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健司の敗北


いよいよ明日から定期テスト。月曜日から3日間行われて、その後の2日は休みとなる。


部活もテスト終了の次の週から始まるので、忙しくなっていく。今日は俺の家で麗奈と勉強をしており、勉強も締めの段階に来ている。昨日は土曜日だったので麗奈は昨日から泊まり込みで俺の家にいる。俺に勉強を教えるときの麗奈は、いつもより真剣で厳しいところもある。



すごく綺麗な家庭教師に教えられている気分で… 男の皆様には理解していただけるだろうけどなぜか興奮してしまうところもある。 麗奈ごめん…  反省してます。


朝からなんだかんだ結構勉強してお昼となったので、麗奈は健司の母親と昼ご飯を一緒に作ると言って、リビングに降りていった。今は下から二人の楽しそうな会話が聞こえてくる。



「この家に麗奈がいるのが当たり前になってきたな… 」



まだ麗奈と知り合ってそれほど長くは無いのだが、もうすっかり麗奈はうちの家に馴染んでいる。俺の両親も麗奈を気に入ってるので、麗奈がいると機嫌が良い。そういう情景を眺めてて俺はこの短い間に本当にいろんなことがあり、俺の気持ちも大きく変化したことを実感する。


最初は麗奈の無邪気な笑顔に引き寄せられ、一緒にいる間にどんどん麗奈への思いも大きくなり、今では俺にとって、かけがえのない人になっている。麗奈はいつも「私だけを見て」というが、そんなことを言われなくても俺には麗奈しか見えない。



麗奈は俺に、本気で好きになった初めての人と言ったが、それは俺にとっても同じである。俺にとって麗奈は、本気で好きになった初めての人である。毎日、今まで体験したことのない感情が沸き起こってくる。 今はすごく幸せだ。


ただ、いつまでも幸せなことしか起こらないなんて有り得ない。いつか大きな問題が発生したりもするんだろう… でも、もしそんな事が起こっても俺は麗奈を離さない。 それほど麗奈を思う気持ちが大きくなっている……



夕方過ぎに勉強は終了し、麗奈は晩御飯も母さんと一緒に作った。母さんは麗奈の料理が上手なことに感心しっぱなしである。俺もそれは認める。 晩御飯の時、親父は「まるで自分の娘にご飯を作って貰ってるみたいで、本当に嬉しい」と言って、ずっと笑顔で上機嫌であった。



夜になって、俺は麗奈を駅まで送っていく。



「麗奈、ありがとう。今回のテストはやれるような気がするよ」


「健司君、頑張ったもんね」


「本当に麗奈は大丈夫なの? 俺の勉強の手伝いばかりさせてしまったけど… 」


「受験勉強にもなるし、丁度良かったよ。3年生の勉強は授業中で大体理解できてるし」


「やっぱ麗奈はすごいわ。体力以外でなにも勝てる気がしない… 」


「何で勝たないといけないのよ… クスッ 私は健司君のものなんだから、私の力は健司君の力だよ」



麗奈は笑いながら言った。 神様、こんなハイスペックな彼女をお恵み頂いて本当に感謝します。



「明日からのテストで、思う存分力を発揮するんだぞ… 」

そう言って麗奈は電車に乗り帰っていった。




次の日からテストは始まったが、麗奈に勉強を見てもらったおかげで今までにない程の手応えを感じていた。そうこうして、3日間のテストは自信をもって終了することが出来た。



最終日のテストは午前中で終わったため、久しぶりにデートを兼ねてショッピングモールに行った。



「麗奈、とりあえず昼ご飯を食べようか?」


「そうだね、健司君は何が食べたい?」


「お腹が空いてるんで、ハンバーグなどを… 」


「それじゃ、それで行こう」


俺たちは、洋食屋さんに入った。俺はハンバーグセット、麗奈はビーフシチューセットを頼んで、テストの出来などを話す。



「今回は麗奈のおかげで凄く自信があるよ」


「よかった。健司君も頑張ったからだよ」


「そう言えば、もうすぐ夏休みだね。帰ったら予定を立てよう」


「健司君の部活の予定はどうなの?」


「来週部活が再開してからだね。でも旅行はもう予約済ませたからね」


「え、いつの間に?」


「内緒。後で日程とか教えるよ」


「健司君との旅行… 楽しみだなぁ~ 」



実は旅行の手配をしたのは健司の両親である。健司が旅行費をどうしようかと悩み、とりあえず親に頼んでいくらか借りようとしたところ、「麗奈ちゃんとの旅行なら私達で準備してあげる」と母さんが言ってくれた。 麗奈に関してうちの親は相当に甘い。



それに行先を上高地と言ったとき、「健司もあの場所を気に入ってくれたんだね… 」と、何故か感慨深そうに言っていた。 どうしたの? と俺が母さんに聞くと、父さんが初めて母さんを旅行に連れて行ったのが上高地だったらしい。 それで、俺が小さいときに今度は3人で行こうとなって、俺を連れて行った。 


俺も、麗奈と行く初めての旅行が上高地であり、そこで麗奈との関係をもう一歩進めようと考えている。俺も父さんと母さんがたどった道を同じように歩いていくのかな……



食事を終えてから麗奈がモール内をぶらぶら見てみたいと言うので、二人で色んな店を見て廻る。


時折、服屋に行って試着などするが… 麗奈の場合、何を着ても似合う。元々が美人顔なので、モデルが服を着るような感じで、逆に服が麗奈によって盛り立てられる。足も長くスタイルも非常に良いので、展示用のマネキンに服を着せたような感覚となる。


これで似合わなかったら、服を作った会社の方がおかしい。


麗奈に「どう、似合う?」と聞かれて「とても似合ってる」と言うと、麗奈はいつも同じ返事だと言って拗ねたように言うが、実際に似合ってるんだからしょうがない。


ただし、服の種類になら俺にも注文がある。 とにかくできるだけ露出の低めな服にしてほしい。 初めての一緒に行った遊園地の時も麗奈がショートパンツを履いてきたため… 周りの男がもれなくチラ見してくる。胸も大きめなので胸元が大きく開いた服を着ると完全に谷間が丸見えとなる。 はっきり言っていろんな意味で俺が落ち着けない。 だから、露出の多い服だけは、たとえ似合っててもすべて却下していこう……



モール内を散策し終わって俺たちは麗奈の家に向かう。週末を含め明日から4日間は学校も部活も休みなので、今日はとりあえず麗奈の家に泊まることになっている。俺が麗奈の家に泊まるのは今日が初めてとなるので、少し緊張している。



「今日は健司君が私の家に初めてお泊りする日だね」

麗奈が嬉しそうに言ってくる。


「本当にいいの?」


「お父さんもお母さんも楽しみにしてるよ。それに、私は何回も健司君の家に泊まってるし…」


「でもやっぱり少し緊張するよ…」


「大丈夫だって。それより早く行こ」



そういって麗奈は俺の手を引き麗奈の家に向かっていく。



麗奈の家に着いて麗奈の部屋で一息つく。麗奈のご両親は今日は帰宅が少し遅くなるらしい。 テストも終わり何だか解放された気分だ。結構真面目にテスト勉強に集中していたので、俺も麗奈も疲れている。


麗奈の部屋でくつろいでいた時、ふと横を見ると麗奈がすっかり眠っていた。麗奈は俺に教えることと自分の勉強をする事で相当疲れていたに違いない。 俺は麗奈を抱いてそっとベッドに寝かせた。 


無邪気な顔で眠る麗奈… 俺が最も幸せを感じる瞬間である。思わず手が出てしまう。麗奈の頭を撫でて麗奈の手を握り麗奈を感じる。思わず眠っている麗奈にそっとキスをする。すると、半分起きかけた麗奈が、寝ぼけながら



「健司君も一緒に寝よ」


といって、俺の手を引いてベッドに誘う。そんな可愛い表情の麗奈を抱きしめたくなって俺も麗奈の傍に寝る。そして俺は麗奈をそっと抱きしめる。



数時間後、携帯の鳴る音で俺と麗奈は目覚めた。二人は抱き合って寝ていた。そして……



何故か二人の着ていた服がベッドの周囲に散乱している。 今二人は裸の状態で抱き合っている。


眠りから目覚めると… 何故か二人とも大人になっていた… 


やっちまったぁ~  旅行での計画が…  


自分の意志の弱さを痛感した健司の一言……



「やっぱ… 俺だめだわ…… 」


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