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無職は今日も今日とて迷宮に潜る【3巻下巻12/25出ます!】【1巻重版決定!】  作者: ハマ
8.ネオユートピア

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ダンジョン攻略31

12月25日3下巻発売されます!

 夢の中で、東風は理想の姿をイメージしろと言っていた。


 正直、俺がどうなるかなんて想像も出来ないし、こうなりたいという姿なんて思い浮かべるのも難しい。


 考えに考えて最初に浮かんだのは、ヒナタのような天使の姿。


 それを俺に当てはめてみると、うん、似合ってないな。


 次に思い浮かべたのは、ト太郎が聖龍だった頃の姿。


 うん、無理。

 どう頑張っても、首の長いマッチョなト太郎の姿しか思い浮かばんわ。


 その次に思い浮かべたのは、これまで奈落で出会った大怪獣共。


 まあ、無いな。

 どれも姿がキモかったし、俺の美的センスからしてあんなのゲテモノの類だ。あんなのになったら、閉じこもって外に出られなくなるわ。

 ユグドラシルなんて、ただの木だからね。引き籠る以前に、動けなくなっちゃってるからね。もう論外だわ。


 その後も、ああでもないこうでもないと考える。


 考えに考えて、何でもいいから思い浮かべたのは、あの森での日々。


 千里には悪いけど、俺の人生で一番心に残っているのは、ヒナタやト太郎、フウマと過ごした日々だ。

 長い時間を共に過ごし、培ってきた絆というのは案外頑丈な物で、気軽に手放せるものではない。


 俺が成りたい姿は、あの頃の俺だ。


 少しばかり危険だったけど、穏やかに過ぎる日々を生きた俺の姿。



---



 人の肉体を保つ。

 この願いは、残念ながら果たせない。

 人の肉体はどれだけ強化しても、俺の持つ力には耐えられない。

 だから、人の形をモデルにして、肉体その物を変質させる。

 質量が増大し、密度が増す。

 それだけでは足りず、膨大な魔力を結晶化して細胞の一つ一つに織り交ぜる。

 副作用で目の色が黄金に、髪の色が白銀に変わったが、それは許容範囲だろう。


 しかし、これでも俺の力には耐えられない。


 仕方なく、守護獣の鎧を使う。

 この鎧を、俺の一部として取込む。


 魔力と同様に結晶化させ、強度も修復能力も増大させる。更に、俺の魔力を織り交ぜたからか、魔法陣を使う予備動作が必要無くなった。もっと言えば、魔法の威力が増大した。

 更に、聖龍の素材も使っていた影響か、純白の鎧へと変わり、より龍に近い装飾が追加され、元の甲冑の面影は無くなってしまった。


 これで、ようやく半分の力が発揮出来るようになった。


 次に不屈の大剣を取り出す。

 聖龍剣を使おうとしたら、ト太郎から『やめんか!』と強目の非難のお声をいただいたので諦めた。因みに、イルミンスールの杖も同様である。冷たい奴らだ。

 なので不屈の大剣なのだが、やはりというか、同じように取り込むと純白へと変化した。幾何学模様が増えて、その性能は聖龍剣を超える物になってしまった。


 これで八割くらいだろうか、ここまでやっても俺の全力には耐えられない。


 まだ必要なのかと、うんざりする。


 俺はスキルをいじる。

 幾つもあるスキルを魂に刻み込み、俺そのものにする。

 これでスキルの能力が更に向上するが、親和性が高まったことで負担が減り、全ての力が使えるようになった。


 と、思ってた。

 ここで想定外の出来事が起きてしまう。

 スキル【限界突破】が悪さをして、俺の力を更に増大させたのだ。


 テメーこの何やってくれたんだ! とスキルに文句を言いたくなるが、やっちまった物は仕方ない。


【自動人形生成】を使う。

 俺の体はこれ以上弄れない。ならば、外側に追加するしかない。

 大地から大量の土を奪い取り、力を使う補助器具へと作り変える。

 外付けの武装になってしまい、どこのロボットだという見た目になるが、まあこれは後々変更可能なので後でデザインしよう。

 それらを一旦収納空間に閉じ込めて、いざという時に使うとしよう。


 全能感が襲って来る。

 これまでにも経験していたが、今回のは少し違う。


 ただ虚しい。

 この世で一人になってしまったかのような孤独感。

 それだけの感覚だった。


---


究極体アルティメット田中ハルト(原初と終焉の神)

《装備》 

イルミンスールの杖 聖龍剣

《状態》

究極体

《召喚獣》

フウマ


---


 目を開けると、先に変化を終えたフウマが戦っていた。


 フウマは麒麟のような姿に変わっており、ウロボロスを相手に奮闘していた。


 力を増したフウマでも、長時間の戦闘はきついだろう。

 そもそも、変化したばかりで、力の使い方も理解しきれていない。むしろ、良くやっていると褒めるべきかも知れない。


 昔使っていたような戦輪がフウマから飛び出す。


 戦輪は巨大になっていき、ウロボロスの黒炎と衝突して相殺する。

 先程まで、森羅万象やアマダチでしか消せなかったのに、フウマだけで対処してしまう。


 強くなった。

 恐ろしいほどに、もう後戻り出来ないほどに。


「行くか」


 俺が言葉を発すると、フウマとウロボロスが反応する。

 フウマはようやくかといった様子で、ウロボロスは警戒心を強めて後退った。


 右手に大剣を握り締め、無造作に振るう。

 そこから放たれたアマダチは、反応するのも許さず巨大なウロボロスを両断してしまう。


 ここに来て初めてウロボロスの魔力が減った。

 それも大きく、半分になるほどの量が無くなった。

 大地から吸い上げているのだろうが、わずかな間にこの量を補うのは、いくらウロボロスでも不可能。


 大地に落ちるウロボロスを観察して、どちらが本体なのかを見極める。


 結果、どちらでもないと判断して、大地を操り地中に潜ったウロボロスを追跡する。


「……捕まえた」


 頭部を大地の手で捕まえて、地中から引き摺り出すと、ウロボロスの大きさは当初の大きさに戻っていた。


 ウロボロスが口に魔力を溜めて、足掻こうとするが、「無駄だ」と、魔法を操り頭部を握り潰した。

 不完全に発動したウロボロスの魔法は、俺の魔法と一緒に頭部を飲み込んで消滅させる。


 即座に頭部を再生させたウロボロスは、俺を睨み性懲りもなく最大の攻撃を放つ。


 『混沌転輪』


 黒い球体は全てを飲み込み、規模を拡大させながら俺を飲み込もうとする。


 フウマに視線を向けて合図を送ると、俺を助けに……助けに……来る気は無さそうだった。


 こいつ、俺の召喚獣ってこと忘れてないか?


 少しくらい助ける素振りを見せたら可愛げがあるのに、これである。もっと可愛らしい召喚獣が欲しかった。


 そんなことを思いつつ、再び大剣を握る。


 これまでと同じ技。

 これを避けられたのなら、戦いは更に激化するだろう。だけど、そうはならなかった。


「アマダチ」


 先ほどは相殺する結果に終わったが、今回は違う。

 白銀の光は混沌転輪を裂き、その先にいるウロボロスの大半を消滅させてしまう。


 崩れ落ちるウロボロス。


 何とか再生しているようだが、もう今までのような力は残されていない。

 いくら大地から魔力を得られたとしても、ここまで消耗しては回復するまでに、相当の時間が必要になるだろう。


 随分と小さくなったウロボロスは、今度はジッと俺を睨み付けていた。


 沈黙が続く。


「……なんだよ?」


 問い掛けても反応は無く、ただ俺を睨み付けるだけ。

 殺意も戦意も何も無い、ただ俺を睨んでいた。


 ならば、これで決着を付けようと大剣を振り上げる。


 するとどうだろう、ウロボロスは地中に潜ってしまった。


 まるで何もなかったかのように去って行くウロボロス。


「いやいや、逃がさんよ」


 当然だろう。

 ここで逃して、ユグドラシルを狙われたりしたら、俺がここまでやって来た意味が無くなってしまう。


 再び地中から引き摺り出して、その身を晒させる。


 驚いているウロボロスだが、こいつを自由にさせるほど俺は寛容じゃない。


「全部終わるまで、お前を封印する!」


 殺すつもりは無い。

 こいつはあくまでも、ダンジョンの守護者であって、本来なら敵対する存在ではない。


 絶叫して抵抗するが、逃さない。

 俺の支配下にある大地に縛り付け、収納空間から装甲を取り出して魔力を回復出来ないように細工する。俺を恨みがましく睨んで来るが、最後は大人しく封印された。


「……さあ、次だ」


 あとは、ダンジョンの中心部。

 イルミンスールでも勝てなかった相手がそこにいる。

少し言い訳。

ハルトの最終形態の名前はいろいろ考えたんです。

神様の種類とかも調べてみたんだけど、どうにもしっくりこない。

何とか原初(根源・秩序)と終焉 (アマダチ)の神は思い付いてたんだけど、そのまま名前に使うにはこれじゃない感が強過ぎる。

もっとハルトらしいのって考えたら、そのまんまでいいやんってなったんですよ。なので究極生命体アルティメットシイング、生命体なのかも怪しい段階まで来たので、シンプルに究極体にしました。

異論は認めます。


それでは、残り十話ちょいくらいですがお付き合いください。

書籍版もよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
なんか理由付けてるけど一番痩せてる時期を思い浮かべたんだなw
アルティメット田中・・・ 黒タイツに上半身裸の力道山スタイルしか思い浮かばん
いやいや、デブどこ行った!? 色々取り込んでるみたいだし体積増えるやろ! 千里との賭け負けろやーーーーっ!
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