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愛理と裕子

  次の日の月曜日


いつものように昼休みは3人で弁当を食べる。


「で、健司君。あの後はどーなったのか詳しく報告しなさい」 

直人が言い始めた。


「お前らが消失したおかげで、2人仲良く遊園地を堪能できたよ」


「それは良かった。消えた甲斐があったな。なあ裕子」


「愛理から連絡あったんだけど、彼女 すっごく健司のこと気に入ってたよ。本当に紹介してくれてありがとうってお礼言われた。健司、愛理と何があったの?」


「別に特別何もなかったと思うけど… 彼女も遊園地が大好きだから二人ではしゃぎまくってただけだしね」


「またまた~ 夕暮れの観覧車、雰囲気が高まったところでキスとか… 」 

裕子が言ってきたので


「それは裕子の希望だろ? 直人、次遊園地行ったら夕方に観覧車のってキスして欲しいんだと」


「んなこと言ってないでしょ!」 

裕子がガチで怒った。



「でも愛理ちゃんがそんなにご機嫌ってことは… お手々繋いで仲良くぐらいはあったんじゃないのか?」

さすがにその辺はばれるよな。どうせ愛理さんから裕子に連絡も行ってるんだろうし…


「午後はずっと手をつないで遊園地廻っていたよ」 

言っててだいぶ恥ずかしい。


「ふぅ~ん そうか… 」 


裕子にいじられると思ったが、何故か疑問に思うことがあるみたい…



「どうした、愛理さんからの電話で裕子にそんなこと言ってなかったのか?」 

俺が聞くと


「言ってなかったね。それよりも愛理がそんなことねぇ~ 」


あれ、紹介されたその日に手をつないで遊ぶって… やっちゃいけなかったの?



「普通の女の子だったら、ノリですぐに手をつないでってのはあるけど… 愛理がそれをやるのは考えられない、ってか聞いたことがないからね」


「あの子ね、自分の考えしっかり持ってるんだよね。だから周りがどんなに言っても言うこと聞かないし、それにあれだけ可愛い顔でしょ… 寄ってくる男も多いんで結構警戒心も強いのよね」


「それで健司君。愛理さんにも気に入られたみたいだし、カップル誕生か?」


「本気で気に入られてるかどうかは分かんねーよ。気を使ってくれただけかも分かんねーし。」


「なんかお前 乗り気じゃねーな。あんなかわいい子に気に入られてるんだぞ?」



「裕子の言う通り、あの子ってしっかりしてるんだよね。何か色々話してて、俺がいかにガキかって思い知らされたとこあるし… 彼女は大切にしてあげないといけない人だよ」


「でも、これから連絡とったり、遊びに行ったりするんでしょ?」


裕子がそう言ったので


「一応そういう約束になってるけどね… まだこれからだから先はわかんねーよ」


「なんかお前の態度見てて思うんだけど、本気で愛理さんと付き合う気があるのか?」


「そりゃ、あんな可愛い子がOKしてくれるんだったらね… 」



直人の言葉に適当に答えたが… 本当はどうなんだろうな。 


何か今は水曜日に会う立花先輩のことを考える方が多いな…… 





夜、約束の時間に裕子の携帯電話が鳴る。


「もしもし裕子、時間大丈夫?」


「昨日連絡もらってたから時間はあけといたよ」


「それで、今日どうだった? 頼んでおいたこと健司君から聞き出してくれた?」


「あの日、愛理と一日過ごして、健司君が愛理のことをどう思った、だよね?」


「可愛いとかそんな感想はいらないんだよね。私と言う人間をどう見てくれたんだろうか? なんだよね」



「でもさー、私からも一つ質問あるんだけどさ、健司君のこと気に入ったんだよね?」


「それはもちろん。あんな男の子、めったに巡り合えないよ。裕子には本当に感謝してる」


「それじゃ、回りくどいことしないで直接付き合えるように持っていけば? あんただったら結構簡単に行くんじゃないのかな… 」



「あの日一緒に遊んでて思ったんだけど… 多分それは無理だと思う。私の見た目だけで彼を引き寄せることはできないね。どちらかと言うと、私を可愛いとは思ってくれてるけどそれは見た目だけの感想を言ってるだけで、だから好きだと言うんじゃないと思う」


「なんかね… これからこの女の子に接近して仲良くなろうって気持ちが感じられなかった… かな」



「愛理があんまり可愛いから、どうせフラれるって思ってて、現実感がわかなかっただけじゃないの?」


「私もね、自惚れじゃなく初めは、現実的に見てくれて無いからそうなのかなって思ったんだけど…だから手をつないだりして現実感を持ってもらおうとしたんだよね… 」


「だから、手をつないだりしてたんだね。今日、健司から聞いてびっくりした。愛理がそんなこと自分からしたのって聞いたことないからね」


「白状するけど、実はもっとアプローチかけてみたんだよね… えへっ」


「それでも健司は積極的にならなかったの?」


「そうだよ。ただ手をつないだり、腕を組んだりだけ… かるく抱きしめられるかなって期待したけど…なーにもなしだよ。ま、彼は誠実そうな人だからそうなのかもしれないし… そこもいいんだけどね」


「愛理が可愛い過ぎるから、緊張して手を出しづらかったとか… 」



「夕方、手をつないで駅に向かってた時、彼はしっかり私の手を握って歩いてくれたの。それがすっごく落ち着いててね、… 逆に私の方が緊張した。 惚れちゃった えへっ」


「あの時は、彼も緊張していなかったし、次のステップに行くんだったらこのタイミングで言ってくれるかなと思ってたんだけど… 彼からすごい優しさと、守ってくれそうな暖かさを感じたんだけど… 」


「そういえば、健司は愛理のこと、しっかりしてて尊敬できるって言ってた。それと大切にしてあげないといけない子だって言ってた」


「やっぱりそうなんだよね。なんとなく分かってた。健司君は私のこと『人間』として見てて、『女の子』として見てないんだよね」


「やっぱ健司は女の子慣れしてないからそうなるのか… 超鈍感だからそうなるのか… 」


「多分健司君は優しすぎるからそうなんだと思う… あと、ちょっと鈍感かも あはは」



「それで、愛理はこれからどうするの?」


「もちろん、積極的にアプローチをかけていきます。 ただし、健司君に合わせた感じでね」


「愛理がこんなに積極的なの、初めて見るね。高校生になって何か心境の変化?」


「それもあるけど、一番は健司君と言う人が見つかったから」


「私は他の人たちみたいに、今の気分を満足させるためだけの適当な彼氏なんて欲しくない。できれば最良な人を見つけてずっと一緒に居たい。だから、自分からもいろんな人と出会うように積極的に行動していた。そしてやっと見つけた。それが健司君なんだ。だから簡単にあきらめたりしない。裕子の話を聞いてもしかしてって期待していったけど、本当にその通りの人だった。本当に裕子には感謝だよ」


「そういってもらえると嬉しいけど、うまくいかなくっても知らないよ。応援はするけどね」


「大丈夫。自分の意志で自分の考えで行くんだから、失敗しても後悔するはずないじゃない あはは」


「そういうところは、やっぱ愛理だわ。何も変わってないね」


「だけどね、何ていうか… 女の勘なんだけどね… 健司君 もしかしたら他に気なっている女の子がいるんじゃないのかなって… 」


「それは無いと思うよ。だって私は結構健司の近くにいつもいるんだよ。直人と健司が仲いいからさ」


「でもね… なんとなくそう感じるよ… 」


「もしそうだったら愛理はどうすんの?」


「別に、関係ないよ。だって現状恋人は流石にいないでしょ?」


「さすがに恋人はいないけどね」


「だったら、早い者勝ちでしょ。それに誰かに気が行ってても、こちらに向けさせればいいんでしょ?」


「さすがに愛理だわ。何か普通の恋愛相談と感覚が違う」


「私は可愛いから自信があるなんて思ってないよ。大事なのは健司君の心をつかむことだからね」


「そのためにこの顔を利用できるなら、そこに使う程度のことだけ。その程度のもんだよ。」


「ほかの女の子の前でそれ言わない方が良いよ。本当に恨まれるよ」


「あのね、もし他の誰かが健司君の心をがっしりとらえたね、私がどんなに頑張っても健司君は私に振り向いてくれないよ。顔なんてしょせんその程度のものだよ」


「なんか、あんたが言うとすっごく重みがあるね」



「と言うわけで、これからもスパイとして健司君の近況報告お願いね」


「あのさー、健司に愛理の気持ちを私から教えたらだめなの?」


「それはだめ。大事なことは自分で伝える。それにタイミングが重要だからね」


「私から持ちかけた紹介話だもんね。最後まで面倒を見るよ」


「さすが裕子。私の親友。これからも何かとお願い致します」



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