いじめの真相
───翌日。紙袋に洗濯しておいた神崎の制服を入れて登校することとした。
教室に入り神崎を探す。……いた。取り巻きの生徒たちを囲って談笑している。
「おーい神崎。ちょっといいか?」
「……あ?馴れ馴れしく話しかけないでくれない?」
昨日とは打って変わって塩対応だ。まぁそれはともかく目的を果たすために紙袋を出す。
「ほらお前の服返すからさ。お前に渡した服返してくれない?いや何かよくわからん改造されてて恥ずかしいんだよ。」
教室が一瞬静まり返る。視線が俺と神崎に集中していて何やらヒソヒソと話をしている。
「ふ、ふ、ふざけんじゃねぇ!俺の服をお前が無理やり剥い……い、いやその……。」
言い方を考えないと誤解されかねない。いや、そもそも真実を公表するということは即ち自分のいじめ行為を自白するようなもので神崎は何も言えなかった。
無言で紙袋を取ろうとするが哀れ紙袋は雨宮蒼音の手元に戻される。
「交換だぞ?俺の服も返してくれよ。」
「ていうか何で下着まで取り替えてんだよ!?そんな濡れてなかったじゃない!!?」
「いや何かこういうのってセットなのかなって……。」
「お前の頭の中どうなってんだ……!?ここにあるわけねぇだろ!?」
「お前んち行けば良いの?どこ?住所は?お土産とかいる?」
「なんで俺の家にお前を招かないといけないんだよ……!」
仕方ない。じゃあ返してもらうまでこれは保留ということになる。
睨みつける神崎を無視して席へと戻った。
携帯電話が鳴り響く。トーマスだ。
「調子はどうだドレイク、騒ぎは起こしてない?」
「平穏そのものだよ。それよりも船の隠蔽はちゃんとできたか?」
「あー、この世界の技術水準はやっぱり低いみたいで、そこらへん隠蔽魔法で余裕だったわ。こちらのことは心配しないでくれ。」
安心した。ゴールデンハインドの存在は絶対に知られる訳にはいかない。それだけで俺が異世界の人間だと一発でバレてしまうからな。
チャイムが鳴る。放課後になり帰路へと向かう前にトーマスに教えてもらった我が愛船の隠蔽状況を確認するべく山へと向かった。
山に行くには繁華街を通る必要があるらしく、この世界ではあまり遅いと補導されるらしい。治安の良いことだ。
「……それでお前たちは何のようだ?」
わざと人気のない場所を選び、尾けてきている連中に声をかける。バレバレだ。こんな杜撰な尾行は次元警察ではないとは思うが……。
物陰から出てきたのは屈強な男たちと綾音だった。
「ふーん、君が雨宮ちゃん?マジかよ神崎のやつこんなのにやられたわけかよ。」
男の一人は舐め回すように雨宮を見る。男の言葉に綾音はイラついた目で睨みつけた。
「雨宮くん?状況はおわかりよね?なら今すぐ惨めに頭を下げなさい。そして私の言う事を何でも聞くと宣言しなさい。そうすれば許してあげる。」
───なるほど。主犯格は神崎ではなく、綾音の方だったのか。