麗奈と健司の両親
結構眠ってしまい、玄関が「ガチャガチャ」となっている音に気づき、俺たちは起きた。
麗奈は起きると急に慌て始めた。
「もしかして、健司君のご両親が返ってきた?」
「多分この時間だから、母さんだと思う」
「とりあえず、母さんに挨拶しに行こうか」
「急に遊びに来てて、大丈夫かな?」
「朝、親に言っといたから大丈夫だよ。 ただね… 」
「何?」
「女の子が来るって行ったから、母さん興奮しちゃって… 」
「大丈夫なの?」
「俺は大丈夫だけど… 麗奈は大変かも…」
「?」
「母さん、俺に彼女が出来たの嬉しくて… 私が帰るまで絶対帰すなってね… 」
健司はすまなさそうに言う
「俺、一人っ子なんだ。母さん娘欲しかったらしくて… だから、麗奈にべったりするかも…」
「なら大丈夫だよ。仲良く話せるよ」
俺と麗奈はリビングに降りていく。 俺の母『 鈴木京子 』は夕飯の買い物を整理していた。
「母さん、俺の彼女の「立花麗奈」さんだよ」
「初めまして。立花麗奈と言います。健司君とお付き合いさせてもらってます」
「… 健司、犯罪はいけないよ… どんな弱みを握って脅してるの?」
「何言ってんの? そんなことするわけねーよ」
「だったら何でお前に… それともドッキリかい?」
「自分の息子に失礼って思う感情持ってる?」
「本当に! なんでこんな綺麗な子が健司の彼女なの?」
「本人に聞いてください… 」
その様子を麗奈は呆然と見ている
「立花さん、本当に健司の彼女なの?」
「はい、健司君のことは大好きです」
「母さん本当にびっくりしたよ。さすがにここまで綺麗な子、想像できないでしょ」
「だから物凄く綺麗な子だって言っただろ?」
「お前の言葉をそこまで信用出来る訳ないでしょ」
「これからもよろしくお願いします」
「こちらこそ、立花さん。健司の彼女になってくれて、本当にありがとうね」
「こちらこそ。健司君は本当に優しくしてくれます」
「今日は晩御飯食べていってね。何なら泊ってく? それとも住む?」
「ありがとうございます。お言葉に甘えて晩御飯を頂かせてもらいます」
(え、住んじゃっていいの? お母さんと呼んじゃいますよ… ホントにいいの?)
「母さん、俺たちは部屋へ戻るよ」
「健司君のお母さん、素敵な人ね。(いずれ私のお母さんだもんね)」
「よく変なこと言うからあんまり気にしないでね」
「健司君のご両親は何をしている人なの?」
「母さんは小学校の先生、親父は高校の先生だよ」
「2人とも学校の先生なんだ」
「麗奈のご両親は?」
「父も母も会社勤めよ」
「今度、麗奈の家にも行ってみたいな」
「いつでもいいよ。父さんと母さんには言っておくね」
(麗奈の家には行ってみたいけど… それはそれで緊張するな)
「ねぇ~ 健司君… 」
麗奈は色っぽく伏し目で俺に話しかける。
「一つお願いがあるんだけど… 」
「俺も実は一つお願いがある」
「何?」
「俺からでいいの? 実は麗奈に膝枕やってもらいたい…」
一度やってみたい男のロマンである。当然俺は経験したことがない。
「そんなのいつでもいいよ、おいで…」
麗奈はそう言って、自分の太ももをたたいた。
「お言葉に甘えて…」
俺は麗奈の太ももに頭を置く。この行為を発見したやつに感謝したい。 すご~く気持ちいい。 柔らかくて、温かくて、いい匂いがして… 麗奈を感じることが出来て…
麗奈は俺の頭を優しくなでてくれる。本当に心地よい。でも、少し興奮する… 心地よさを堪能した俺は、次は麗奈の番だよと言って、麗奈の希望を聞いた。
「私の…お願いは……」
そう言って、麗奈は俺をベッドに押し倒していきなり抱き着いてきた。足を絡ませて…
「私の希望は健司君を抱き枕に……」
そう言って、麗奈は自分の頭を俺の胸にぐりぐりこすりつけ、体は完全に密着させる。麗奈の柔らかい体は健司の全身に触れる。特に柔らかい胸は健司に完全密着。健司はあっという間に限界点到達。
「麗奈、これ以上はまずい… なんかヤバい… 」
「服がしわしわになっちゃうな~ 」
そう言って、ワンピースを脱ごうとする麗奈を見て
「麗奈、ダメだって… それ脱いだらほとんど裸になっちゃうって… 」
「別にいいよ」
「ダメダメ! 俺我慢できなくなっちゃうよ…」
「我慢しなくていいんだよ?」
麗奈さん、下に母さん居るんだよ… なんでこんなスリルを味わって俺は初体験しなくっちゃいけないの? 俺、そんな趣味ないよぉ~ 暴走を止めてぇ~
何とか麗奈の暴走を止めたが
「じゃ、お持ち帰りする フフッ 」
と、麗奈が言ったので
「ダメ」
と、俺は答えておいた。
やっぱ俺はだめだわ。 童貞の俺にそんな度胸はねぇ… 母さんに見つかったら… 無理無理無理~。 母さんに初体験の現場を検証されるなんて… 死んだ方がましかも。
親父も帰宅し、ちょうど晩御飯もできたので俺と麗奈はリビングに行く。
「初めまして。私は健司君とお付き合いさせてもらっている立花麗奈です」
「凄く綺麗なお嬢さんだね。私は健司の父で『鈴木啓介』と言います」
「今日はお邪魔させていただいた上に、晩御飯まで頂いてありがとうございます」
さすが麗奈さん、大人だ。しっかりした挨拶をする。俺は感心した。
「麗奈さんは健司の初めての彼女だね。健司の事、よろしくお願いするね」
「こちらこそこれからもよろしくお願いします」
「今日はゆっくりしていって下さいね」
「ありがとうございます」
「何なら泊っていっていただいても… 住んでいただいても… 」
(え! やっぱり住んでいいの? ほんとに住んじゃうよ… お父さんって呼ぶよ?)
何故か麗奈は親父の冗談を聞いて真剣な眼差しをしていた。
「親父!」
「怒るな健司、冗談だ」
多分あれは冗談ではない。親父と母さんは娘が欲しかった。俺が生まれた後も頑張ったらしいが、出来なかったらしい… 何を頑張ったかは、想像したくない…
そもそもあんたらは学校の先生だろ? 親父も母さんもどこかネジがはずれてる… 俺が彼女を一人も連れてこないので、寂しがっていたが、初めて連れてきた彼女が… 麗奈みたいな「とんでも美人」だから、可愛くってしょうがないんだろう……
それからみんなで賑やかに晩御飯を食べた。 当然、麗奈は質問攻めにあう……
「健司、麗奈ちゃんみたいな子、大事にして絶対離しちゃだめだよ!」
「そうだな健司、多分これが最後のチャンスだぞ」
「麗奈ちゃん、今度一緒に結婚式場を見に行こうね」
「はい! お母さん」
なぜか麗奈はその話にノリノリであった。 あんまり真に受けないでね…
俺以外の3人はしっかりと意思の疎通が図られた会話で盛り上がった。
「それでは、今日はそろそろお暇させてもらいます」
「麗奈ちゃん、いつでも遊びに来てね。泊っても、住んでもいいから自由にして」
「はい、ぜひ」
「母さん! 麗奈を送ってくるね」
いつまで言ってるんだ。
俺は麗奈と手を繋いで駅に向かう。
「今日は来てよかった。すごく楽しかった」
「そう言って頂けると有難いよ」
「健司君のご両親、素敵な人たちね」
「そうかなぁ~ (結構いっちゃってるよ?)」
「なんだか上手くやっていける気がする」
「だいぶ仲良くなってたもんね(多分俺より大事にされてる)」
「今度はお母さんと結婚式場を……」
あの~ 麗奈さん? あんまり真に受けないでね…
「そういえば、麗奈のご両親はどんな人?」
「今度来れば分かるよ。健司君ならきっと大歓迎よ」
「今日で健司君のご両親の許可もとれたし… あとは… 」
「麗奈… 何のこと言ってるの?」
「ううん、なんでもない。ひとり言」
なんか恐ろしいひとり言を言ってませんでした? 俺の人生を決定づけるような…
こんなことを言いながら駅まで歩き、その日は麗奈を見送って帰った。
今日は疲れた。色んなことでドキドキばかりの一日だった。でも、麗奈の本当の気持ちを聞いて、麗奈が俺に期待する気持の大きさを知った。その期待にきっちりと答えてみせるよ… 麗奈… 愛してるよ……




