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麗奈と栞の重要課題



両親も帰って来て、麗奈も家に戻り1週間がたった。もうすぐ夏休みも終わる。麗奈はいつもなら健司の家に向かうが、今日向かっているのは別の方向である。向かう先は栞の家。



「こんにちは~ 栞さんいますか」


「麗奈、待ってたよ。早く上がって」

二人は栞の部屋に入る。


栞はいつもと違い何やら真剣な表情をしている。


「麗奈、あたし達来年で卒業だよね」


「そんなの決まってるじゃない」


「あんたよく平気でいられるね」


「平気な訳ないでしょ! 毎日悩んでるんだから…」


「麗奈、私は急にそのことが気になり始めてすっごく悩んでるのよ~」



栞は最近、麗奈の計らいにより健司と同じ2年生の彼氏ができた。麗奈が栞の変化に気づいてからわずか28時間後に栞をカップルにした麗奈は… さすがマドンナ… 


というか、麗奈はこのような根回しが上手い。実際、健司との付き合いもこのような根回しから始まっている。基本的に性格はよくない。


「栞、今までの私の気持ちがわかってくれたでしょ?」


「当然、せっかく仲良くなれたのに卒業で、はいさよならなんて、やだよぉ~」


「私と栞はもともと親友だよね、これからは私たちは同じような彼氏を持つ運命共同体だよ」


「麗奈、私達頑張ろうね」


――――――――――


栞、やっと私の気持ちがわかってくれたでしょ? 今まで健司君のことを相談した時もそこまで真剣に考えてくれなかったよね…… 栞が好きな人と結ばれるようにしたのはね、当然親友の栞のためでもあるんだけど…


同じ一年下の後輩と付き合う苦労を共有したかったからだよ。これでやっと本気で私の相談に乗ってくれるよね… 


麗奈が栞を彼と結びつけた本当の理由は…… いわゆる「道づれ」が欲しかったからである。栞は麗奈によって同じ運命に引き込まれた。親友までも自分の境遇に引きずり込んでくる麗奈は… 相当性格が悪いのかも…


――――――――――


「やっぱり、卒業までにはそこそこ発展してないとだめだよね… 麗奈は健司君が告白してきた時にキスもしたんでしょ?」


「そうだよ、あの時は健司君の方からキスしてくれて… 今思い出しても… キャッ 」


「そういえば、麗奈と健司君て今はどこまで進んでんの?… 」


「…… ん、… なんのこと? 進むって… 手を繋いで歩くとかのことかなぁ?」


「あんた、…… さては既にやっちゃたのね?」



麗奈は口笛を吹くしぐさで誤魔化してるが、音はなってない… 正確には口笛が吹けない。麗奈は健司と最後まで行ったことを報告していない。普通に恥ずかしいのと、内容が濃すぎて自分のことをよく知っている栞にはとても… さらに、よく健司を襲っている事なんて… 恥ずかしくて言えない。


「そんなことより、栞 これからどうするかだよ」


「麗奈、早く懺悔しなさい」


「しおりのいじわるぅ~」


仕方ないので、ギリギリ栞に言える範囲で初体験やそれからのことを少しだけ教えた。



「何で教えてくれなかったのよ~」


「いや… いちいち自分がエッチしましたぁ~ なんて… 普通報告しないでしょ?」


「私達、親友だよね…」


「だから余計に言いにくいんでしょうが…」


「麗奈、具体的にどうやって健司君との関係を進めたの? 教えて~」


「栞ちゃん、そんなに焦んなくったっていいんだよ」


「何、その上から目線…」



こんなとりとめもないどーでもいいような話がしばらく続いた。


「私達って、本当にあと半年ちょっとで卒業しちゃうんだよね…」


栞がしみじみと言うと


「そうだよね… 何か、やっと好きな人が出来てこれから高校生活が楽しくなるって時にね…」


麗奈も素直に思っていたことを言う


「麗奈なんかまだましだよ… 私なんて全てこれからだよ…」


「同じだよ… 結局、卒業しても続けられるかどうかなんだよね…」


「麗奈はその事を健司君と話し合ってんの?」


「一度彼をね… 私が行こうとしている大学に連れて行ったよ。彼に見てほしかったから…」


「切実だね… 私も早くそんな関係になりたいな…」


「でもね、健司君が頑張って同じ大学に来てくれることになっても… 私は1年間一人で待ってていなくっちゃいけないんだよ」


「麗奈は大丈夫なの?」


「はっきり言ってわかんない… その寂しさに耐えられるか…」


「まだ、私達には多少の時間はある… 頑張ってみようよ… 麗奈」


「そうだよね… あんまり暗いことばっかり考えてても良くないよね…」


「そうだ、今度私たち4人で遊ばない? 聡に言ってみよう。麗奈も健司君に言ってみて」


「うん、わかった。面白そうだね、私と栞がお互いに彼氏を連れてきて一緒にデートなんて、考えられなかったね」


「そもそも あんたが彼氏をつくった方がいまだに信じられないよ。誰とも付き合わないマドンナがね…」


「健司君みたいな人がもっと前からいたら、もっと早くにその人と付き合ってたけど… ね」


「私も彼氏なんて久しぶりだよ… そんなに経験もないしね…」


「もう高校3年生なんだから、栞もキスぐらいはしたことあるんでしょ?」


「……」



麗奈は聞いてはいけないことを聞いたような気がしたので、自分も言ってないことにしようと思った。とりあえず、無難な言葉でこの空気を和ませよう…


「会える時間は無駄にしないで、できるだけ一緒にいたいね… 」



今思っている麗奈の素直な気持ちを言ってみた。




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