表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/337

七日目

 今日でダンジョンに挑んで一週間になる。


 別に休みにするつもりもなく、今日も今日とてダンジョンに潜っている。

 理由は簡単。

 働いているはずなのに、出費の方が圧倒的に大きいからだ。昨日だって、中和剤一万五千円を二つも買ってスライムを倒した。

 それで手に入った収入は幾らだ?

 一万円だ。

 つまりマイナス二万円だ。


 おいおい、どういう事だ?

 俺は働いたんじゃないのか?

 まさか、俺は知らないうちに詐欺に遭っているのか?

 恐ろしい世の中になったもんだ。ブラック企業が世に蔓延るのも納得だぜ。



 気を取り直してダンジョン4階に挑戦する。


 ここで出現するモンスターは、前回に引き続きダンゴムシ、ツノ兎、スライム。更にこの階から追加で現れるのがヘッドバットだ。


 ヘッドバットは頭突きの事ではない。

 頭が大きなコウモリの事だ。

 ヘッドバットは普通のコウモリよりも動きは遅いが、大きく頑丈な頭で攻撃してくる厄介なモンスターだ。


 …頭突きやってたな。



 空を飛んでキィキィ五月蝿いヘッドバットを棍棒で叩き落として踏み付けると簡単に倒してしまえる。

 そんな手強いコウモリだ。


 …今までで1番弱いかもしれん。


 せめて真っ暗な場所で、コウモリ特有の超音波で物を認識する能力を駆使して攻撃してくるなら分かるが、電気がいた部屋くらい明るい場所で見逃すはずもなく、簡単に捉えてしまえる。


 完全に場所の選定ミスである。


 このダンジョン作った奴がいるなら、ヘッドバットに謝罪するべきだろう。



 それからズンズン進んでいく。

 ツノ兎とヘッドバットは倒していき、ダンゴムシは無視をして、スライムからは逃げて対処する。


 ああ、忘れていたが、ヘッドバットの採取部位は右の牙だ。値段は100円。ヘッドバットは何故か頭と右の牙だけが発達しており、大変バランスの悪い姿をしている。


 それで気付いたのだが、ヘッドバットは攻撃を避けるときは右に旋回しようとする。それに合わせて攻撃してやれば、ほぼ百発百中で当たる。


 そんな風にヘッドバットの観察をして進んでいくと、五階に続く階段を見つけた。


 おっ、今回は何も無いな。


 そう思って階段に向かうと、天井から大量の気配を感じ取った。


 そっと天井を見上げると、そこには百羽を超えるヘッドバットがこちらを見下ろしていた。


 俺はふうっと息を吐き出す。


「ですよね〜」


 俺は棍棒と盾を構えた。





 死闘だった。

 ダンジョンに潜って、これほどの傷を受けたのは初めてかもしれない。


 全身打撲だらけで体が痛む。

 もしかしたら骨が折れているかもしれない。

 盾も壊れ、棍棒も全て折れた。

 誰だ最弱なんて言った奴、めちゃくちゃ痛いじゃないか。


 傷を治すポーションも売ってはいるが、安い物でも一個一万円もするので買い渋っていた。今ではそれが悔やまれる。


 戦い終えてその場に腰を下ろした。

 手を突いた所にガラス玉があったような気がしたが、手を上げても何も無かったので気のせいだろう。


 あー治療費高く付くだろうなー、嫌だなー治んねーかなー。


 なんて思っていると、突然、体が淡く輝いて傷が治っていく。


 何だ何だと驚き、そして動けなくなった。


 これはあれだ。

 魔力切れだ。

 また何かのスキルを手に入れていたのだろう。


 まあ何にしても…。


「助かった〜」




ーーー


田中 ハルト(24)

レベル 6

スキル 地属性魔法 トレース 治癒魔法 空間把握


ーーー

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
中和剤、石灰じゃ駄目?一袋数百円。 百匹倒したらスキル玉出るのか。
コウモリ100匹はじふんだったら逃げ出しちゃうね(´・ω・`)
[一言] 地属性の空間把握と言ったらダウジングですが、これ系の作品読むといつもドラ〇もんのあシーンを思い出します
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ