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私を救ってくれた 優しい存在
私は前世 人間だった時の良い思い出が何も無い。
仕事はキツいし…上司や先輩は最悪。
真面目な性格だった私は 女子会や飲み会、職場の結婚式のお誘い等は全くなく……皆から避けられていたようだ。
「もう無理だ」「ここに私の居場所は無い……」と限界を感じた私は 職場を変えようと退職届けを出しに行った……その帰り道―――記憶がプツンと途切れてしまった。
「(多分、この帰り道に事故か事件に巻き込まれてしまったんだわ……)」
家族には「お前はまだ結婚しないのか?」「早く孫の顔が見たい」と 毎日のように五月蝿く言われ続け……それがストレスになって独り暮らしをしていた。
勿論 前世で恋をしなかった訳ではない。
私が好きになった相手には 既に彼女が居たり 既婚者だったりして 全戦全敗……男性との出会いが 全く無かったのだ。
そんな私を唯一 救ってくれていたのは 優しいゲームの王子様達―――。
「(あぁ…そっか……私―――)」
生まれ変わったら人間じゃ無くて こんなゲームの住人みたいに のんびり 平和に過ごしたいと強く思っていたから この世界に生まれたんだ……。