ダンジョン攻略34
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「おい! おい返事しろ⁉︎」
失敗した!
決して天津勘兵衛を舐めていたわけではない。
ここを破壊しないように、力を制限して戦う必要があって、徐々に削って行くしかなかった。
それが、こんな結果になるなんて!
「返事をしろイルミンスール‼︎」
止めを刺す寸前、天津勘兵衛の右腕に機械の腕が装着され、虚弱な天断ちがイルミンスールの杖を傷付けた。
虚弱でも、アマダチの性能は本物。
イルミンスールの杖に宿った魂を深く傷付けていた。
杖から力が消えてしまい、意識がわずかに残っているだけだ。
やられた!
これを最初から狙っていたんだ。
俺達がここで何をするのか理解して、天津勘兵衛を配置したんだ。
「くそ! これじゃ、意味ないじゃないか‼︎」
やっとここまで来たっていうのに、イルミンスールまで失ってしまう。
何の為に、ここまで来たっていうんだよ!
自分の不甲斐なさに怒りが湧く。
勘兵衛の狙いは予測できたはずだ。それなのに、馬鹿正直に急所であるイルミンスールの杖を使ってしまった。
このままじゃ、地球がダンジョンに飲み込まれてしまう。多くの命が失われてしまう。日向の未来が、無くなってしまう……。
「……終わらせてたまるか。まだ手はあるはずだ。何か、手が…………」
考える。考えて、考えて、ある一つの手段が思い浮かんだ。
それで上手く行く保証は無い。むしろ、失敗する可能性の方が高いくらいだ。だが何もしなければ、迎える結末はこれまでの世界と同じ。
そんなこと許せるか!
「フウマ!」
呼ぶと、退避していたフウマが降りて来る。
杖を見て察したのか、酷く動揺している。
「フウマ頼みがある、ト太郎を連れて戻っててくれ」
「ブル?」
収納空間から長剣を取り出して、フウマに差し出す。しかし、フウマは受け取ろうとはせず、どうするつもりだと目が訴えていた。
「やれることをやって来る」
「ブル?」
「安心しろって、必ず戻るからさ……」
死ぬつもりも、ここで終わるつもりもない。千里に言った言葉をフラグにするつもりだって無い。
俺は絶対に帰る。
だがら、ト太郎を任せたとフウマに差し出した。
渋々といった様子で、フウマは受け取ってくれる。
悪いな、そう呟きながらフウマを撫でる。
これまで、俺が撫でるとあからさまに嫌な顔をしていたが、今だけは大人しく受け入れてくれる。
「さあ行け!」
そう告げると、フウマはこれまでで一番大きく嗎声、高く高く飛び上がった。
「じゃあな、フウマ」
あっという間に見えなくなったフウマに別れを告げ、俺は扉に向かって歩き出す。
扉の前に立つと、勝手に扉が……扉が……扉が開いてくれない。
おいおい、このシリアスな場面で何やってくれてんの⁉︎
俺、覚悟決めた感じなんだよ!
なーに会うのも嫌がってんだよこの野郎!
「そっちがそのつもりなら、まとめて破壊してやらー‼︎」
特大のアマダチを作り出し、このダンジョンの核ごと消滅させるぞと脅す。すると、本当に嫌そうに、ゆっくりとゆっくりと扉が開き始めた。
あまりにも遅いので、「ふん!」と蹴り飛ばして扉を破壊して入場する。
たどり着いた部屋は、先程と同じく真っ白な空間。
違うのは、部屋の中央に大きな球体が浮かんでいるということ。
「あれが、ダンジョンの核か」
思っていたよりも小さい。
もちろん、俺に比べると遥かに大きい。でも、あの広大な世界を創り出した存在と考えると、あまりにも小さく感じてしまう。
そう侮っていると、大量の情報が頭に叩き付けられた。
「くっ⁉︎ いきなりやってくんなよ」
叩き付けられた情報は、ダンジョンの核がダンジョンを生み出してしまった経緯。それと、今日に至るまでの歩み全てだ。
これもう人の体だったら、頭破裂して死んでるね。
情報を与えるだけで、立派な攻撃になるなんて知らんかったわ。
とはいえ、ダンジョンが出来上がった経緯は知っている。
ダンジョン81階に置かれていた情報は、この場所と何故ダンジョンがあるのか、その目的が描かれていた。
ダンジョンは元々、このような世界を創るために存在していない。本来の目的は、世界の救済にあった。
遥か昔、信じられないほど遥か遠い昔、ここではない宇宙で、魔法と錬金術を基礎に発展した高度な文明があった。
この文明は宇宙の開発までに着手し、星間移動も可能にしていた。
それほどの文明でありながら、ある課題に直面する。
それは母星の寿命。
高度に発展した代償は、母星の命だった。
表面上は取り繕えていても、大地は荒廃し水は枯れ始めていた。海も減少し、文明の恩恵を受けない多くの生物が死に絶えた。
中には宇宙に逃げ出す者もいたが、多くの者は母星に残るのを選択する。
理由はいくつかあるが、最もな原因は魔力にある。
どれだけ他の惑星をテラフォーミングしても、母星のように魔力を生み出せるようにはならなかったのだ。
魔力に大きく依存したこの世界の住人は、魔力を失うことを恐れた。恐れたが故に、母星を救う装置を作り出した。
錬金術で造られた魔法装置。
命ある星を救い、多くの命を救うことを存在意義として造られたその装置は、メシアと命名された。
メシアは母星を調べ、その原因排除の為に多くの施設の撤去を命じた。そして、少しでも多くの命を救う為に、母星からの退去を命じた。
もちろんのことながら、こんな命令に従う者はいなかった。
ならばと、メシアは代案を出し続けるが、その全てが許容出来ないと拒絶されてしまう。
日々、母星の寿命が削られて行くなかで、誰も何も行動しない。
もしもメシアに感情があれば、ふざけるなと一喝しただろうが、装置でしかないメシアはひたすらに考え、救済案を提示し続けた。
だが、何も変わらない。
誰も何もしない。
仕舞いには、メシアは無能だというレッテルまで貼られてしまう。
それでもメシアは提示し続ける。
ただ己の使命を真っ当する為、ただただ思考し続ける。
すべては母星を救う為、少しでも多くの命を救う為。
そんな時である。
ありえない存在からコンタクトがあった。
それは、母星そのもの。
この星の意識がメシアに干渉して来たのだ。
行われたのは情報のやり取り。といっても、一方的にメシアが受け取る側だったが。
多くの情報が渡された。
この星の歴史、何故魔力を生み出すようになったのか。魔力の本来の利用法まで、全ての情報が詰まっていた。
魔力とは、地球でいうところの化石燃料と同じ。
ただやれることが多く、万能のエネルギーと呼んでも良い代物なだけだ。
他の惑星にも資源となる物は存在しており、その使い方を学べば、他の惑星でも生活は送れるだろうという。
最後に渡された情報は、もう間もなく母星は消滅するという悲鳴。
早急に退避せよと、全ての生物に告げて欲しいという願いだった。
母星の願いに従い、メシアは告げる。
何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も繰り返し告げる。
だが、それでも、誰も聞く耳を持たなかった。
それどころか、メシアは壊れたのだと見なされてしまった。
もっと、この世界の住人が耳を傾けてくれたのなら、結果は違っていたのだろう。
メシアは母星救済と、多くの命を救う方法を作り上げていた。それは誰もが想像もしなかった方法で、ましてや、何の権限も無いメシアに、膨大な魔力な操れるとは思っていなかったのだ。
母星の終わりが近い。
察したメシアは、特大の魔法を使う。
それは、一つの宇宙を創造する魔法。
神を超えた力の行使。
母星すら知らない、究極の魔法。
この魔法は、母星を飲み込み、新たな世界へと連れて行く。世界の住人もそのままで、見た目は何も変わらずスライドするように世界は移動した。
決定的に変わったことは、宇宙が無くなり世界が平面になったということだろう。
母星の外との連絡が取れなくなったが、メシアが何をしたのか告げると落ち着きを取り戻して行った。
もちろん混乱はあったが、母星の消滅の危機と比べたら些細な出来事でしかなかった。
それからしばらくの間、平穏な日々を送る。
その平穏が崩れたのは、メシアが元の宇宙に残して来た住人との接触する方法を作り出した時だった。
別の世界に空間を繋げる時、多くの惑星の意識を感じ取ってしまう。
意識の一つから、大きな悲鳴が上がる。
それは母星が上げていた悲鳴と類似しており、命ある星を救うことを義務付けられたメシアは、己の存在意義の為に救済に向かう。
その惑星は、資源に満ちた世界だった。
発展した文明は無かったが、巨大な生物がおり、大いなる自然と生命に満ち溢れていた。
そんな世界が何故悲鳴を上げたのかというと、宇宙から世界に喰らいつく生物が飛来したからだった。
危険な生物を排除する為に、メシアは一方的に悲鳴を上げた世界を取り込む。
即座に生物を滅ぼし、世界はことなきを得るが、問題はここからだった。
新たな世界の生物が、魔力に当てられて凶暴化したのだ。
地続きとなった二つの世界で、凶暴な生物の流入を防ぐべく争いが起こる。多くの血が流れて、多くの命が消えていった。
この事態にメシアは何かするのかというと、何もしなかった。
これは、多くの命を守ることを使命にしたが故の選択。
どちらか一方に肩入れすれば、片方が滅ぶのは目に見えていたからだ。
結果として、更に多くの命が奪われる。
それでも、メシアが動くことはなかった。
それからもメシアは、悲鳴を上げた世界を救い続ける。
多くの世界を取り込み、元々の住人は数を減らしてしまったが、相対的に多くの生命が息づく世界になった。
ただ問題は多く存在していた。
新たに加わった住人が生き残れなくなったのだ。
それはメシアの望むところではない。
出来る限り、多くの生命が生息する世界を望んでいるのに、生き残れないのなら意味はない。
故に、取り込む前の世界に魔力を流し、成長プログラムを設置した。
魔力に馴染み、魔力を使い戦う術を身に付けさせる。
これこそが、ダンジョンと呼ばれる物の正体である。
ダンジョンを最下層まで踏破出来たら、メシアが創った世界でも生きて行ける。そうプログラムされており、最初こそ最下層まで到達する者は多かった。
しかし、回を重ねるごとに数は減って行き、最終的に誰も到達出来ずに飲み込まれることが多くなって行った。
救済プログラムとして、取り込む前の世界をダンジョンとして利用し、生物のデータを徐々に強化し、最後に魂を戻す方法まで用意されている。
中には、ダンジョンを破壊する者もいることから、様々な方策が取られていた。
んで、今目の前にいる球体が、そのメシアだ。
「よう、やってくれたなこの野郎」
返答は、強烈な重力操作。
押し潰されそうな圧力を受けながら、アマダチを斬り上げ力の大元を断ち切る。
さあ、最後の戦いだ。
「覚悟しろやこの野郎!」
俺はメシアに挑む。




