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麗奈の決断

健司たちが修学旅行に行ってからの麗奈



「栞~ お弁当食べよ」


麗奈は普通に元気だった。栞も楽しそうにしている。


「そろそろ来るかな…」


麗奈がそう言っていると、携帯に着信。画像が送られてきた。実は麗奈は直人と裕子にこっそり健司の写真を送ってもらえるように頼んでいた。栞のために健司には聡君の写真を送ってもらう。麗奈の携帯には健司の制服姿が…


「きゃぁ~ 健司君の制服姿かわいい…」


麗奈は大喜びして見ていた。そう言えば、制服姿のお互いの写真をあまり持っていない。それに直人には30分に一枚という頻度で写真を撮ってもらっている。いわゆる共同ストーカー行為である。これで、健司の行動は全て麗奈に筒抜けである。直人にはお礼に麗奈の手料理招待券を渡している。直人は二つ返事で引き受けた。


1秒で親友を売った直人は素晴らしい… 麗奈は健司を信じると言いながら情報網は確立していた。何なら健司が昨日残したおかずの種類まで言える。当然電話ではなにも知らないふりをしているが、危うくばれそうになる時もあった。麗奈の携帯には健司の画像がどんどん増えていく。当初は健司の監視が目的であったが、逆に健司画像コレクションに興味が移ってきたぐらいである。



今日は健司君こんなところに行ったんだ… よしよし、周りに女の子の影はないな… 楽しそうに笑ってる…


麗奈は毎晩、健司の画像を見るのが楽しみになって来ていた。しかし、3日目を過ぎたころから何故か落ち着かなくなってきた。相変わらず新しい画像は送られてくる。


画像を見ると嬉しさは込み上げてくるが、その分何故か悲しみも込み上げてくる。4日目、健司から電話があり、明日には健司と直接会えると思ってすごく嬉しいのに、何故か楽しい声がでない。電話を切り終えて健司の画像を見ていたら… 何故か手から血が滲んていた。気づくと右手を凄い力で握りしめていて、爪が皮膚に食い込んでいた。


なぜ… どうして明日には会えるのに落ち着かないんだろう… もうすでに限界に近いのかな… 実際の健司に触れることが出来ず寂しさが増すばかりだが、それを我慢しようとしていた。しかし、我慢すればするほど、どんどん心が沈んでいく。



私、本当にどうしたんだろう…  頭では判ってるのに… すぐに健司君は戻ってくるのに…


明日からまた一緒に居られるのに…


… 今が耐えられない …


――――――――――


ようやく修学旅行から帰ってきた。今日は麗奈が迎えに来てくれるかと期待したが昨日の電話で少し体調が悪いと言って、今日は会えないと言っていた。麗奈の体調も気になったので、家に帰ってから麗奈の様子を見に行こうと思ったが、電話をすると今日はこのまま寝ていたいと言った。何か変だなとも思ったが、本当に具合が悪いのかもしれないので、俺も今日は一人で家に居ることにした。



今日、健司君が帰ってくる。嬉しい… やっと私の元へ帰って来てくれた… 栞にも一緒に彼氏を迎えに行こうと言われた。ただ、そのとき栞にも「麗奈、どうしたの…」と言われた。昨日、鏡を見た私も思った。まるで生気を感じない表情だ。今、健司君の前に出ても健司君を迎えてあげる優しい表情をする自信がない。


こんなままの表情なら絶対に健司君には見せたくない。私は具合が悪いと言って健司君と会うのを断った。


本当は物凄く会いたい… 今すぐにでも抱きしめてもらいたい…でも、今会うと… 心が壊れそうだ……



どうしてこんなになっちゃったんだろう… 愛理ちゃんに言われたのに… こんなんだったら、卒業して離れて生活なんてできるわけがない… 私は健司君に甘えすぎた。知らぬ間に深みにはまりすぎた…


初めて本気で好きになれる人と出会えて、その人に愛してもらえて…


その蜜の中で溺れてしまった。



私は健司君のマドンナ、そんな私がこんな情けないことを言ってはいけない… 心が折れそうでも我慢しないといけない  もっと先まで行きたい… 出来れば一生健司君の傍でいたい… だから… 今は健司君と会ってはいけない… 今会えば、絶対に抜け出せなくなる… 先が無くなる。



凄くつらい… 本当は抱きしめてもらって楽になりたい… 胸が痛い… 健司君に助けてほしい… これからは少し健司君と距離をとろう…  私の心の限界が来るまで… 絶対にうまくやってみせる…


必ず成功させて健司君の元へ帰る…



私はこの学校のマドンナ… 誰にも屈したことは無い



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