表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
336/348

ダンジョン攻略2

2巻4月25日に発売されます!

特典等分かりましたらお知らせいたしますので、よろしくお願いします!

 二号からイルミンスールの杖を受け取り、俺は早速ダンジョンに向かう。


 実家の近くに出来た場所から、ダンジョンアタックしても良かったのだが、ポータルが反応しなかったので、わざわざこっちに来ている。


 出来ることなら日向とは離れたくはなかったが、こればかりは仕方ないと諦める。


 代わりと言っては何だが、日向の側にフウマを置いている。


 これは何かあった時に、対処する為だ。

 何かとは、日向が狙われるとかではなく、日向の魔力が暴走して他人に危害を加えないようにだ。


 母ちゃん曰く、生まれてから数日はこんなことはなかったそうだ。

 しかし、俺が接触してから魔力を発するようになったらしい。


 俺がきっかけなのか、俺が来るまで我慢していたのか不明だが、もうそれもどうでもいい話ではある。


 まあ、そんなわけでフウマがいる以上、実家の心配はしなくてもいい。

 もしも危害を加えようとするのなら、フウマが容赦なく捌き倒して市中引き回しの刑に処すだろう。


 なので、俺はダンジョンに集中することが出来る。


 装備を身に付けて、不屈の大剣を背にダンジョンに向かう。


 まだ昼間というのもあり、周囲からの視線が突き刺さる。


 何見てんだよ。

 なんて威嚇なんて出来るはずもなく、人目を避けるように足早にダンジョンに入った。



 ダンジョン41階


 ジメジメとした湿気が不快で仕方ない。

 ダンジョン41階からのフィールドは、ジャングルのような熱帯雨林だ。


 ダンジョンなだけあり、ただのジャングルなはずもなく、毒の沼や底なし沼、灼熱の泥の沼などがそこかしこにある。

 植物も猛毒を含んだ種類が多く、毒への対策が必須な場所だ。


 この階で現れるモンスターは、デスワームと呼ばれる巨大な芋虫のようなモンスター。

 見た目はロックワームの幼体に似ているが、その大きさと頑丈さは段違いだ。しかも、毒を吐いて来るというおまけ付き。


 そのデスワームを斬り伏せて、さっさと先に進む。


 次の階までの道は、イルミンスールの杖が知らせてくれる。


 その誘導に従って、俺は歩いて行く。


 おうふ⁉︎ やっべ、毒の沼にハマっちまったぜ。


 杖が指し示す道は、とにかく真っ直ぐだ。

 そこに何があろうと、真っ直ぐに行けと言って来る。


 いやお前な、俺だから生きてるからな。

 普通だったら、毒にハマった時点で死んでるからな。


 分かってんのかこの野郎とガタガタ揺らすと、杖から蔦が伸びて来て、鎧の隙間から侵入して俺の腕を締め付ける。


 イデデデデッ⁉︎⁉︎

 この野郎! 俺の頑丈を貫通して来やがった!


 スキルをすり抜けた攻撃。

 まさか、己の武器から受けるとは思わなかった⁉︎


 あの森での生活では、この杖をメインウェポンに戦って来たが、ここまで反抗的な反応をされたことはなかった。


 えっ、なに、もしかして反抗期なの?

 これまで仲良くして来たじゃん。

 なに? もしかして二号に絆されちゃった?

 イデデデデッ⁉︎⁉︎


 まるで意志があるかのように、杖は俺を締め付ける。

 いや、実際に意志はある。

 これまで使っていて、何度も感じた優しい気配だ。


 まあこれも、久しぶりのスキンシップと思えば、そう悪くはイデデデデッ⁉︎


 へし折るぞこの野郎!


 腕をへし折ろうとして来るので、ならば先に杖をへし折ってやろうと握る手に力を込める。

 すると、ミシミシと音が鳴り、冗談冗談という意志が伝わって来た。しかも、どこか楽しそうだから、本当にスキンシップの一環だった可能性がある。


 ったく、さっさと行くぞ。


 その後も何度も沼に嵌りながら進み、到着したのは空が暗くなり始めた頃だった。


 おかしいな、最短の道を進んでいたはずなのに、かなり時間が掛かってしまった。


 それだけフィールドが広いというのもあるが、空が低いというのが地味に痛い。


 そう、ジャングルのような世界なのに、空が有限になっているのだ。


 洞窟のフィールドよりは空は高いのだが、ある一定の所から、何らかの力場があり上昇出来なくなっていた。


 正直、力尽くで突破は出来る。

 だけど、それでどんな影響が出るのか不明で実行出来なかった。


「アマダチ」


 というのは嘘で、試しにやってみる。


 全てを断つ白銀の剣閃が、空を切り裂く。


 切った先から見えるのは、ほんの半年前までいた世界だった。


 そう、現れたのは奈落の世界。


 その切れ目から、一体のモンスターがこちらを覗き込む。


 それは魚の目をしており、顔は猛禽類に似ていた。体はゴリラのようにゴツくて、背中には猛禽類の翼が気持ち悪いくらいたくさん付いている。


 そいつに向かって飛び、首を掻っ切って、怯んだ所を風属性魔法であっち側に吹き飛ばす。


 あのモンスターとは、奈落の世界で何度か戦ったことがある。

 首を落としたくらいじゃ死んでくれない、中々に厄介なモンスターだった。


 怒りの叫び声を上げるモンスターだが、その姿も空間の切れ目が無くなると見えなくなってしまった。


 うん、今ので分かった。

 もうさっきみたいなのは、やめておこう。

 いつでも奈落に行けるというのは分かったけど、あそこがどこか分からなければ、きっと俺は遭難する。


 もう、あの時のような大冒険は、真っ平ごめんである。


 正直、今の実力があっても、生き残れる自信が無い。


 あそこには、世界を滅ぼすやべー大怪獣のような奴らがわんさかいる。

 海亀の一部にも苦戦するような俺が、あんな奴らを相手に戦えるとは到底……到底…………うん、たぶん無理だろう。


 ただ、何故か、あの大怪獣を相手にするイメージは出来てしまった。



 ダンジョン42階


 翌日、階段を下りて次の階の探索を開始する。

 ここで現れるのは、モンスターは妖精だ。


 小さくて、羽の生えたティンカー◯ルのような可愛らしい姿。に擬態した醜い羽の生えたカエルだ。


 擬態と言っても、姿を変えているのではなく、幻でそう見せている。おかげで、空間把握で感じる情報とのギャップに、ええ〜と顔を歪めてしまう。


 こいつ、どんだけ可愛い物に憧れてんだよ。

 お前らの種族は、お前らの中の美で完結しとけよ。

 それとも何?

 その姿って、俺が求めている姿だとか?

 だとしたら、俺ってやべー奴じゃん⁉︎


 妖精が笑みを浮かべて接近して来る。

 その小さな手には、魔力が込められており、接触するかどうかのタイミングで魔法に変換された。


 それを杖で叩き落として、踏み潰して先に進む。


 羽虫のように、たくさんの妖精が集って来るが、杖で地面を突いて魔力の波を生み出せば、全て弾けて散ってしまった。


 一応擁護しておくと、この妖精は40階のボスモンスターのギムレット同様、多くの魔法を使える結構厄介なモンスターではある。

 だが、まあ……俺が相手でごめんなさいといった感じだ。


 くっそ熱い沼を抜けて、先を進む。


 杖は、相変わらず真っ直ぐにしか道を示さないので、嫌がらせでもしているのかと勘繰ってしまう。


 いや、俺の耐久力を考慮して道を示しているのなら、それも間違いじゃないんだけど、もうちょっと気を遣ってくれてもええんやで。おうふ⁉︎ また熱い沼かよ、まったく熱くて汚ねー風呂に入った気分だぜ。


 デスワームもどうだ?

 その大きな口に、熱い泥を流し込んであげようか?

 いらない?

 遠慮すんなよ、流動食みたいで食べやすいかも知れないぞ。


 大きな口を開けたデスワームに、地属性魔法で操った熱い泥を突っ込んであげる。


 すると、バタバタと暴れ出して、泥を吐き出してしまった。

 どうやらお気に召さなかったようだ。


 というか、まだ生きているのに驚きだ。

 大ダメージは受けているが、何とか生きようと足掻き、俺から逃げようとしている。


 流石に追撃する気にはならなくて、見逃してしまった。



 ダンジョン43階。


 本日で、ダンジョン攻略を開始して三日目である。

 そう、もう三日目だ。


 俺の中では、一日で十階を攻略するつもりでいたので、かなり時間が掛かっている。


 幸い、準備はバッチリしているので、食料の心配はない。

 念の為にポーションやマジックポーションも購入しているが、使う機会は無さそうだ。


 まるで遠足のような気分でダンジョンを攻略しているが、本来ならもっと慎重に進むべきなのだろう。


 ふぁ〜と欠伸をしつつ、ガルムと呼ばれる大きな犬のモンスターを杖で殴り飛ばす。


 キャンと悲鳴を上げて下がると、ドンッ! と火球を吐いた。


 おいおい、そんなもん吐いて火事にならないだろうな? なんて思いながらあえて避けてみる。


 火球は木に着弾して爆発を巻き起こすが、起こった結果はそれだけで、燃え広がる様子は無かった。


 これなら大丈夫かな、そう判断した俺は、新しく使えるようになった魔法を使う。


「レイ」


 別に口にする必要はないのだけれど、初めて光属性魔法を使うというのもあり、呪文っぽいものを唱えてみた。


 すると、杖先から細い光が照射され、ガルムを貫き、先にある木々も貫いてしまった。


 大きな体の上半分を失ったガルムは、倒れて動かなくなる。

 それでも警戒してしまうのは、この状態でも復活するモンスターを散々見て来たからだろう。


 良かった。

 普通に死んでくれた。

 当たり前のことに安堵しつつ、探索を再開させた。



 それからも、探索はおおむね順調に進んで行く。


 だけど、ダンジョン45階の探索中に、ある特殊なモンスターに襲われた。


 それは、普通とは違ったデスワーム。

 口周りが爛れており、何かで焼かれたようになっていた。体も前に見た時よりも遥かに大きくなっており、赤く赤熱しているように見えた。


 その肉体から発せられる熱は、まるで命を燃やしているようで、憎しみの塊のように見えた。


 世界が切り替わる。

 ジャングルが消えて、溶岩が流れる世界になった。


 恐らく、ユニークモンスターになったであろうデスワームが咆哮を上げる。その声だけで、普通の人は失神するかそのまま死ぬだろう威力を秘められていた。


 これは、俺が見逃したのがいけなかった。

 あそこで、きっちり終わらせてやれば、無用な憎しみを抱かせないで上げられた。


 悪かったな。


 そう呟きながら、収納空間から取り出した不屈の大剣で両断する。


 命を断ち切った感触が手に伝わる。

 デスワームの上半分が落ち、下の部分も力を失ってドウと倒れた。

 段々と熱を失っていき、残ったのは透明に結晶化した物だった。


 足元にはスキル玉が転がっており、それを拾って手の中に消えるのを見届けた。


 今更、どんなスキルを得るんだよと、あっても仕方ないなとも思ってしまう。


 元のジャングルに戻ると、俺は探索を再開させた。




ーーーーーー


田中 ハルト(25+13)(卒業)

レベル error

《スキル》

地属性魔法 トレース 治癒魔法 空間把握 頑丈 魔力操作 身体強化 毒耐性 収納空間 見切り 並列思考 裁縫 限界突破 解体 魔力循環 消費軽減(体力) 風属性魔法 呪耐性 不滅の精神 幻惑耐性 象徴 光属性魔法 悪食

《装備》 

聖龍剣 不屈の大剣(魔改造) 守護獣の鎧(魔改造) イルミンスールの杖

《状態》

ただのデブ(栄養過多)

世界樹の恩恵《侵食完了》

世界亀の聖痕 《侵食完了》

聖龍の加護 《侵食完了》

聖天の心部

《召喚獣》

フウマ


---

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
まじかよどこでもでぶれるじゃん
面白い
これで奈落の意味わからん野菜も食えるな!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ