地上20
俺を豚呼ばわりした海亀をしばき倒した次の日、父ちゃんから連絡が入った。
母ちゃんが落ち着いたようなので、帰って来ても大丈夫なのだという。
どんな状態なのか詳しくは教えてもらえなかったが、精神的にかなり不安定になっているそうだ。
どうしよう、お土産持って行った方が良いかな?
女王蟻の蜜じゃ駄目かな?
お腹の赤ちゃんに悪影響ありそうだし、辞めた方が……。
もしかして、母ちゃんが不安定なのって、蜜を飲めなくて禁断症状が出てるとか?
あり得るな、俺もこの一杯がなかったらやる気が出ないと思う。
コップに入った女王蟻の蜜を一気に飲み干す。
……クィ。
あれ? おかしいな。味は変わらないのに、脳髄を刺激する感覚が無い。体に響き渡る多幸感も無くなっている。
これはどういう事だ?
ん? 俺にもくれって?
足元にいるフウマが、俺にも寄越せと主張して来る。
コップに注いでやり、ほいっと渡す。
ゴキュゴキュと独特な効果音を響かせながら飲み干すと、「ブル」と首を捻っていた。
恐らく、初めて飲んだ時に感じた刺激との違いに戸惑っているのだろう。
え、違う物を渡すなって?
馬鹿野郎、正真正銘の蟻蜜じゃ!
その後も、女王蟻の蜜とキラービーの蜜を混ぜたり、砂糖を混ぜたり、ヨーグルトを買ってきてミックスしてみたりしたが、あの時のような刺激が無くなっていた。
……もしかして、劣化しちゃった?
おい、マジかよ⁉︎ 俺の生き甲斐が無くなっちまったじゃねーか!
収納空間って、入れた時の状態で維持されてるんじゃないのかよ!
くそっ、これじゃあっちに行くまでお預けじゃん。
まだ大量に女王蟻の蜜が収納空間に残っているのに、全部無駄になってしまった。
だからと言って、捨てるのは勿体無いから母ちゃんにお裾分けしてあげよう。そうすれば、少しは元気になるだろう。
良い親孝行になりそうだ。
そう自画自賛していると、フウマがジト目を向けて来る。
なんじゃい、別に腐ってないんだからいいだろう。
「ブルル」とそれはあかんやろと否定して来るので、仕方ないから別のお土産も買って行くとしよう。
サクッと出掛ける準備をすると、家を出る……前に、またスマホが鳴った。
はいはい、はい、田中ですけど、はい、どちら様でしょうか?
神庭? ああ、うん、うん登録しとく、うん、ごめん。
トウヤ目覚めたのか、分かった。
説明は……早い方が良いのか?
分かった。じゃあ、今日の午後はどうだ。
うん、じゃあ、カズヤ達にも連絡しといてくれ。
待ち合わせ場所は……どこがいい?
ギルドの会議室が使えるって? ああ、あったな、そんなの。
分かった。じゃあ十五時にギルドに集合な。
スマホに表示された時計を見ると、まだ十時前と時間はたっぷりあるので、当初の予定通りに買い物に出掛ける。
次の目的地がギルドというのもあり、ショッピングモールで買い揃えようと考えている。
お土産なんて何でも良いのだろうが、今回はまあ、特別に多目に買って行こうと思う。
ん、なに? 本が欲しいって?
んーまあいいだろう、欲しい物持って来い。
フウマが漫画が欲しいと言うので、欲しい物を持って来させる。
すると、百冊くらい籠に入れて持って来たので、お前いい加減にしろよと怒っておいた。
この野郎、ちょっと召喚が遅れたからって調子に乗りやがって。少しは遠慮しろや、この野郎。
と、文句は言いつつも、まあ買いはするんだけどね。
この地に止まっていられる時間は、それほど長くはない。ここで使えるお金は、あそこでは一銭の価値もない紙切れに変わる。
なら、地上のお金は、今のうちに使っておいた方が良いだろう。
なので、ピッとお会計を済ませてショッピングモールを散策する。
適当に買い食いをして、フウマが子供達に囲まれて、親御さんに写真撮ってもいいですかと聞かれて了承すると、何故か俺の写真が撮られたりしたが、まあいつも通りだ。
とりあえず、マスクとサングラスはしておこうかな。
変装してぶらぶらと歩いていると、ちょうど昼食の時間になった。
その足でフードコートに向かい、適当にうどんをチョイスする。もっとジャンクな物でもよかったが、なんだか日本的な食事がしたかった。
フウマも同じようで、器用に椅子に座って、器に口を突っ込んで豪快に食べていた。
フウマの食べ方が汚いからか、店員さんが注意しようかどうか迷っているようだった。
なんかすいませんねぇと会釈をすると、引き攣った顔をしていた。
これはどういう意味だろうかと考えていると、背後から声を掛けられた。
「ここはペット禁止なんだよ。もしかして、着ぐるみを着ているのかな?」
そう教えてくれたのは、幼稚園児の女の子の手を引いた男性だった。
男性は髪を七三に分けており、チョビ髭にメガネを掛けている。身体つきは華奢に見えるが、空間把握で感じ取る男性からの印象は、引き締まった肉体とそこそこの魔力を持っている探索者。と言った所だろうか。
ただ、この男性どこかで見た気がする。
園児である女の子の方にも見覚えがあり、誰だったかなぁと頭を捻る。
誰ですか? って聞くのも失礼だよぁと思っていると、女の子の胸に名札があるのを発見した。
【あざぶ メイ】
それを見て思い出した。
お久しぶりです、麻布先生。
席を立って挨拶をする。
この人には、魔法陣の本でお世話になっている。
あの本がなかったら、奈落では生きて行けなかった。今でも使っているし、これから先も使うと思う。
それだけ、俺に合っていたのだろう。
麻布先生に挨拶をすると、俺はフウマの首根っこを掴んで食事を辞めさせる。と言っても、すでに完食していたので、意味は無いが。
フウマを下ろして、店員さんに直ぐに出るんで許して下さい! 知らなかったんです! と泣いて縋り付くと、引き攣った顔で許してくれた。
それじゃあ、と挨拶をして去ろうとすると、メイちゃんがフウマを撫で回していた。
フウマも嫌がってはおらず、相変わらず好きにせぇといった様子で抵抗しない。そんな状態で、俺が引き離せるわけもなくどうしようかと迷っていると、麻布先生から提案を上がる。
それは、外で一緒に遊ばないかというものだった。
まあ、フウマも満更じゃなさそうだし良いかと思い、分かりましたと頷く。
すると、グルンと首を回して、血走った目で俺を見るフウマ。
いや、嫌ならそれっぽい反応しろよ。
分からんだろうが、バカ馬。
ショッピングモールの近くにある広場に移動すると、子供連れの家族が団欒を楽しんでいた。
そんな中で、フウマに乗ってはしゃいでいるメイちゃん。
そして、順番待ちしている子供達の列。
良かったな、人気があって。
「メ〜」
悲しみの声を上げるフウマ。
鳴き声が紛らわしかったのか、えっ羊? と困惑している親達がいた。
それは麻布先生も同じようで、あれって羊なのかい? と聞いて来た。
え、ああ、フウマは馬ですよ。
飼育が大変かって言われると、そうですね。凄く大変です。
めちゃくちゃ食うし、我が儘言うし、迷惑かけるし、不細工なんで良い所が一つも無いですね。
言うこと良く聞いているって言われても、あいつは子供に弱いだけですよ。俺には蹴り入れて来ますからね。無闇に近付かない方が良いですよ。
そんなフウマの話をしつつ、麻布先生は最近の話をしてくれた。
どうやら、仕事でネオユートピアに行っており、中々家族と会えなくなってしまったそうだ。
「子供達には、寂しい思いをさせてしまっていてね。情けない親だよ……」
寂しそうに、悲しそうにしている麻布先生の表情が印象的だった。
きっと、子供達も分かってくれますよ。と慰めの言葉を送るが、困ったように笑うだけだった。
子供のいない俺が言っても、言葉に重みはなかったのだろう。
まあ、そこら辺は仕方ない。
だって不安なのは、俺も同じだから。
その後も軽く雑談していると、十五時も近くなって来たので、用事があるんでお暇させてもらいますと別れを告げた。
勿論、フウマは置いて来た。
「ヒヒーン!」
のだが、俺がいなくなったのに気付いて追って来やがった。
ちっと舌打ちをすると、フウマの前脚が背中に突き刺さった。
ぐべっ⁉︎ と地面に倒れて引き摺られる俺。
おかげで、サングラスとマスクが使い物にならなくなってしまった。
体?
無傷だよ。
まさかコンクリートに引き摺られても、怪我一つ負わない体になるなんて思いもしなかったな。
壊れたサングラスとマスクを収納空間に入れて、ギルドに向かって歩いて行く。
遠くからでも見える巨大な洞窟があり、その近くにギルドの建物が立っている。何とも言えない光景たが、それを当たり前と多くの人が受け入れている。
別に良いのだが、改めて見ると違和感しかない。
いずれダンジョンと呼ばれる洞窟から、多くのモンスターが出て来るのだろう。その頃には多くの探索者が育っていて、対処しているんだろうな。なんて想像してみたりする。
そうなるとは思っているが、実際どうなんだろうか?
その為のギルドだと思っていたが、実際の所どうなんだろう?
ナナシや二号がそこら辺どうにかしていると、勝手に思っていたが確認してなかったな。
どうせ俺には関係ないと思っていたが、魔王の言葉を聞いて、少しばかり未来の世界が心配になってしまった。
まあ、今から考えてもしゃーないなと頭をかいて、ギルドの前で待っているトウヤ達と合流する。
おう、体調はもう良いのか? とトウヤに聞くと、
「なんか目覚めてから体調が良いんです」
と笑顔で調子の良さを教えてくれた。
これは、海亀の魔力も関係しているのだろうか?
何とも言えない気持ちになりながら、それは良かったなと答えておいた。
ギルドの会議室に移動して、適当な席に座る。
さて、何から話そうか。
話す内容も、魔王が叫んだ内容が事実だというくらいで、新しい情報はない。
強いて言うなら、ダンジョンの侵食する期間が三百年から六百年くらい掛かるという事だろうか。
どうしてダンジョンが世界を侵食するのかも、期間の差は何なのかも、遅らせる方法も、回避する手段も、何を聞かれても俺は知らないので答えられない。
ただ、事実として、これまでに数多くの世界がダンジョンに飲み込まれて来たというのを伝えるしかなかった。
それを話すと、カズヤは口元を押さえて会議室から飛び出した。
話している間、段々と顔が青くなって来ており、気分は悪そうだなぁとは思っていた。
あいつどうしたんだ?
そう尋ねると、昨日から様子がおかしいという。
心配なんで様子見て来ますとアキヒロが席を立ち、それに続くように、同じパーティメンバーのサトルとミロクも出て行った。
扉の方を眺めていると、トウヤが昨日のカズヤの話をしてくれた。
「この話って信じます?」
別の世界からの転生者。
魔王と戦った勇者。
そう言えば、あのクリーチャーのような化け物を魔王と呼んだのもカズヤだった。
二人の会話の内容は、うん、まあ理解出来なかったな。だが、魔王はカズヤを狙っており、何か因縁はあるのは分かっていた。
それが勇者って、また厨二心くすぐられるなおい。
カズヤがああなるのも納得だわ。
とはいえ、それが真実なら、かなり辛いだろう。
魔王はダンジョンが世界を侵略すると知っていたし、それに抵抗していたような口ぶりだった。
実は魔王こそが世界を守っていて、勇者ともてはやされた奴が世界の敵だったとしたら……。
カズヤが魔王を倒したのが原因で、世界が滅んだのだとしたら……。
魔王がカズヤに向かって、滅亡の魔王と叫んでいた理由も納得する。
滅亡の勇者カズヤ。
側から聞けば、ただのイタイ二つ名だが、この言葉通りの事をやったのだとしたら……。
カズヤは大丈夫なのか?
いや、大丈夫じゃないだろうな。
こういうのは、物語の中だけにして欲しいもんだ。
え、何? 一柱って何って?
知らない。
え? 神様の数え方なの? へーそうなんだ。よく知ってるな。
「田中さんは、神様なんですか?」
んなわけないだろ。
アホな質問をして来るトウヤをバッサリと切て捨てる。
他に質問されても何も答えられんけど、質問あるかと尋ねると、九重から質問が上がった。
え? ダンジョンが世界を取り込むってどこで聞いたのかだって?
…………んー、んーー、んーーー……言ってもいいけど、多分信じないぞ。
それでも聞きたいというので、うおっほんと前置きをして、
ダンジョンの最下層には、生き残った住人達が協力して街を作ってんだ。そこで、今の話を聞いた。
「一気に嘘くさくなりましたね」
おい! だから言っただろうが!
俺だって、自分の目で見てなかったら信じてねーよ!
それでも見たんだよ!
信じられないだろうがな。
あんな過酷な世界で、文明を築けているのが奇跡だ。ユグドラシルやト太郎の力があったとしても、あそこまでの物を作るには長い年月と労力が必要になる。
それだけの期間守り続けたト太郎は、ただの首の長いトカゲじゃなかったのだろう。
じゃあ、どうしてダンジョンの危険性を教えてくれなかったのかって?
教えてるって言ってたよ。ただ誰も信じてないだけらしい。
ん、何か証拠はないのかって?
そんなん言われてもなー、この鎧と大剣はそこで直してもらったやつだし、それと……この服は、そこの住人の一張羅だ。
守護獣の鎧と不屈の大剣を見せて、それっぽく見えたみたいだが、オクタン君から貰った服を見せるとドン引きしていた。
いやいや、お前ら失礼だろ!
俺の友達からの贈り物だぞこの野郎!
分かってる。これが前衛的ファッションなのは。
荒廃した世紀末にならないと似合わないのも分かってる。
それでも、オクタン君の喜んだ顔は忘れられないのだ。
いや、分かってくれたらそれで良いんだ。
え? 他にないのかって?
んー、カード型の端末は愛さんにプレゼントしたし、あとは……この枝くらいかな。
ユグドラシルに貰った枝。
奈落に夜の世界が訪れて、俺を送る準備が出来たら知らせてくれる大切な枝だ。
この枝を見ても、トウヤ達は首を傾げるだけで何の反応もしなかった。
だが、劇的に変わった奴がいた。
ドタドタと廊下の方が騒がしくなり、勢いよく扉が開かれた。
そこには血相を変えたカズヤが立っており、顔を洗っていたのか水が滴り落ちている。
言っておくが、決してイケメンという意味ではない。
そんなカズヤの視線は枝で固定されており、よろよろと手を伸ばして近付いて来た。
何だよ、渡さねーよ。
いやいや、お前のじゃないよ。
お前でもねーよ!
さっきから何言ってんだよ。最初っからだけど、なんかおかしいぞ!
俺の声が届いたのか、ピタリと動きを止めるカズヤ。
そして、ゆっくりと俺を見て、
「俺は前世で「それはもう聞いた」……」
カズヤの話は聞いているので、まあ頑張れとしか言えない。
故意ではなくても、世界を滅ぼした奴の気持ちなんて、俺には想像も付かないので、慰めの言葉も送ってやれない。
立ち直るのには協力してやりたいが、この枝は勘弁してほしい。
なんて思っていたら、目の前からカズヤの姿が消えた。
どこに行った⁉︎ なんてはずもなく、下を見ると床上で土下座している姿があった。
「田中、頼む。世界樹の枝を貸して下さい。あの人に、ユグドラシルに訊かないといけない事があるんです。お願いします。俺には、それしかもう……」
それは懇願だった。
土下座をしているから、それはそうなのだが。
どうしてカズヤは、これが世界樹の枝だと分かったのだろう。やっぱり前世関係か? ユグドラシルも知っているみたいだし、そこら辺の関係を詳しく知りたい所ではある。
それで聞いてみたのだが、何ともお粗末な内容だった。
カズヤの前世は、世界樹の枝を元に作り出されたホムンクルスだったようで、勇者というよりは命を弄び作り出した兵器だった。
倫理観のカケラもない実験。
その末に生み出された存在。
魔王と呼ばれる世界を守る神を殺すよう運命付けられた、哀れで悲しきモンスター。
そこまで聞いて、どうしようかと迷う。
正直、世界樹の枝をちゃんと返してくれるなら、貸しても構わない。
最悪、実家からこっちに戻って来る頃には返してもらえたら問題ない。
スッとカズヤの前に枝を出してみる。
飛びつこうとしたので、ヒョイッと避けておく。
それを何度かしても、止める気配がないのでどうしようかと余計に悩む。
世界樹の枝への執着心は相当な物だ。
これで返してくれと言って、大人しく返してくれるだろうか?
パクられそうな気がするな、凄く。
なあ、因みにどんな事を聞くつもりなんだ?
「……どうして俺の存在を許したのか、それが知りたいんだ」
……。
俺は世界樹の枝を収納空間に放り込んだ。
絶望した表情のカズヤがいるが、とりあえず胸ぐらを掴んで立たせてみる。
お前な、転生したんだろ。
じゃあ、前世のしがらみを捨てて今を生きろよ。
産んでくれた親がいるんだろ、お前を慕ってくれる仲間がいるんだろ、そいつらを蔑ろにしてまで、前世にしがみついてんじゃねーよ。
「お前に、お前に何が分かる!? 世界を滅ぼしたかも知れないんだぞ! 多くの命を奪ったかも知れないんだぞ! それを無視して生きろと言うのか!? ふざけるな!」
それこそ勘違いだ。
言っただろ、世界はダンジョンに取り込まれているって。お前が魔王を倒そうが、魔王が世界を守っていようが、ダンジョンは世界を取り込んでんだよ。
早いか遅いかの違いでしかない。
俺の言葉に納得いっていないが、言い返せる材料もなくカズヤは悔しそうに歯を食いしばっている。
昨日の奴も見ただろ、魔王より圧倒的に強い存在だ。
あんなのがいても、守れなかったんだ。あれ以上の化け物共がいても、世界は取り込まれてんだよ。
それでも、お前のせいで世界が終わったと思っているなら、それはお前の傲慢だ。
「……じゃあ、どうしろと言うんだ」
魔王も言ってただろ、今度は間違えるなって。
前は指示されての結末なら、今度はお前が考えて行動しろ。次こそは間違えないようにな。
収納空間から再び世界樹の枝を取り出す。
そして、カズヤにグイッと押し付ける。
もしも、前世の因縁を断ち切るというのなら、少しの間だけ、枝を貸してやる。
お前は勇者じゃない、ただの人だ。
それだけは忘れるなよ。
少なくとも、俺のような化け物じゃないんだからな。
最後は、口にはしなかった。
俺の事情なんて、こいつらには関係ないから。
カズヤは世界樹の枝を持つと、何とも言えないような複雑な表情をしていた。
あれだけ欲しがっていた世界樹の枝でも、その目的を変更してしまうと、恐怖を覚えているのかも知れない。
黙ったカズヤに大体二ヶ月でこっちに戻って来るから、それまでに決着を付けろよと伝えておく。
連絡先も聞いて、これで説明は終わりだと告げる。
すると、トウヤから飯に行きませんかと誘われたが、これから実家に帰るからと断った。
そう、これから実家に帰るのだ。
千里と愛さんに実家に帰るから、用事があったら連絡してくれとメッセージを送っている。
これで、急な呼び出しにも対処出来るはずだ。
トウヤたちに別れを告げて、人がいない場所を探す。
ぶらぶらと歩いてようやく見つけた場所は、ギルドから大分離れていた。
フウマに跨り、んじゃ行くか! と声を掛けると、「ヒヒーン!」と嗎声いて空へと飛び立った。
実家に向けて飛び、それから到着したのは二日後の夜だった。
ーーーーーー
田中 ハルト(24+13)(卒業)
レベル 74
《スキル》
地属性魔法 トレース 治癒魔法 空間把握 頑丈 魔力操作 身体強化 毒耐性 収納空間 見切り 並列思考 裁縫 限界突破 解体 魔力循環 消費軽減(体力) 風属性魔法 呪耐性 不滅の精神 幻惑耐性 象徴
《装備》
不屈の大剣(魔改造) 守護獣の鎧(魔改造)
《状態》
ただのデブ(栄養過多)
世界樹の恩恵《侵食完了》
世界亀の聖痕 《侵食完了》
聖龍の加護 《侵食完了》
《召喚獣》
フウマ
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