序章第三話 蒼穹のとある思案
いつもの様にいつもの如く駄文です。
部屋、と呼ぶにはいささか語弊があるここは、端的に言うならばいわゆるトイレ、という場所だ。
そこにはウエーブのかかった金髪をした高校生くらいの少女が寝ていた。まあ正確にはトイレの入り口に、なんだが不衛生感とかそこら辺はあまり変わらないと俺は思う。
少なくとも俺はそんな場所で寝たいとはあまり、いや一瞬たりとも思ったりはしない訳なのだが、まあそれが普通の感覚なのだと俺は信じてる。てか、こいつも0.1秒単位の間だろうとトイレで寝たいとは思った事なんてないのだろうけどな。むしろこいつの方が潔癖の気があるから余計だろう。
なのに、こいつ俺を見たとたんに気絶しやがった。
「ま、最近全然眠れてなかったらしーしなー」
まあ、問題はそこじゃねえんだよな。そこじゃ。
だってこいつ、俺を見て笑ったんだ。メチャクチャ薄くて、メチャクチャ歪だったけど、それでも。迷子の子供が帰る場所を見つけた時みたいに、暗闇の中で光を見つけた時みたいに。こいつは、安心して笑った。そんなの、コイツの気が知れねえ。ダイジョブか。コイツ。
「お前は本当に、俺がなんなのか理解してんのかね?」
お前を、地獄より酷い所に送るのにな。俺は。
ま、イイけど。
そうして俺、蒼穹(通称穹)は独り、トイレの前で思案したのであったとさ。んーてかこれ(芙蓉)俺が布団まで運ばなきゃいけないんだよな。