新しい友達
昼時になったので、昼食タイム。 みんなでレストランに行く。
「麗奈ちゃん、あのカバ凄かったね。口を大きく開けたら直人が入りそうだったね…」
「そうだね裕子ちゃん、でもあんなに大きいのに水中をスイスイ泳ぐからすごいよね」
二人はすっかり仲良くなっている。
「昼からは何を見に行く?」
俺が聞くと
「何かのショーをやっているところを順番に廻ろうよ。時間はパンフに書いてあったよ」
裕子が提案した。
「私もそれがいい、健司君は?」
「それでいいよ、直人もいいだろ?」
「任せる」
そういう訳で、昼からはショータイム巡り。
まずはラッコのお食事タイム。
「キャー、可愛い 見て見て… あの手が可愛い~ 」
「あの口元も可愛いよね~」
続いては定番のアシカショー
ちょっと休憩もかねて小動物の抱っこタイム
とにかく、女の子連中はキャッキャ言って大喜び。それを見て男連中もゆるゆるな気分。なんだかんだで、みんな楽しんだ。 麗奈は動物園に来て楽しい気持ちと、同じ様に彼氏を持つ者どうしで楽しめたことが新鮮な気持ちですごく嬉しかった。
「同じような立場を共感し合える仲間がいる。一人じゃない」
麗奈にはそれが感じ取れたので、なんだか心強かった。
「麗奈ちゃん、今日はほんとに楽しかった… やっぱ、彼氏を持つ女の子の苦労がわかる者どうし、話してて楽しいね」
「そうだよね、裕子ちゃん。女の子も結構苦労してるもんね」
麗奈と裕子は妙に気が合ったみたいだった。
何やらこれ以上、女の子連中を団結させるとやばそうな雰囲気がしたので今日はここで解散することにした。
夕方になり、麗奈と一緒に家に帰る。
「どうだった、ダブルデートの感想は?」
「凄く楽しかったよ。裕子ちゃんと仲良くなれたし…」
そう言った麗奈の表情は今までにないほど元気な様子だった。良い方向で何かしらの変化が出てきた。
「直人はへばってたけどな… でも麗奈も直人や裕子も俺の大切な人だから皆で仲良くなりたい」
「今日一緒に遊んで、あの二人とは凄く仲良くなれると思ったよ」
「またみんなで遊びに行こうな」
「うん」
麗奈は嬉しそうだった。俺が麗奈に感じてほしかったこと… 麗奈は感じてくれたかな…
明日から数日授業があり、その後は夏休みだ。 俺と麗奈にとって最初で最後の夏休みを思い出深いものにしたいな…
家に到着して晩御飯を食べた後、麗奈を駅まで送っていく。
「明日から少しだけ授業があって、すぐに夏休みだね」
「そういえば、明日は一緒にお弁当食べようか?」
俺が麗奈に言うと麗奈はもじもじしながら言った。
「本当にいいの? 」
「付き合ってるのはもうみんな知ってるし、いいんじゃない?」
「だったら、私が作ってくる。お昼休みになったら健司君を迎えに行くね」
「わかった。教室で待ってる」
「明日からは部活も始まっちゃうね…」
「そうだね、でも部活の休みも結構あるし、寂しくなったら俺の家に来ればいいし…」
「ありがとう、健司君。でも今はあまり寂しくないから大丈夫。なんか、頑張らないといけないことが分かってきたんで… でもね、寂しくはないけど健司君に会いたいから家には行くよ」
「ああ、どんどん来て。俺も新しいチームで一から頑張んないと… だな」
「お互い頑張ろうね」
麗奈はすっかり元気を取り戻していた。 もしかしたら以前よりも何かやる気に満ちているかも知れない…
その日の晩
「もしもし、健司君… 今大丈夫?」
「大丈夫だよ、愛理ちゃん」
「あれからどうなった?」
「とりあえず、愛理ちゃんに言われた感じで麗奈に対応したら、麗奈は凄く元気を取り戻したよ」
「よかった… 健司君はそれ以外に何かした?」
「麗奈がじっと思いつめないように、裕子たちと遊んだりして今まで体験したことない事をやって行こうとしてるとこだけど…」
「それがいいね。じゃ、元気を取り戻したんで健司君にお礼してもらおうかな?」
「何でもいいよ、どんなことか言って」
「今度の部活の休みに、私と健司君と麗奈ちゃんの3人で遊んで」
「俺はいいけど… 麗奈は大丈夫かな?」
「大丈夫。私の名前を出しても麗奈ちゃんOKしてくれるはずだから。それと… 最後の仕上げをしないと…」
「何の仕上げ…?」
「ま、それは楽しみにしておいて」
「分かったよ」
「それに… 健司君と遊べるのも私には楽しみだし… クス」
「麗奈もいるんだよ… 大丈夫?」
「変なことしないから大丈夫だよ。 それとも変なことしてほしい?」
「変なことしない方向で… お願いします…」
普通の女の子ならともかく、愛理さんにそんなことされたら俺の精神が持ちません…




