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第四十四話 先生召喚

「先生久しぶり~」


「よく来る気になったな」


「あのさー、おまえの父ちゃん怖すぎだろ」


「そうか?」


「あそこでチョコちゃんとたわむれてるけど」


「はいしか言わせてもらえなかった」


「どんな?」



*****



「牛頭武士、先生、本日は異世界での仕事を依頼するにあたっての面接を行う」


「い、異世界? ですか?」


「そこから説明が必要かね?」


「あ、はい」


「はあ、まえにも説明したはずだが……まだ現実を受け止められないのか?」


「あ、じゃあ結構です」


「異世界の魔物についての研究を任せたいのだが、君が大学で学んだことについてアピールしてくれ」


「あ、アピール? えっと、生物の活動による生態系への影響について研究していましたが」


「それから?」


「そ、それから? え、えーっと、研究室で飼っていた動物の世話をしていました」


「それで?」


「あの、これってなんの面接なんですか?」


「ヘッドハンティングだが」


「へ?」


「給与は月金貨三十枚支給だそうだ。日本で換金すれば五百万円相当程度だが、興味はあるかね?」


「はい! やります!」



*****



「結局金じゃん」


「教師の収入なめるなよ」


「金貨三十枚なら約一千万円くらいか?」


「五百万じゃないの?」


「日本で使えるように換金したらね。こっちの物価でいえば一千万くらいの価値」


「あとワイバーン串食い放題って言ってた」


「それで釣れるのか……」


「はいワイバーン串」


「おおおこれこれ会いたかった」


「ぐるう」


「ザンネンだねえ」


「先生にチョコたんを紹介しよう。至高の毛並みを持った異世界猫様だ」


「ぐる」


「ザンネンだねえ」


「これが、猫? どう見ても」


「猫だよ」


「猫様だ」


「あ、はい」


「親子の圧がすごい」


「ぐるぐる」


「チョコちゃんもそう思うよね」


「やっぱそうだよな。俺がおかしいのかと思ったぜ」


「ん? 先生もしかしてチョコの言ってることわかるのか?」


「なぬ?! チョコたん語がわかるだと!」


「へ? だってしゃべってるし」


「だよね」


「虎彦が二人になった……」


「う、うらやましい……」


「先生はこのあとどうするの?」


「しばらく勇者チームといっしょに回るみたいだぞ」


「あ、先生も異世界人だからなんか特殊能力あるの?」


「こんなんだったな」



名前 ウシ

年齢 37

性別 男

所属 異世界人

職業 なし

適性 魔物使い、道化師、武士

特殊能力 言語、魔物言語、魔物調教、ツッコミ、刀術、異世界知識



「ウシさんなんだ」


「勇者にウシでいいだろって言われたらそうなった」


「あーごめん」


「名付けってやつか?」


「武士なのは俺の名前のせいなんだろうか」


「先生(たけ)()だっけ? ネタじゃん」


「この世界に刀ってあるのか? 鍛冶では習わなかったぞ」


「辰巳作ってあげなよ」


「金貨百枚で作ってやるぜ」


「月収三か月分以上じゃねえか!」


「刀の材料も鍛冶道具もないところから作るんだから適正価格だよ」


「魔法も使えるようになる?」


「そうだな。先生なにがいい?」


「まほう? それってあれか? 炎が出るとか光るとか痺れるとか」


「まあそんなんでよければ」


「もっとすごいことできるのか?」


「使用者の生命力を吸い取って生き血を求めてさまようとか」


「なにそれ怖い」


「やめろよ! 俺をどうしたいんだよ」


「冗談だよ」


「目が笑ってない」


「素材によるけど、切れ味向上と耐久力アップと使用者の力と敏捷補正つけて隠密魔法使えるようにしたら刀っぽいんじゃね?」


「どこの忍者」


「魔物の観察とかするなら便利でしょ」


「三年ローンでお願いします」


「うわ、目がキラキラしてる」


「それくらいなら支度金として支給されるぞ」


「マジですかお父さま」


「だれがお父さまだ。ケンさんと呼べと言っただろう」


「家とか買わないの?」


「しばらくは食客扱いで王宮内に住むことになるようだ。だから支度金は全部使っても問題ないぞ」


「ぐるう」


「先輩として王宮の案内してやるって? チョコ先輩優しいな」


「くっ、くやしいぃっ」


「父さん、落ち着いて」


「ザンネンだねえ」


今日で連続更新は終わりです。

次回からは通常通り毎週金曜日更新に戻ります。

また来週~

(もうストックがない……)

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