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第五十話 勇者チーム2

「おい、大変だ! 勇者が来たってよ!」


「え? 勇者様? ってあの勇者?!」


「おい、聞こえるぞ。あいつ地獄耳なんだから」


「お姫様も来てるの?」


「そりゃそうだろう。いつもいっしょなんだから」


「それは何十年もまえの話じゃない」


「まだべったりらしいぞ」


「あらうらやましい」


「でもなんだか勇者が増えたらしいぞ」


「なんですって? もしかしてお子様?」


「そうじゃねえんだ。いや、そうなんだが、そのお子の友人の両親とかいうのが勇者夫婦といっしょになって暴れてるとか」


「なにそれ? 変な噂か偽勇者の詐欺かなんかじゃないの?」


「それがどうも本物らしいんだよ」


「ならもっと(たち)悪いじゃないの」


「だからそれがいま来てるって話なんだ」


「あら大変! 宝物は隠さなきゃ!」


「つぼやタンスはやめとけよ」


「わかってるわよ。それに割れないつぼしか置いてないわ」


「ドアにもかぎかけとかなきゃな」


「ダミーのやくそうでも仕込んでおこうかしら」


「そういうので満足して帰っていくからな」


「なんか出さないといつまでも荒らされるもの」


「盗賊でももうちょっとマシだよなあ」


「隣なんか大事にしてた花瓶も割られるし、亡くなったお母さんからもらった指輪も盗られたらしいわ」


「大体王様はお姫様盗られてるからな」


「怖いわ。どうしましょう」


「あのーこんにちは」


「きゃあっ」


「なんの用だ、勇者」


「ごきげんよう、みなさま」


「うわ、お姫様、えーと、ごきげん、よう?」


「あ、こちらケンさんとジュリさん、うちのチームメンバーだ」


「どうも」


「よろしく~」


「はあ」


「ご挨拶にやくそうを配ってます」


「どうぞ~」


「え? あら、どうも」


「その、もうつぼとか割ったりしないので許してください」


「はあ」


「たしかここはたいしたものがなかったわ」


「なんですって?」


「あ、違うの。手元に残ってたアイテムは返してるのよ。お隣には指輪を返したし」


「売っちゃったりしたのはどうしようもないけど、代わりのものかお金で返してるんだ」


「改心したってのか?」


「あのころは魔王を倒すために必要だったってのは言い訳なんだけど、ちょっとやらかしたかなと思って」


「まあ魔王を倒してくれたことには感謝してるさ」


「そうね。魔王を倒す対価と思えばいいわ。どうせたいしたものもないしね」


「ごめんなさい」


「お気に障ったかしら」


「今日一日は勇者チームが無料でこの町の依頼を受けるからなんでも言うといい」


「あら、それなら裏の畑でもぐらとねずみが出てずっと困ってたのよ。お願いするわ」


「あ、そういえば屋根が剥がれて雨漏りするところがあったな」


「もしこのあと隣村にも行くならお母さんに手紙を届けてほしいわ」


「最近雨が少なくて溜め池の水が減ってるんだ。溜めておいてくれないか」


「うわあ、いっぱいクエストが来た」


「嬉しそうね、勇者様」


「これがやりたかったんだ」


「わたしは商人だ。なにか要らないものがあれば買い取るぞ」


「なんかえらそうな商人ねえ」


「この辺のガラクタなら持っていっていいぞ」


「ふむ。持っていこう」


「わ、なくなった!」


「ほかにはないかな?」


「それじゃあ、裏に切り倒した木があるんだけど、それもいい?」


「うむ。いいぞ」


「助かるわ」


「なんか勇者って感じするな」


「そうかしら~」



*****



「なんか風の噂で聞いたんだけど、勇者チームがあちこち回って庶民のおつかいクエストをこなしてるらしいぞ」


「またなにかやらかしてなきゃいいけど」


「影の噂ではわりとまじめに人々の役に立つ仕事をしているようですよ」


「そりゃよかった」


「ただ気になるのは、えらそうな商人に根こそぎ持っていかれたとか、なんでも必要なものがそろっているのはいいんだけど圧が怖くて買ってしまったとか、冒険者の仕事がなくなったとか、付近の生態系が変わったとか、踊り子に貢いで破産しかけたとか、ちょっとよくわからない話があることですね」


「……すごく気になるな」


「先生もいっしょに行ってるはずなんだけど、噂になってないの?」


「影によると、すごく気配を消してる、だそうです」


「あー、わかる」


「もうちょっとがんばって止めてほしいよね」


「ムリだろ」


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