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無事を信じて

「マリアは今 何処に居る?」

「…あら、サラ様のご心配はされないのですか?」


アリスは少し嫌味を込めてサタンへ聞いた。


「…サラはレインに任せてあるから心配無い」

「レインの事……とても信頼されているのですね」

「あぁ…レインは、家族みたいな存在だ」


私とマリア様みたいな関係かな…とアリスは思った。


「マリア様の事は、分かりません……この城にはもう居ないかと……」

「そうか……」


この城に居ないとしたら……まさかあの森の中に?

しかし…あの森には魔物が沢山潜んでいる。


「マリアが “聖なる湖”に逃げる事が出来ていれば……」

「私 マリア様を探しに行きます!!」


アリスが部屋から出ようとするのを サタンは腕を掴まえて止めた。


「まっ……待ちたまえ!! まさかあの森に 一人で行くつもりなのか?」

「そっ…それは……」

「城の外は真っ暗だ。魔物は特に夜を好んで動く。今夜は止めた方が良い」

「……でもマリア様の事は!!」


サタンは、頭を横に振った……。


「明日の結婚式にこの城へ戻って来るかも知れない。それを信じて待つしかない……」

「…サタン様―――」


それは苦渋の決断だった……。


サタンの表情を見て サタンも本当は「今すぐマリアを探しに行きたい」と言う気持ちで一杯なのだと アリスは感じた。


「わ…分かりました……」

「ごめんね…アリス。僕がもっとしっかりしていれば こんな事には……」

「ご自分を責めてはいけません…!! 誰も予想していなかった事が 起きたのですから」

「…………」


「マリア様なら きっと大丈夫です!!」

「…えっ?」

「マリア様は、心の強い御方です。だからきっと大丈夫です」


アリスの言葉は まるで自分へ言い聞かせているみたいだった。


「うん…そうだね」


今はマリアの無事を信じるしかない………。

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