新たな出会い
今日は愛理さんと約束していた遊園地の日。俺は麗奈と合流してから幸次との待ち合わせ場所に向かい、合流後に遊園地へ向かった。愛理さんとは遊園地前で待ち合わせ予定。
俺たちが待ち合わせ場所に到着すると、愛理さんはすでにそこで待っていてくれた。
「ごめんね、待たせちゃって。とりあえず俺の友達を紹介するよ。こいつは『 瀬尾幸次 』おれの1年からの友達」
「瀬尾です。初めまして」
「私は、結城愛理と言います。色々と訳あって、健司君と麗奈ちゃんの友達です。高校2年生です」
紹介も終わり、みんなで遊園地に入場したが、
「麗奈ちゃん 行こう!」
「うん 早く行こう!」
そう言って2人はジェットコースターのアトラクションに走っていった。そういえば二人ともジェットコースターが大好きだったな…
とり残された俺と幸次は二人でゆっくり彼女らを追いかけながら話していた。
「健司、やっぱお前の周りには“普通の女の子”ってのがいないんだな…」
「どうしたんだよ…」
「お前に粘着してた女の子も相当珍しい子が多かったけど、今目の前にいる女の子二人もある意味相当珍しいと思うよ」
「愛理さん、凄く可愛いだろ?」
「俺もあんなに可愛い子は見たことがないな… お前はあの子にどんなお世話になったんだ?」
「一から事情を話すと長くなるから… 取り敢えず、俺が困っている時に麗奈との対応を上手くアドバイスしてくれたとしか言えないかな…」
「それにしてもお前と妙に仲良さそうだな… 立花さんとも…」
「愛理さんは以前、俺が裕子から紹介してもらった女の子なんだ…」
「お前らどんな関係なんだよ… やっぱ健司の周りの女の子は不思議な子が多いな…」
「でも、愛理さんは自分の考え持ってて行動力もあって、しかも意志が強い、俺は尊敬してるよ」
「お前がそれほど言うんだったらそうなんだろうな…」
「ま、これから色々喋ってたらそのうちわかるよ」
それから乗り物好きな麗奈と愛理はワイワイ言って遊園地を満喫している。時折、愛理は健司たちの元へきて早く移動しようと言って健司の手を引っ張ったり、腕を組んでぐいぐい歩いて行ったりした。それを横で見ていた幸次はやっぱり違和感を抱く。
麗奈が健司と一緒にゴーカートに乗りたいと言って二人で乗りに行ったので、幸次と愛理は二人だけとなった。
「何か瀬尾君、あんまり楽しそうじゃないけどどうしたの?」
「俺はあんまり遊園地とかは好きじゃなくてね…」
「ならどうして今日は来たの?」
「健司に頼まれたから。健司がお世話になってる人がいるって言って、そのために頼むと言われたからだよ」
「今日は健司君のためだけに来たんだね…」
「そうだよ、それ以外ないしね…」
「そんなに健司君と仲いいんだ?」
「健司は俺にとって本当に大切な友達だよ」
「健司君、大切に思われてるんだね…」
「健司と俺は性格も似ていて… あいつの事はよくわかるんだよ。あいつも俺のことをよく理解してくれてるし…」
「ふう~ん…」
「そういえば結城さんはどうして健司にべたべたするんだ? 立花さんが嫌な思いするとか考えない?」
「その辺は私と麗奈ちゃんで話し合いがついてるからね… 色々お世話してるご褒美も含めて…」
「何かよく分からない関係だな。俺には理解できないね」
「ね、これからは名前でお互いに呼ばない?」
「別にいいけど…」
「それじゃ 幸次君だね。幸次君は彼女とかいるの?」
「彼女はいないよ。あんまりつくる気もないし… それにやりたいことがあるしね」
「何がしたいの?」
「俺は親父のように学校の先生をやりたいんだよ。俺の親父は一人の人間としても尊敬できる。俺もそんな先生になってみたいって思ってる。」
「凄いね、しっかり目標があるんだ…」
「目標をもってない奴らがおかしいんだよ。生きてるんなら何らかの目的があるだろうに…」
「でも、たまに彼女とかいないと寂しいって思わない?」
「全然。そういえば愛理さんは彼氏いないの?」
「好きな人はいるんだけど… 負けちゃってね、彼氏はいないんだ。でもまだその人のことは好きかな…」
「なんか複雑だな。それだけ可愛いのに負けることもあるんだな…」
「どんなに可愛くても負けてたら意味ないよね… えへへ」
そう言って笑う愛理を見て幸次は愛理の意外な面を見たような気がした。結構行動力があって強気なのに、案外弱い部分もあるんだ…
「それだけ可愛いんだから、その人がだめでもまたいつかはいい人が現れるよ…」
「慰めてくれるんだ…」
「事実を言っただけだよ」
「でも、なかなかあの人よりいい人っていなと思う…」
「愛理さんが好きなその人と彼女は上手く行ってるの?」
幸次は愛理の好きな相手が健司だとは全く理解していない…
「もうね、最高にうまく行ってるよ」
「そんじゃ 諦めたら… その好きな人もそれで幸せなんだったらしょうがないじゃん」
「そうだよね~」
「それでも諦められないんだったら、ずっと頑張って好きでいるかだね。それも有りかな…」
「幸次君ならどうする?」
「俺はそもそも負けたら諦めるけど… 明日自分がどう思うかで決めるかな…」
「どうって?」
「明日になればまた違う人と出会うし、その時々で考えるってことかな…」
「そうだよね…」
こんな話をしていて何となく愛理の元気も無くなっていった。
「どうしたんだよ、もっと元気にやれよ。朝は元気だっただろ?」
「そうだね。元気出していかないといい事も起こらないよね。そういえば、幸次君から見て健司君ってどんな人に見える?」
「やたら律儀で優しいお人好し、あと思い込んだらひたすら真っ直ぐかな」
「私が思っているのと同じだね」
「愛理さんも健司のいいとこわかってるんだね。俺から見てもあいつは最高にいい奴だよ」
「健司君はいい友達を持ってるんだね…」
愛理も今更ながら健司の事を色々と思い浮かべていた。
「そういえば幸次君、連絡先交換しない?」
「別にいいよ」
そうして愛理と幸次はお互いの連絡先を交換した。




