前夜祭のお誘い
「それで……その………」
「………?」
「明日 前夜祭があるんだけど……来てくれる?」
「(うッ………!!)」
前夜祭……結婚式の前夜に行われる
パーティーだ。
この前夜祭で、正式にサタンの結婚式について発表がある。
パーティーへ来る貴族達は、私が婚約を破棄された事を まだ知らない筈。
サタンが人間のお姫様と結婚すると知ったら きっと驚くだろう……。
「(ハッ…!! もしかして……!!)」
その前夜祭へ行って 悪役令嬢らしく “結婚を阻止しろ”と言う事なのかも知れないわ……!!
サタンには お姫様と“結婚する気”が無さそうに見えるし……上手く行けば 私はサタンと結婚出来るかも知れない!!
―――だけど もし…阻止出来なかったら?
「(私 殺されるかな……?いやいや…!! 別にお姫様へ危害を加えるつもりは無いから……魔ノ国から追い出されるだけかも……?)」
私の選択は―――。
「ううん……行く。行きたい!!」
「…無理しなくて良いんだよ?」
「大丈夫…。 サタンと結婚するお姫様が どんな子なのか会ってみたいの」
私はこの世界の悪役令嬢なのよ!!
ただ黙って 二人の結婚を見過ごすだなんて出来る訳が無い……!!
「これ、前夜祭と結婚式のチケット」
「………」
私は二枚のチケットを受け取った。
「それじゃ……もう行くよ。ゆっくり休んでね」
「うん……ありがとう」
サタンは、私の部屋から出て行った―――。