サタンの愛猫 登場
サタンは、イヴ女王からナイフを奪おうと飛び出したのだ……!!
「止めて サタン……!!!!」
「はっ…はなしなさい!!!!」
イヴ女王とサタンは 揉み合いになり……ナイフは、サタンの脇腹へ刺さってしまった!!
「ぐっ……!!」
「いゃぁぁぁッ―――!!!!」
「ちっ…違う!! 私―――そんなつもりじゃ……!!」
「…………!?」
イヴ女王は、部屋から逃げ出した!!
私は、逃げたイヴ女王を追わずに 床へ倒れたサタンを支えた。
「サタン…!! 今 助けるから!!」
「………………」
私は刺されたサタンの応急処置をするが……。
「(私に治癒魔法が使えたら!! こんな傷あっと言う間に治せるのに……!!)」
残念ながら、私には魔法が使えない。
双子の兄たちは魔法が使えるみたいだけど……私は何の能力も芽生えなかったらしい。
涙がぽろぽろ…とこぼれ落ちた……。
すると…サタンが私の手を握った。
「サタン……!?」
「マリア…無事で…良かった……」
サタンの意識はある…けれど、その手は段々と冷たくなっていく…!!
「…僕は、大丈夫……だから…キミは、逃げ―――」
「サタン……!! しっかりして!!」
お願い……!! 死なないで……!!
“泣くニャ…マリア―――”
「な…泣いてなっ―――えっ?」
今 誰がしゃべったの?
サタンは、気を失ってる……。
“ここニャ、ここ!!”
“ここ”と指示された場所に居たのは………一匹の栗毛のネコ。
「貴女は……マロン…ちゃん?」
“そうニャ…!!”
マロン…とは、サタンの愛猫だ。
レインがサタンの付き人になった時、拾われた ちょっと不思議なネコ。
言葉が話せるのは 今 思い出した。
「ど…どうしようマロン…!! 私のせいで サタンが―――!!」
“サタンなら大丈夫ニャ。マリアも何も悪く無い。だからこのまま逃げるのニャ!!”
「で、でも……!! このままサタンを置いて 逃げられないわ!!」
“大丈夫ニャ…!! ミーが助けを呼ぶニャ…!! このままだとキミが危ないニャ…!!”
“キミが危ない”……それって私が容疑者として捕まるかも知れないって事?
もしここで捕まったら……イヴ女王に無実の罪を着せられたりなんかしたら……!!
「……わ、分かった。サタンの事をお願いね!!」
“任せるニャ!!”
マロンちゃんの言う通り何事も無かったかの様に そっ…と部屋から出た。