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優しい魔王に
「マリア…?本当に大丈夫?」
サタンが 心配そうに 私の顔を覗き込んでいる……。
「(ドキッ…!!) う、うん!! ちょっと考え事してただけ……」
「そっか……」
「……ねぇサタンは人間になりたいの?」
サタンは、魔族と人間のハーフと言う 珍しい人種。
サタンのお母様…ルシア様が 人間なのだ。
ハーフだと、将来 魔族として生きるか 人間として生きるか 選択出来るそうだ。
因みにサタンは、魔族ではなく人間になりたいらしい。
「……うん。ダメかな?」
人間になると この“魔ノ国”から出ていかなければならない掟がある。
私はサタンとずっと一緒に過ごしたいのに……。
「私は…サタンに 強くて逞しい 魔族の王様になって この魔ノ国をより良い国に変えて欲しいな……」
「僕に……出来るかな?」
「う~ん……サタンは 優しい魔王になるかもね」
「なるほど “優しい魔王”かぁ……それなら なれそうだな」
「ふふっ……」「あははッ☆」
私とサタンは顔を見合わせて笑った。




