逃亡した理由
「サタン様の部屋で二人きりで話していたら…人質に捕らわれている筈の イヴ様が突然部屋に入って来て……」
私の目から涙がポロポロと溢れ落ちた……。
トマスさんはハンカチをサッと取り出して私に渡してくれた。
「イヴ様がナイフで…私を刺そうとして……。サタン様が…私を庇ってくれて……。わ、私……止めたのに……!!自分は刺されたのに私には逃げろって……!!」
私の話を聞いて トマスさんは「フム…」と唸った。
「…サタン様を刺した人は、イヴ女王では無さそうですな」
「えっ……?」
「イヴ女王は、人質に捕らわれている筈なのに サタン様を刺せ無いと思うのです」
「(確かに………)」
私も「イヴ様は、人質に捕らわれている筈なのに」と、何か変だと感じた。
「じゃあ…私が見たあのイヴ女王は……」
「恐らく…ルシア様から雇われた 偽者でしょう……。貴女を近付かせない為に、見張りとして」
「(……ズキッ――)」
そんな……ルシア様……どうして?
婚約をあんなに快く承諾して下さったのに……!!
「そこで…マリア様に提案があるのですが……」
「は、はい……!!」
「サラ様とイヴ様を助け出す為に 貴女にも協力をお願いしたいのです」
悪役令嬢?恋のライバル?
―――そんなの関係無い!!
「……勿論 私にも協力させて下さい!!」
「ありがとうございます」
「ありがとう、マリアさん!!」
この子達に助けて貰ったお礼ちゃんとしなきゃね☆




