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ブルーミラージュ ~歪な異世界で、私は何度もやり直す~  作者: ホワイトモカ二号
結末の濫觴
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交差する世界

 「───続いてニュースの時間です。現在、騒がれている連続殺人事件、切り裂きジャックの新たな犠牲者が出ました。被害者は皆、裕福な男性でどれも凄惨な手口から警察は怨恨の可能性があるとして……。」


 街頭テレビでは物騒な話題。だが誰も気に止めようとしない。忙しそうに人々は歩いている。


 「薄情な連中だ、近所で起きてる殺人事件だというのにな?それともこれが日常なのか?」

 「聞いてるのか蒼音あおと、だからつまりだね。君はとても希少なものなんだ。だから今度、私の家で徹底的に調べようと言っているのだろう。買い物に誘ってくれたということはもう私にゾッコンと見て良いんだろう?」

 

 「興奮した目でこちらを見ながら、人を自宅に誘い込み、如何わしいことをしようと考えているこの変態女は東雲千歳しののめちとせ。外見は見ての通り綺麗な黒髪に整った顔つき、スラリとしたモデル体系で深窓の令嬢といった外見だが、その中身はこじらせたオタク女。そして俺に付きまとい性的嫌がらせを懲りずに繰り返す変態だ。」


 「そういうことは心の内で言ってくれないか蒼音?」

 「わざと言ったんだ。」


 クラスで彼女の本当の姿を知らない者が今の姿を見たらどうなることやら。千歳は俺の腕にしがみついて離れようとしない。俺は彼女の重みに耐えながら歩く。


 「でもさ、私を誘ったことについては否定しないんだね?素直で可愛いよ。だけどもっと素直になってほしいな。私と一緒に行きたくて仕方なかったって言ってよ。」

 「いや買い物に誘ったのは千歳しかいないからだよ。仕方ないだろ。」

俺は彼女の言葉に苦笑する。

 「ふふ、それでも嬉しいのさ。君にとって私は唯一の存在なんだからね?それでどう?初めての買い物の感想は?貴重な意見を聞かせてほしいな。」

 「いやそりゃ新鮮だよ。情報量が多すぎて頭がパンクしそうだ。おいやめろ腰に手を回すな!」


 雑踏の中、買い物帰りの学生が二人。別段変わった光景でも何でも無い。ごく平凡な日常。


 「……ん?」


 セクハラをしてくる千歳を押しのけていると、見えた。雑踏の中、スクランブル交差点の中央でそれは見えた。なにかの光点。本能で察した。なにか危険な予兆。


 「伏せろ千歳!!」


 そう言いながら千歳の肩を掴み抱き寄せて屈む。それと同じタイミングだった。爆発音、そして衝撃波。鼓膜を破るほどではないが強烈な衝撃だった。


 薄っすらと目を開ける。

 爆発は思ったよりも規模が小さかったのか建物は倒壊していない。だが景色が明らかに違う。道路の横断歩道は途切れ途切れで、途切れた部分はアスファルトではなく土の地面から生えた草原。高層ビルの一部は岩山と融合していて、その姿はスライスしたビルと岩山の切断面をくっつけたような歪な形。


 更に奇妙なのは見たことのない生き物が転がっている。生き物は立ち上がりこちらを見つめている。猿のようだが違う。体毛はなく肌の色は黒ずんでいる。何よりも手に持った刃物は、明らかに俺たちに敵意を示すものだった。


 「お、おい見ろあれ!!」


 誰かが空を指さして叫んだ。その先に見えたのは巨大な翼を持った生き物。鳥にしては規格外の大きさ。


 その光景はまるで、異世界がこの世界に転移してきたかのようだった───。

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