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2回目の告白



今日も健司は部活を休み部屋にいる。電気も点けずに薄暗い部屋の中に… 突然携帯電話が鳴りだし、健司は無気力に携帯電話をとり着信の相手を見る… 立花麗奈


慌てて健司は携帯電話に出る。


「もしもし…」


「健司君、… 今まで連絡できなくてごめん… 」


「そんなことどうでもいい 麗奈、お願いだから俺の元に戻って来てくれ…」


麗奈は暫く黙っていたが、突然喋りはじめた。



「健司君… 問題を出していいかな?」


「どんな問題だ…」



「私が待っている場所、私が待っている時間に私を迎えに来て… そしてその思いを私に伝えて…」



「どこなんだ、いつ?」


そう言って麗奈は電話を切った。


すぐに電話をかけなおしたが、二度とつながらなかった。


健司はパニックになりそうだった。そんなことを急に言われてもわかるはずがない。そもそも、今から出て間に合うのかも分からない。それに麗奈の話し方が… いやな気しかしない…



「もしもし、愛理ちゃん」


「どうしたの慌てて…」


「麗奈から電話があった。ただ、言ってる意味が分からない…」


「彼女 なんて言ったの?」


「私が待っている場所、私が待っている時間に私を迎えに来て、そしてその思いを私に伝えて… こんな感じで」


「健司君、その場所に心当たりは?…」


「急にそんなこと言われても… 分かるわけない…」


「もっと麗奈ちゃんの言ったこと全部思い出すのよ…」


「わかった。それともう一つ、俺は何を伝えればいいんだ…」


「健司君が思う… 思いの全てを正直に話して… すべて出し切るのよ」


「わかった」


「健司君、分かってるよね… 麗奈ちゃんの覚悟…」


「知ってるよ」


「それともう一つ、私との約束破らないよね…」


「大丈夫だ…」


「じゃ、急いで考えて。時間が分からないし…」


「すぐにやる」


健司は電話を切ると麗奈の言った言葉全て… 一言一句をもう一度思い出した。



私が待っている場所… 私が待っている時間… 



どうして時間まで指定している…  思い出の場所は沢山ある… だが、時間に関係するところ… もう一度麗奈の言った言葉全てを… 



解った… 麗奈の言った意味が全て理解できた。

場所と時間は解った… 後は時間、大丈夫… まだ十分間に合う。後は俺が麗奈に伝える気持ち… これは考えてもしょうがない… 思いの内を全て話そう


俺はすぐに行動に移した。一分一秒でも遅れるわけにはいかない…



時刻は夜七時、健司はその場所に到着した。


そこには… ベンチに座る一人の少女がいた。あの時と同じ格好をして…



「やっぱり… 健司君だね 解ったんだ… 」


「麗奈がヒントをくれてたからね…」


「健司君ならきっと… そう思ってた」


「後にも先にも麗奈に問題を出されたのはここでしかない…」


「じゃ、健司君の思いを聞かせて…」


そう言って麗奈はナイフを取り出した。



「本気だよ… 早く健司君の思いを聞かせて…」


「麗奈、お前本当に俺のことを愛してるんだよな…」


「そんなの決まってるよ… あなただけを愛してるよ…」


「それじゃ… まず俺を殺せ… お前のいない世界で生きてるつもりはない、これは愛する人からの命令だ」


「ほんとにいいの? 一緒に死んでくれるの?」


「別にいいよ… もともとお前が勝手に一人で死んだら俺も同じようにって思ってたから…」


麗奈が健司の目を見ると… 真剣な眼差しだったが、優しさがこもっていた。麗奈は本当に健司をナイフで切り付けても避けないだろうと感じていた。



「本当はね、麗奈ともっと先に行きたかった… 麗奈と旅行に行ったあの場所に今度は3人で行きたかった… 俺と麗奈と、俺たちの子供で…」



そのとき、地面に何かが落ちた音がした… 麗奈の持ってたナイフだ…


「私もそんな未来に行きたい… もっと一緒に居たい… ずっと… ずっと」


「なら死ぬな、死ぬより辛くても俺のために生きてくれ…」


「でも… 私はこんなんだよ… 自分の気持ちすら抑えられない…」


「でも麗奈は一人しかいないだろ… 俺は麗奈じゃないとだめなんだ…」


「もっと麗奈を抱きたい、もっと麗奈に触れていたい…」


「健司君…」


「麗奈、よく聞いて」


「……」



「麗奈さんが言ってほしい言葉は分からないけど、俺が伝えたい言葉はあります… 麗奈さんが好きです。結婚してください」



健司は麗奈に初めて告白した通りの言葉を言った。 結婚という言葉に変えて… あの時と同じ言葉で…



「正解……」



麗奈はその場に泣き崩れた。そんな麗奈を健司は優しく抱きしめる。



「麗奈の匂い… 麗奈の髪… 麗奈の体」


健司は壊れそうなものを触るようにそっと麗奈に触れていく。


麗奈は激しく泣きながら健司を力いっぱい抱きしめた。


麗奈の瞳にはもう何の迷いもなかった。



「私は健司君のために生きていく… たとえどんなにつらいことがあっても…」


「麗奈、先に進もう… まだまだ長いよ…」



二人はあの時と同じようにキスをした。たがいに近づいて…



ここは麗奈に告白した公園、あのときと同じ時刻、二人の始まりの場所……



麗奈と健司は互いに思った。



『 もう二度と度離さない、二度と離れない 』



その日健司は麗奈を健司の家に連れて帰った。

麗奈は健司の両親に温かく迎えられた。


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