ダンジョン攻略35
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メシアから、光の魔法が放たれる。
光がいくつも走り、全方位から俺を襲う。
見た目からして接近戦が得意でないのは分かるが、魔法一辺倒じゃ俺には届かない。
魔力の波を発生させて、全ての魔法を無効化する。
「アマダチ!」
放ったアマダチは、メシアを飲み込むほど大きく、消滅させるには十分な威力を持っていた。
しかし、メシアは姿を消して別の所に現れる。
転移魔法。
メシアが転移魔法を使うのは分かったが、これまでの奴らとは違う。幾つもの行先が出来上がっており、行き先を特定することが出来なかった。
そんなやり方もあるのかと勉強になる。
「って、感心なんかするか!」
収納空間から大量の土を取り出し、膨大な数の結晶化した槍を作り上げる。
この部屋の広さで、これを防ぐことも避けることも不可能。
なのだが、メシアは同じように魔法を展開する。
同種の魔法に同じ数の槍。
まるで俺に見せつけるように魔法を使いやがる。
「魔法比べっこかこんにゃろう!」
やってやろうじゃねーかと、一斉に発射。
瞬間、中間地点で衝突し、衝撃が駆け抜けて行く。床は破壊され、遠くにあるはずの壁にまでヒビが入ってしまう。
だが、この程度で済んでしまう。
それだけ、ここが頑丈だという証だ。
即座に修復が始まる床。
それを、更に破壊するほどの踏み込みをして、一瞬で距離を詰める。
当然、それを読んでいたメシアは一瞬で姿を消す。
幾つもの転移先の線。
見切るのは不可能。
だったら、その全てに攻撃を仕掛けたらいい!
砕け散った結晶の槍を操り、転移先全てに弾丸のように放つ。
現れたメシアに結晶の弾丸が衝突する。
しかし、バリアでも張っているのか、メシアの前方で砕けてしまった。
「まっ、そう簡単じゃないよな」
これで倒れてくれるなら、イルミンスールは負けていないだろう。
「さて、どうするか……」
単純にここを消し飛ばすのは簡単だ。
全力を出せば、メシアごと塔を消し去れる自信はある。
だが、それでは駄目なのだ。
そんなことをすれば、ダンジョンは消滅してこの世界も消えてしまう。ユグドラシルが消えて、庇護下にいる奴らも消滅する。それに、繋がっている地球だってただでは済まないだろう。
イルミンスールが無事なら、その心配も無かったのだが、どうにも上手く行ってくれないようだ。
やれることは全てやる。
そう覚悟を決めて再び攻撃を仕掛けようとすると、メシアから思念が届く。
『何故争う? もう貴様に出来ることは無いだろう? 私を倒しても無意味だ』
「なんだ、会話出来るのか。なら話は早い、今直ぐ地上からダンジョンを消してくれ。そしたら、俺はここから消える」
『無理だ』
「どうしてだ? 繋がりを切るだけでいいだけだろう?」
『それが私の存在意義だからだ。命ある星を救い、多くの命を救う。それは私の存在否定に繋がる』
「じゃあ、無理矢理引き剥がすしかねーじゃん……」
『不可能だ。イルミンスールはもう消えかけている。貴様に私の代わりは務まらない』
ああ、そうだろうな。
イルミンスールは、己が成り代われるという確信があったからメシアに挑んだ。
この世界全てに根を張れるほど成長していたイルミンスールは、メシアと違い、この世界に秩序を齎すことが出来る存在だった。
どこかの世界が悲鳴を上げたって、状況に応じて対応を変える柔軟さを持っていた。
大怪獣共の無用な縄張り争いだって、制御出来た。
多くの種族が、新たな文明を築くことだって不可能じゃない。
新しい世界の住人だって、数を減らすようなことにはならなかっただろう。
こいつは、融通が効かな過ぎる。
「やかましいんだよ。テメーがどこもかしこも取り込みやがるから、俺はここにいるんだ。地球が混乱してんだよ、みんな困ってんだ。この落とし前、きっちり付けさせてもらおうか!」
森羅万象を使い、世界を支配してメシアの動きを封じ込める。
しかし、世界に干渉する権限があるのはあちらも同じ。呆気なく無効化されてしまう。それでも、この一瞬で間合いに入る。
「アマダチ!」
白銀の光がメシアのバリアに接触し、少しの抵抗の後に破壊する。
少しの抵抗の間に遠くに転移されるが、そんなの知るか。
追いかける。
どこまでも、徹底的に、追い付くまで追いかける!
どこまでも速度は増して行き、メシアが現れた瞬間には間合いに入れるようになる。
アマダチを連発し、この広大な部屋は修復不可能な破壊の痕跡だらけになるが、そんなの知ったことではない。
ただ追い付いて、奴を叩き斬る!
側から見れば、フィールド全てに光が張り巡らされているだけに見えたかも知れない。
それだけの速度で動いて、やっとだ。
ようやく追い付いた!
だけど、動きを止めてしまう。
「田中さん、何やってんですか?」
懐かしい顔に、懐かしい声。
最近聞いた気がしないでもないが、そこにはあいつがいた。
「東風? ぐっ⁉︎」
死角から魔法が飛来し食らってしまう。
衝撃で弾き飛ばされるが、何とか体勢を立て直して着地する。
いや、それどころじゃない。
どうして東風がいる?
偽物か?
だけど、感じる魂は東風その物だ。
東風はフウマの中にいるんじゃないのか?
そうだ。
だとしたら……。
「貴様ぁ‼︎ やりやがったな! これだけの為に、東風を作りやがったな‼︎」
途轍もない怒りが湧く。
こんなことがあってたまるか。
こんなことが許されてたまるか。
それに、もうやめてくれと叫びたくなる。
「ハルト君」「田中さん」「久しぶりだな田中さん」「なに癇癪起こしてるんすか?」
心の底から望んだ光景が目の前に広がる。
死んだはずのあいつらが、記憶や魂までコピーされて作られてしまう。
なあ、頼むよ。
それだけはやめてくれよ……。
「ハルト君、久しぶりだね」
「千里……」
東風パーティが、俺の前に立ちはだかる。
俺は、みんなと一緒にダンジョンに潜りたかった。
この思いは、今も変わっていない。
「よう、みんな久しぶり……」
そう呟くと、みんな武器を手に取り構える。
「悪いな田中さん、どうやら戦わないといけないみたいだ」
武が笑みを浮かべて言う。
「ったく、笑顔で言う言葉じゃないだろ? そんなに俺と会えたのが嬉しいのか?」
「言われてるよ兄貴。まっ、嬉しいちゃ嬉しいけどね。にしても、イメチェンしたんですか? なかなか似合ってますよ」
「おう、かっこいいだろう」
騎士が剣を抜きながら、笑みを浮かべて言う。
「なんかごめんね、私達も戦いたくはないんだけど、拒否権は無いみたい。それにしても、痩せるとこうもイメージ変わるものなのね。悪くないわ」
「馬鹿たれ、俺に乗り換えたら武が泣くぞ」
瑠璃が申し訳なさそうにしながら杖を構えた。
「何かすみませんね。手加減しないでいいですから」
元は短剣を引き抜き、魔糸を操り、やる気満々といった様子だ。
「ははっ、ふざけんなよ。手加減なんかするかよ……」
くそ、くそくそくそくそくそ!!!
「田中さん、こうなっちゃったんで、恨みっこ無しで行きましょう」
「ああ……そうだな……」
東風は仕方ないといった様子で、魔力を高めている。
剣を構えた姿は、勘兵衛を除けば最高位の戦士なのかも知れない。
最悪だ、またこいつらが死ぬところを見ないといけないのか……。
「なんかごめんね。結構歯止め効かないから、容赦なくやっちゃってね」
千里が魔銃を構えながら告げる。
「分かってるって……」
なんで、どうして、俺の手で下さないといけないんだよ……。
瑠璃の魔法が発動する。
五つの魔法陣を展開しており、卓越した魔力操作で最速の魔法を発射する。
幾つもの青い炎の弾丸が迫る。
この魔法は、人であれば最高峰の魔法と呼ぶに相応しい領域にいる。
それだけ強力な魔法。
だけどここでは、まるで脅威ではない。
魔力の波を発生させ、全ての魔法を消し去る。
迫る騎士と東風の攻撃を避けると、無造作に掴み投げ飛ばす。
その合間に、元が魔糸を操り俺を拘束する。
んなもんで封じられるかと、力を込めて引き千切る。
元のマジか⁉︎ みたいな顔を見て、笑いそうになるのを堪え、風で吹き飛ばした。
連続して放たれた魔弾が迫る。
手で弾き、地面に落とすと、反対側から武が大楯を前面に出して凄まじい勢いで突っ込んで来る。
俺は握り拳を作り、大楯を破壊するつもりで殴り付けた。
接触と同時に砕ける大楯。
その影にいる武は大斧を構えており、躊躇なく振り下ろして来る。
巨大な岩なんて粉々に砕いてしまいそうな一撃。
そんな恐ろしい一撃を片手で受け止め、そのまま握り潰した。
「無茶苦茶だな」
「悪いな、もう人間やめたんだわ」
武を殴り飛ばして後退させる。
傷を負ったのは武だけだが、それもメシアによりあっという間に回復した。
今ので分かった。
俺、こいつら殺せないわ。




