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【短編集】異世界時計管理室

異世界時計管理室〜オーパーツが使えなくなった会社員は…

「なろうラジオ大賞3」応募作品です。

 ここは、異世界時計管理室。

 机の上の書類は、相変わらず山積みです。



「あ、そう言えば、例の第一級オーパーツ持ちの会社員、監視対象から外れたぞ」


 室長が思い出した様に言って、私に書類を渡した。


「第一級って…ノートパソコンですよね?もう定期調査だけでいいんですか?」


「どうやらバッテリーが切れたらしい」


「発電の重要性に気付かなかった?…いや、きっと彼は…ある意味、気付いたんですね」


 私は報告書に目を落とした。そこには、彼は元いた世界でかなりブラックな会社にお勤めしていた社畜だと書かれていた。異世界に呼び出されて、また使い潰される未来を回避したのね。


「良かったな、気にしてただろ?」


「はい…彼も、下手な魔術師の意味のない召喚の被害者ですから」


 本来、異世界からの召喚はこの世界に必要なモノだ。危機的状況下において、それを解決しうる特殊な知識だったり、召喚後この世界に適応して発現するスキルやステータスなどの能力を持てる人が異世界から召喚される。

 呼び出された方は、"迷惑な話だ"と思うだろう。でも、それがこの世界の常識であり、私達が存在する意味でもある。


 でもね、今までの異世界召喚は、数十年に一回程度だった。それが、あの国の魔術師は召喚"下手"なのに"失敗"しないから何度も召喚を繰り返している。本当に失敗したらどうなるかも知らずに。


 何とかしたいんだけど、私達はまだ手が出せないんだよね。だから、城から追い出されてしまった人の保護と見守りをして、この世界に馴染めるように手助けをしてるの。


「意味のない…って事もないみたいだぞ?」


「えっ?」


「彼は特殊効果付きの鑑定スキルを持っているんだ。調べた農業の知識を持って、不毛の地に移住するらしい」


「不毛の地⁈大丈夫なんですか?」


「大丈夫だろ。あそこは普通の農作物の種は全く育たないから不毛の地と言われているが、未知の木や草が生い茂る土地だ。彼の鑑定で食べられる物を選別してその地に合う栽培ができれば、珍しい食べ物が手に入るようになるんじゃないか?」


「はい!現地調査に行きたいですっ!」


「ダメだ、俺が行く」


「何でですか〜?」


「まだ危ないんだよ、魔物の生態もよくわかってない土地だからな」


 せっかく美味しい物が食べられると思ったのに。とりあえず室長がお土産持って来ると約束してくれたので我慢します。


「じゃあ、行って来る」


「行ってらっしゃい」


 また当分一人でお留守番です。寂しい。

あと2話年内投稿したかったけど、間に合いそうにないですね…

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