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二人での登校

一緒に家に帰り、リビングでくつろぐ。 冷たいお茶を飲んで一息つく。



「麗奈は今日、どうだった? みんなになんか言われた… よね」


「結構聞きに来ていた子もいたけど… そのうちみんなも落ち着くんじゃない…」


「俺の方も大変だった。 男も女もみんなで寄ってたかって質問攻めで… 」


「騒ぎになってごめんね… 」


「けど、これに堪えないと、学校では一緒にいれないんだろ? だったら、耐えるしかないじゃん。 だって、俺も学校で麗奈と弁当食べたりしたいもん… 」


「健司君… ありがとう」

麗奈は少し涙目になって健司に抱きついた。



「健司君はやっぱりいつも私に優しい… だからもっと好きになっちゃう…」

そう言って、抱き着く力を強める。俺も麗奈を抱きしめながら頭を撫ででいた。



「部屋に行って休もうか」

「そうだね」


部屋に行って麗奈とくっついて暫く何も考えずにぼけっとしていた。今日は本当に疲れた。麗奈も少し疲れている様子だ。 ま、学校の皆が、がやがや騒いだところで俺と麗奈の関係が変わるわけもないのだが、煩わしいとは思う。


大体、俺と麗奈が好き同士で付き合っているんだから、何の文句も言われる筋合いはない。俺自身も人の恋路にいちゃもんをつけたことは無い。


俺は麗奈の肩を抱き寄せ、麗奈の頭を撫でる。 麗奈のいい匂いとサラサラの髪の感触が感じることが出来て心地よい。麗奈は何とも言えない表情で安らいでいる。


しかし、教室で見た麗奈のあの表情… 深く、冷たく、まるで感情がない… どこかで見たことが… そうか、麗奈のアルバムだ。小学校の時の麗奈の表情と同じだ… 突然お父さんが居なくなったあの小学生の時と同じ表情だ… 


麗奈は俺と一緒に居るときはいつも楽しそうな表情をしている。麗奈の表情が一変するときは、俺と麗奈の間に誰かがいるときだけだ… もしかしたら麗奈は俺との間に開いたほんの小さな隙間から、俺がお父さんのように離れていくと思っているのかな…


だから絶対に隙間をつくらないようにしようとする… 俺は麗奈のことをもっと知らなければいけない。麗奈がいつも無邪気な笑顔でいられるために……


――――――――――――



あれ、… 何となく気持ちよくなってボーとしてたけど、今って… 二人っきりじゃん! こんなチャンスに私は何を… 鞄の中にアレは入れてたはずだしいつでも大丈夫… あ、まだ穴開けてない… でも、それよりまずはやることに意義がある、うん。



早くしないと健司君のご両親が帰ってきちゃう… 健司君がキスしてきたらそのままベッドに押し倒して… 



最近、健司君と一線を越えることばかり考えちゃう… やっぱり焦ってるのかな… 一線を越えれば健司君との絆はもっと深くなる… 確かにそうだけど、それだって不確かなものだ。


周りにも一線を越えてから別れているカップルも結構いる。確かに健司君は、軽はずみに一線を越えるような人じゃないから、超えることに意味はあるかもしれないけど…  多分私は健司君の全てが欲しいんだと思う。 健司君の心も身体も… 


心のつながりは少しずつ大きくなっている… それは自分でもよくわかる。だって、健司君の傍にいて毎日幸せを実感できている。健司君に何も文句はない。


後は体のつながり… そうすることでもっと健司君を自分のものにすることができる。でも、それは健司君も望まないとだめ。愛理ちゃんにも言われたことだしね…


私が健司君を求めすぎるのはもっと深い段階へ進んで、健司君が離れていかない自信が欲しいから…  だから健司君と一線を越えるのに焦っているのかな…







…… こう言ったら健司君キュンとなって襲ってくれるかな?


…… 建前はこれぐらいでいいかな?…


本音言っちゃっていい?



健司君見てるともう我慢できません。 これは人間の本能です。 仕方のないことなのです。 健司君ごめんなさい。 私はエッチな女の子です。 そろそろ我慢の限界です。


多分次の暴走はもう止めることはできません。 そろそろ観念してください、健司君。 次回のチャンスでは必ず健司君を美味しくいただいちゃいまぁ~す。




麗奈が邪な考えをしていると、健司の母さんが帰ってきた。


「いやぁ~ん (健司君のお母さん帰ってきちゃった)」


「麗奈、何か言った?」


「ううん、何でもない (つい声が出ちゃった…)」


「健司君、お弁当箱渡さないといけないし、リビングに行くね」


「ああ…」


麗奈がリビングに降りていき、健司は一人で考え事をしていたら寝てしまった。



「健司君… 起きて… 」


「んん… 麗奈、どうしたの… 」


「晩御飯が出来たよ」

健司が起きると、エプロン姿の麗奈がいた。



「今日は私とお母さんの共同による晩御飯だよ えへっ」


「麗奈も一緒に作ってたんだ…」


「早くリビングに行こ」

二人でリビングに降りると食事の準備は出来あがっていた。



「麗奈ちゃんって、本当に料理が上手ね」


「いいえ、それほどでもないです…」


「健司、麗奈ちゃんを絶対離しちゃだめよ。こんないい子は二度と見つからないよ」

麗奈はほんのり赤くなりながら、大満足の様子…



「分かってるよ。別れるつもりは全くないよ」


「じゃ、麗奈ちゃん、今度式場を見に行こうね」


「はい、お母さん!」


もう何でも言ってくれ… 最近、俺はすでに結婚しているような幻覚に襲われる…

親父は遅くなるらしいので、3人で食事を済ませる。

でも、やっぱり麗奈が作る料理は本当に美味しい。



食事のかたづけを終えてから、俺は麗奈を送るために駅まで一緒に行く。


「私は健司君のお母さんが大好きだな。凄く気が合う」

傍から見ててもよく分かります。もはや本当の親子です。


「明日も学校で… 大変なのかな… 」

「大丈夫だよ。そのうち皆飽きるって」


「明日の朝はどうする?」

「一緒に行くに決まってるじゃない」


「じゃ、電車の時間を決めておこう… 」



そんな感じで明日も一緒に学校に行くことに決定した。

どうせ騒ぎにはなるんだろう… わかってる分、多少は身構えられる。


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