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生命枝計画  作者: 子畑
NegaResurrectionPLR
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P2 呪われたモリス

挿絵(By みてみん)


 あのクソ忌々しいネガリザレクションが起きたのが、8年前の話だ。

 2051年の10月末日、ハロウィーンの仮装を纏った浮かれ集団と町中を照らすオーグメンテッド・リアリティの光が異世界の祭りを作り上げ、夜が最高潮に盛り上がった瞬間だった。

 世界は終わり、仮装行列は火葬の列となって積み重なり地獄を作り出した。

 遠くから連中を憎らしそうに見ていた俺も骨になって転がり、奴らの仮装パーティの仲間入りをした。

 あの日から8年だ。

 ゾンビーだけが存在する世界で人の成れの果て達は魔女を狩って生きていた。

 魔女とはいわゆる一つの役割の呼称でこの世界のイレギュラーな存在だ。

 各地で呼び名は異なるようで、シンギュラリティ、ポストヒューマンなどと呼ばれてる場所もあるらしい。

 法も命も無い世界で人の道を逸れたアウトロード達が彼女らを魔女と呼び、ライフワークとして魔女を狩り生きる。

 何故かは知らない。

 そう言うことは偉い奴が知っている。

 死体にも偉い奴がいるんだな。

 働くことは好きじゃないが前職のエンジニアよりかは遥かにやりがいを感じていた。

 今日もボロボロになった個人端末に魔女の情報が送信されてくる。


「ポイント・ヴィクトリーの廃墟群に魔女がいる!やつをぶち殺せ!」


 と業務メッセージとは到底思えない粗暴な言葉が並ぶ。

 ウイスキー瓶から直接体にアルコールを流し込むと、胸元に灯るウィスプ炎がちらちらと燃え上がる。

 肉体が死んだ後もこの火が灯る間は我があると確信が持てた。

 おそらくはこの炎こそが俺そのものなのだろう。

 自分の体が良く解らない仕組みで動いているのは生きていても死んでいても変わらない事だった。

 ゾンビー犇めく街中。

 奴らにはウィスプは無い。

 ゾンビーの群れに紛れるように背中に小さな影が付いてくる。

 彼女もまた一つの魔女。

 彼女にもまたウィスプは無い。


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