二十八日目
ポストに、以前履歴書を送っていた企業から返信が来ていた。
まあ、分かってはいたが不採用だ。
欲を出して、身の程を弁えずに大企業に履歴書を送ったのだが、やはりダメだった。
俺は再び、履歴書の作成に取り掛かる。
以前は体力の続く限り作成して、複数の企業に送っていた。だが今は、一社に送って結果が届き次第、次の企業に送るようにしている。
ダンジョンである程度稼げており、余裕があるのも理由の一つだが、しっかりと企業を調べて選びたいと思ったのが最大の理由だ。
可能なら次に就職する会社に骨を埋めたい。
社畜根性丸出しと言われたらそれまでだが、安定した生活とは、それだけ価値があるものだ。
履歴書の作成を終えた俺は、ある物の魔改造に取り掛かる。
ある物とは、ソロキャンプ用のテントで、それをダンジョン野営用に作り変えるのだ。
昨日ネットで探していると、ある動画がヒットした。
それはテントの自主作成動画で、ダンジョン内でも使えるという触れ込みだった。
俺はこの動画を見て、これだと思った。
無いなら作ればいい。
DIYの基本である。
昨日の帰りに買っておいた素材を、ソロキャンプ用テントの上に取り付けて行く。これだけでも、耐久力は格段に上がり、モンスターへの隠蔽効果もあるそうだ。
コツコツと作業を続け、昼前には作業が完了した。
思ったよりも早く終わった。
あとは、いつ泊まりがけでダンジョン探索を行うかだが、明日、明後日で体験的にやってみようと思っている。
グダグダやっていると、結局やらないで終わりそうなので、早目にやっておきたいのだ。
そうと決まったら、今日は食料や道具の買い出しである。
ダンジョン15階
買い出しは終わった。
終わったら足がダンジョンに向いていた。
今日はゆっくり休んで、明日に備えたかったのだが、体が疼いていつの間にかダンジョンに来ていた。
これはアレだな。
運動と一緒だな。やらないと落ち着かない、日課になってるやつだ。
俺にとってダンジョンとは、運動と同じなのだろう。
実際に体も動かしているし、良い汗も流している。
結構、生臭かったりもするし、命の危機もそこそこあったりもするが、激しい運動も出来てまるでアスレチック場にいるような気分だ。
うん、良く言い過ぎたな。
取り敢えず、自分の内心には目を背けてダンジョン探索を進めよう。
神鳥の靴に魔力を流して、鉤爪を出現させながら蹴りを放つ。すると鉤爪が伸び、離れた場所にいたモンスターを掴んで引き寄せた。そこを大剣で突き刺し止めを刺す。
試しにやってみたら上手くいった。
神鳥の靴で空中を蹴る際、鉤爪を出していると、いつもより大きくなっている気がしたのだが、どうやら間違いなかったようだ。
鉤爪は魔力によって操作が可能だ。
俺は新たな攻撃手段に素直に喜んだ。
攻撃手段が増えるのは、かなりありがたいのだ。
これから、どんなモンスターが出て来るか分からない。既存の攻撃が通じない相手だって出て来るかもしれないのだから、取れる手段が多いに越した事はない。
そんな感じで探索を進めて行くと、16階に続く階段を発見した。
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田中 ハルト(24)
レベル 14
《スキル》
地属性魔法 トレース 治癒魔法 空間把握 頑丈 魔力操作 身体強化 毒耐性 収納空間 見切り 並列思考
《装備》
俊敏の腕輪 不屈の大剣 神鳥の靴
《状態》
デブ(各能力増強)
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18時に幕間投稿します。
 




