第二十四話 魔道具師の屋敷
「うわー、でっか」
「かなり立派な屋敷ですね」
「稼ぎはよさそうだし、たぶんもともといいとこの出だろうし」
「こんにちはー、高台の魔道具師さん!」
「冒険者トラ様とタツ様のご一行の到着です。扉を開けなさい」
「どんな冒険者だよ」
がちゃ。きぃいぃ。
「ドア、開いたね」
「……入っていいんだろうか」
「トラ様、タツ様、さあどうぞお入りください」
「もしかしてすでに影に制圧されてる?」
「人聞きの悪い。お話は通してありますし、安全は確保済みというだけです」
「おじゃましまーす!」
「さすが勇者の息子。心臓が並大抵じゃない」
「どこに行けばいいの?」
「まっすぐ突き当りまで行けば魔道具師に会えますよ」
「それにしてもすごい屋敷だな。内装も豪華だ」
「なんかお城みたいだね」
「お城みたいって、虎彦は城は見慣れてるだろ」
「でもオレ城には入ったことないよ」
「え? どういうこと?」
「なんかそとの貴族の人とかが来るとこ? あそこはお仕事するとこだから入っちゃダメって言われてて、王族の生活スペースの一部しか入ったことないよ。家とつながってる通路と東の塔と、あと適性診断とか挨拶とかした部屋だけ」
「箱入り息子じゃん」
「知らん人に顔見られるといろいろ事件に巻き込まれるからって会う人も限定されてた」
「王城内の行動はわたしどもが誘導していましたからトラ様が自由に動き回れる場所はあまりなかったかもしれませんね」
「まああんまり興味なかったからいいんだけど」
「ほかの貴族の屋敷とかにも当然行ったことないだろうしな」
「行ってもつまんないでしょ?」
「おいしいものが出てくるかも」
「行こう!」
「ぐるう!」
「とりあえずこのお屋敷のあるじに会おうな」
「うん、そうだった」
ぎぃいいぃい。
「うわっ! 自動ドア?!」
「影が開けてくれたんだろ? それにしてもこの屋敷の使用人はいないのか?」
「なんだ。影さんありがとう」
「どうやらトラ様をお迎えするには少々足りないのでこちらで整えさせていただきました」
「どんな冒険者だよ」
「あ、こんにちはー。高台の魔道具師さんですか?」
「ひぅっ……わ、わたたしは、たたたたか高台のま魔道具師だすっ」
「噛んだな」
「落ち着きなさい。こちらはトラ様とタツ様。失礼のないように」
「ひぇっ、怖……」
「まあそんな緊張しないでください。エドさん、あまり怯えさせないで」
「申し訳ありません。出過ぎた真似をしました」
「そそそそそそそそそそれでなに?なんなななんでなにしに来たんですか? ひぇっ」
「エドさん、にらまない。今日はいろいろとお話を伺いに来ました」
「おおおはお話? なにかまずいことバレちゃいました? あああのあの魔道具とか作ったのがまずかったですか? それとも」
「ただ魔道具に興味がある普通の冒険者が話を聞きに来ただけですから落ち着いてください」
「魔道具師さんって名前はなに?」
「あああああのほんとに、本当にそれだけです?」
「トラ様の質問にお答えしなさい」
「ひぃっ」
「エドさんちょっと過保護すぎ。虎彦に嫌われるよ」
「な!」
「嫌いにはならないけど、ちょっとやりすぎかも」
「(しゅん)」
「え? あの暗黒騎士様が一言でおとなしくなるとか怖っ」
「暗黒騎士?」
「かっこいい!」
「んんっ。忘れてください」
「ほえ?」
「わ す れ て く だ さ い。いいですね?」
「は、はい!」
「ぴぇっ」
「エドさんの暗黒歴史か……いや、なんでもないです!」
「それで、そこの口の軽い魔道具師にお話があったのでは?」
「あ、あのね、おもしろい魔道具見せてほしいなと思って」
「魔道具について詳しく教えてください!」
「おお、辰巳がやる気出してる……」
「み、見せるのはいいですけど、教えるってどうすればいいんですか?」
「どんな魔道具があるの? 魔道具屋さんに行ったけどちょっと期待外れだったんだよね」
「そうだな。まずはちょっと見せてもらえますか?」
「わ、わかりました。それでは魔道具店に出していないものをお見せします」
「わたしはお茶を用意しますね」
「ありがとうエドさん」
「わ、暗……騎士様が笑うなんて初めて見たかも。ひっ」
「あれ? エドさんともともとお知合いですか?」
「……幼馴染なので」
「騎士様は小さいころ」
「それ以上余計なことを抜かすと首をねじ切るぞ」
「ひゃっ」
「その話はあとでゆっくり聞かせてもらうとして、まずは魔道具を見せてください」
「ちょっと待っててくださいね」
「魔道具師さんの名前わかんないね」




