マリアの昔話
私の代わりに 女の子が笛を吹いてお兄様達を呼んでくれた。
笛の音を聞いたお兄様達は 急いで私の元へ駆け付けてくれた。
ずぶ濡れで泣いている私を見て お兄様達はかなり慌てていた。
「……湖に落ちたのか!?」
「ひっく……う…うん……」
「マリアは泳げないのに…どうやって助かったんだ?」
「お友だちが…助けてくれたの…」
「「お友だち……?」」
お兄様達はキョロキョロと湖周辺を見渡したが……。
「誰も居ないぞ?」
「えっ……?ウィンディは?」
「…ウィンディ?」
「私のお友だちなの」
私も湖を見渡したが…女の子の姿はもう見えなかった……。
「まさか……幽霊じゃないよな?」
カイトお兄様の顔が真っ青になった。
「幽霊がどうやってマリアを助けるんだよ……」
リクトお兄様が私の頭をポンポンと優しく叩いた。
「……この湖には 召喚獣が住んでいるらしいんだ。きっとその召喚獣が助けてくれたんだろう」
「しょうかん…じゅう?…って、なぁに?」
「マリアが大きくなったら分かるよ」
「うんッ……!!」
それ以来……私は、その湖に一人で近付く事を禁じられた。
「(あの時私を助けてくれたのは ウィンディーネ…貴女だったのね―――)」