「ぐる?」


「チョコの言ってることはわからないなあ」


『そりゃあそうでしょう』


「やっぱわかるのはオレだけか」


『え? わかるんですか?!』


「虎彦が規格外なのはわかった」


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