みんな仲良し~白くま君とエスキモーさんはとても仲良しです~
ある日エスキモーさんが、氷に、穴をあけて魚を釣っていました。ところが、エスキモーさんは、うっかりして釣り竿を穴に、落っことしてしまいました。エスキモーさんは、とっても悲しくて泣きそうになりました。そこへ仲良しの白くま君が、やってきました。エスキモーさんは、泣きたいのをぐっとがまんして白くま君に、言いました。「ねぇ、白くま君。私釣り竿を穴に、落っことしちゃったの。」すると心の優しい白くま君は、「いいよ、大丈夫だよ。僕が、拾ってきてあげるよ。」と言いました。
エスキモーさんは、仲良しの白くま君が、穴に、落っこちたら死んでしまうのではないかと心配でしたが、こう言ってみました。「ねぇ、白くま君、大丈夫なの?」と。それだけ言うのが、やっとのエスキモーさんです。白くま君は、大きな背中とうんと強そうな胸をとんとんと叩いて、こう言いました。「はい。じゃあ、お願いします。」と。
白くま君は、にこっと笑ってこうも言いました。「だいじょーぶさ。僕に、まかせて。」そこでエスキモーさんは、また思い切って言いました。「じゃあ、気を付けて。」とだけ。エスキモーさんは、白くま君のことが、心配でそれだけ言うのが、やっとでした。そして、エスキモーさんは、白くま君のことが、とても心配で下を向いて思わず泣いてしまいました。白くま君は、本当は、怖かったけど…。そうです。本当の事を言うと、本当に、死んでしまうんじゃないかと、白くま君も心配でした。でも、仲良しのエスキモーさんが、泣いているのをみると急に、「僕は、強いから大丈夫だ。」と、いう気持ちに、なってきました。
そこで白くま君は、思い切って穴の中に、飛び込みました。「怖いよー。」白くま君は、大声で悲鳴をあげました。白くま君は、少しずつ深い穴の中に、落ちていきます。やがて白くま君は、地球の真ん中にある熱いマグマのところまできました。そのとき白くま君は、「あつーい、あつい。」と叫びました。マグマのところで、白い毛が、焦げて真っ黒に、なってしまいました。それでも、どんどん下へ落ちて、ついに、白くま君は、南極へ着きました。
真っ白だった白くま君の毛が、マグマで焦げて真っ黒。白くま君は、黒くま君に、なってしまいました。黒い白くま君は、痛いのと自分が、真っ黒なのとでびっくりして、思わず泣き出してしまいました。泣きながらも白くま君は、途中で拾った釣り竿をちゃんと持っていました。
そこへ、南極のペンギンさんが、やってきました。「君は、だぁれ?」白くま君は、びっくりして、真ん丸な目を、もっと真ん丸にして、こう言いました。「君こそ誰?」ペンギンさんも、優しそうな真ん丸の目で、黒くなった白くま君に、言いました。「僕は、ペンギンだよ。」と。黒い白くま君も、言いました。「僕は、白くまさ。」と。2人は、すぐに、仲良しになりました。
ペンギンさんは、黒くなった白くま君に、尋ねてみました。「何で君は、黒いのに、白くまなんだい?」と。白くま君は、少し悲しいけど、やっとのことで答えました。「ここへ来る途中に、すごく熱いところが、あったんだ。そこを通ったら毛が、焦げて白くまの僕は、あっという間に、黒くなっちゃったんだ。」心やさしいペンギンさんは、言いました。「そうだったの。でも大丈夫だよ。」
そう言うと、ペンギンさんは、大急ぎでうちに、帰りました。そして、もうずっと前に、仏様から頂いた、ガマの穂綿を白くま君に、あげようと、また大急ぎで、白くま君のところへ戻ってきました。「白くま君、これは、ガマの穂綿だよ。これにくるまれば、もう大丈夫。もとの白い熊さんに戻れるよ。」それを聞いた白くま君は、とても喜んで早速ガマの穂綿に、くるまってみました。あたたかくて、柔らかいガマの穂綿に、くるまっていると、小さい頃、おかあさん熊に、抱っこされた時のように、うっとりとし、眠くなってきました。
すると、ペンギンさんの言ったとおり、黒くなった白くま君の毛が、少しづつ、少しづつ、白くなっていきました。そして、3日程で白くま君は、今までどおりの毛の白い素敵な白くまに、なりました。白くま君は、ペンギンさんに、何度もお礼を言いました。3日間のうちに、白くま君もペンギンさんも、大の仲良しになりました。
でも、白くま君は、エスキモーさんの待っているところへ帰らなければなりません。2人は、別れるのが、本当に本当に、悲しかったけど、思い切って、バイバイする決心をしました。白くま君は、「元気でね。ありがとう。」と、言いました。ペンギンさんも、「さようなら。元気でね。」と、言いました。
さて、こうして北極へ、帰ることになった白くま君は、また穴に、飛び込みました。そして、エスキモーさんの待つ北極へ、とおいとおーい南極から帰って来ました。白くま君は、大変白くま君のことを心配していた、エスキモーさんに、言いました。「ただいま。はい、竿を拾ってきたよ。」と。エスキモーさんは、「ねぇ白くま君、本当に、大丈夫だったの?」と、聞いてみました。「うん、ほらこのとおり、大丈夫だよ。」白くま君は、くるっと、まわって、体をエスキモーさんに、見せました。エスキモーさんは、とても安心しました。そして、嬉しそうに、竿を受け取りました。
「白くま君、本当に、ありがとう。」と、エスキモーさんは、心からお礼を言いました。「うん、いいよ。」と白くま君は、言いました。白くま君とエスキモーさんは、嬉しくて思わず、腕を組んで踊り出しました。そして、もともと仲良しだった、白くま君とエスキモーさんは、前よりもっともっと仲良しになりました。