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エピローグ

 ここまで読んでくださった皆さん(*ToT)ありがとうございます!

本当にありがとうございます!!

ついにここまでたどり着くことができました。すごく感無量です。

だいぶ筆足らずになってしまいましたが、詰め込みたかったことは

十分過ぎるほど詰め込めたように思います。

 36話からは執筆が追い付いていなくて(>ω< )更新しながらだったため、

構成(話の順番)を手直しした方がいいような気がしてます。エピローグも少し時間軸が戻ってしまいます。


 それでは、ラスト、エピローグです。

お楽しみ頂けることを心より願って、投稿します!

12月15日日曜日、湘南海岸公園


「懐かしいな、全然変わらないね、この辺は」

 キラキラと輝く水平線を見渡すと、近くにあるベンチにサニーは腰を下ろした。

「結構来たよな」

「だね。ルイのお気に入りだった」

「今もたまに来るよ」

「Really?」

「教授とルイには会いに行かないのか?」

 笑顔のサニーに答えながら、秀平も隣に腰をかけた。

「秀平の依頼でそんな暇なかっただろ。よろしく言っといてよ」

「土産もなしに手ぶらで言うのもなぁ」

「その辺でクルミっ子(鎌倉紅谷の土産)買おうか?」

「なんの土産だよ、自分で渡せよ」

 笑いを交わしながら、海岸と海風のもたらす解放感に、秀平は目を細めた。

 今日、サニーから「すべての頼まれごと(・・・・・)を終えた」、と結果報告に呼び出されていた。この解放感にはそれもあるはずだ。

 サニーも両腕を伸ばして顎を上げると、日の光と風を嬉しそうに顔に受けていた。

「サニー、前に言ってたさ、……俺じゃ解決しないことって……」

「あぁ、あれ?」

 サニーは覚えていたようで、秀平が言い切るより前に相槌を重ねてきた。

「……普通はみんな、自分が優先で物事を考えるだろ?ピンチの時ほどなおさらさ。けど、近しいとか……特別な人には少し違って、自分のことより相手のことを優先してしまうことがある」

 真面目な顔で話したかと思うと、秀平の方を向いて屈託なく笑った。

「本当は頼るべき相手なのに、相手のことを考えてしまうあまり頼れないこともあるってこと」

「美月と俺がそうだって言うのか?俺のことを優先して……頼らないって」

「美月さんはそういうタイプだろ?秀平だって気づいてるんじゃないかな」


 美月の両親の葬式の日、美月を守ろうって決めた。

 美月が受け入れようと受け入れなかろうと、美月の本当の兄として……本当の兄ってやつがどんなものかも分からないけど、俺だけはその役割を務めきるんだって思った。

 4つだった美月は俺に懐いてくれて、何かと甘えたり頼ったりしてくれてる、と思う。周囲からも『仲が良くて理想的な兄妹』なんて良く言われた。

 でも、……俺には踏み込めない壁がある。

 美月は、本当に辛い時に独りで耐えようとする。

 10年前のあの時からずっと、変わらない。


「近しいからとか、特別だからじゃないんだ……」

「秀平?」

 考えていることが口をついて出てしまったことにハッとする。

「あ、いや、俺じゃやっぱ力不足なんだろうなって。今回の件で痛感したよ、お前だったら美月ももっと素直に頼れるのかもしれない。頼りがいについてはサニーに完敗を認めるよ」

 冗談めかして誤魔化すとサニーは少し意外そうな顔をした。

「秀平、随分可愛いな」

「は???!」

 予期せぬ言葉に、弱気な本音を漏らしてしまった気恥ずかしさが吹き飛んだ。

「何寝言……」

「美月さんの遠慮は近過ぎて特別だからだよ。力不足で頼りないからじゃない。あんなに好かれてて何言ってるんだか。頼りがいのある男対決は残念ながら引き分け、と言いたいところだけど、だいぶ秀平の方が優勢かなぁ」

 サニーは楽しそうに笑った。

 こいつ(サニー)が軽々しく分かったような口をきかないのは知っていた。けれど、俺と美月の10年を知らないのに、全て見てきたみたいに断言されて、反論したかった。

 美月は「好き」とか「大事」とか「特別」だとか、俺への感情を言葉にして言ったことは一度もない。両親にもそうだ。どんなに親しげにしていても、感情の奥底では受け入れられていない。だから辛いんじゃないか。

 俺にとっての切実な問題に、余裕めいたサニーの態度が無性に捨て置けなかった。

 問い詰めたいことを山盛り積んでおいて、それを晴れ晴れしい笑顔一つで片付けようとか、させるかよ。

 今回ばかりは全部説明させる!と意気込んだ秀平に、サニーは満面の笑顔で続けた。

「秀平ならそのうち自分で気づくよ、全部。美月さんの守護神(ガーディアン)

「!」

「今はちょっと力が入りすぎてるだけだ。だから見えるものが見えていない」

 穏やかで力強い微笑みに、秀平はすべての疑問を飲み込んだ。いや、飲み込まされた。

 不思議なものだ。

 あんなに、(いかり)のように重苦しかった悩みが、浮き上がって流れ出すように感じた。絶大の信頼を寄せている男がそう言うのなら、それでいいと思った。

 10年前から始まった、解けない難問。探している答えは自分で見つけたい、いつか自力で見つけられるのなら。

 こいつ(サニー)ってば、表面上(うわっつら)だけじゃない、本当に俺が欲しい言葉をくれるのな。

「……サンキュー、サニー」

 秀平は傾きかけた陽の光を反射する海面に目をやり、その眩しさにそっと目を伏せた。

「お前が俺の代わりに学校に潜入してくれて助かった」

 少し照れ臭くなってお礼の理由を誤魔化した。

「どういたしまして。思いもよらず、タフな日本滞在になったよ。気になる寺社・仏閣を見て廻るつもりだったのに」

 楽しかったけどね、と立ち上がったサニーは目を細めた。

 どんな形かは思案中だったが、秀平はそれ相応の礼を返すと決めていた。

「そうだったのか?悪い。もしサニーが良ければ、明日から俺が車出して廻ろうか?」

「Awesome! 秀平と車中泊旅行、行きたいねー」

「なんで車中泊だよ、ちゃんと宿は取るよ」

 サニーの名前を出せば、教授もみんなも、明日からでも休みをくれるだろう。

秀平がスマートフォンを取り出して画面を触り始めるのを見て、サニーは悪戯(いたずら)を思い付いた少年のように嬉しそうに顔を綻ばせた。

「すっごく魅力的なお誘いを断るの残念だけど、明日の便でザルツブルクに発つんだ」

「は?!」

「成田へのドライブだったら喜んで」

 全身に夕陽の光を受けたサニーは、太陽みたいな笑顔でウインクした。



 いかがでしたでしょうか?初投稿作品無事完結です。これも読んでお付き合いくださった皆さんのお陰です。本当にありがとうございました!m(*_ _)mペコリ

 時間軸が行ったり来たり非常に読みづらい作品だったと思います。謎の提示の仕方も慣れていなくて、予想したり、推理したり、ジグソーのパーツを吟味して、並べていく楽しさを提供できたのか心配しながらの挑戦でした

 よろしければ、広告の下にある☆☆☆☆☆から、作品の率直な感想を聞かせていただけると嬉しいです。ダメ出しもアドバイスも質問も大歓迎です。

 タイトルもアイデアありましたら(無償提供になりますが)ぜひお願いします。流石に完結したので、来週中には決めたいと思っています。その参考にさせて頂きます!


 少しでも気に入って頂けましたら、『ブックマーク追加』、『レビュー』をよろしくお願いします。励みにして、次作品へのモチベに繋げたいと思います!

本当に読んでくださりありがとうございました!!

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