アリスとルシア
―サタンの部屋―
「ありがとう、アリス……貴女が居てくれて 本当に助かったわ」
「…お役に立てて光栄です」
傷が浅くて良かった…。
だけどあの傷……本気で刺すつもりは無かったのでは……。
最愛の息子・サタン様が刺されて
ルシア様はかなり参っている様子だ。
「…温かいお茶を淹れます。ルシア様もゆっくり休まれて下さい」
「えぇ…そうさせて頂くわ。ねぇ…
アリス―――」
「はい……?」
「貴女は…誰がサタンを刺したと思う?」
ルシアの問いにアリスはビクッ!!と
身体を震わせた。
「わ…私からは何とも―――」
「そうよね……。変な事を聞いてごめんなさい」
「い…いいえ―――」
嘘だ……。
アリスは、マリアが刺したのでは無いか?と疑ってしまったのだ。
アリスは、頭をブンブンと横に振った。
「(私ったら何て事を……!! マリア様は、サタン様の事を本当に愛していらっしゃいます!! そんな事をする筈がありません…!!)」
…ルシア様は、マリア様がサタン様を刺したとお考えなのでしょうか?
「…うッ―――」
「サタン…!?」「サタン様!?」
「は、母上……?」
サタンが目を覚ました………!!
「サタン…大丈夫?貴方は刺されて気を失っていたのよ」
「私なら…もう大丈夫です」
サタンは、ベッドから身体を起こして アリスをチラリと見た。
「………?」
「母上…この娘…アリスと二人で話がしたい」
「……アリスと?分かったわ。あまり長くならない様にね」
ルシアは素直に部屋から出ていった………。