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第2章 4、うまくいかないもの

 テオフィールに与えられた客室につくなり、アニカはどさっと寝台に倒れ込んだ。


 特別疲れていたわけではないが、ここの寝台はふかふかしていて心地が良い。瞼を下げれば、そのまま眠ってしまいそうだった。


 窓の向こうはとっくに陽が落ち、燭台を灯していない室内は薄暗い。けれど、燭台はつけない。アニカの目は、月明かりだけでじゅうぶん室内を見渡せる。


 薄墨に染まった天井を見上げ、アニカはそっと息を吐く。


 どうせ死を待つ身なのだから、許されるままここに滞在するのもいいかもしれない。それとも強引にここを出て、また旅をはじめようか。

 今日の外出でよくわかった。

 法術師も人間である。

 撒こうと思えば、いくらでも撒けるだろう。


(テオフィールが油断してるうちに、なら、できなくもないはずだけど)


 心配なのは、彼が病気だということだ。

 アニカの寿命を分けてあげられたらいいのに、と思う。


 そしたらお互い、万々歳なのに。


「……うまくいかないものね」


 ぽつりとつぶやき、そっと目を閉じた。

 屋敷にいる人間たちの話声が、壁を突き抜けて聞こえてくる。うるさい、と耳を押さえて寝返りをうった。


 ふと、近づいてくる足音があった。

 台車を引いていることから、夕食を届けにきたのだとわかる。


 眠ってしまいたかったアニカは軽い息をつきながら、給仕を迎え入れるために立ち上がった。

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