大会終了後
それから10日後
今日は大会の準々決勝だ。あと3つ勝てば全国大会。 沖本先輩のためにも出来たら一つでも先に進みたい。全力で臨む。試合開始、前半は拮抗した勝負となり0 - 0 。
後半に入り、どちらも点を奪えずにいたが、敵がゴールエリア近くからのフリーキックからのセットプレーにより1点を奪いそのままゲームセット。先輩との最後の大会が終わった。俺も先輩も足を削られ体もボロボロ。先輩との最後のゲームだったので先輩と抱き合い涙した。
悲しい気持ちで着替え終えてロッカーから出ると、藤本さんと麗奈が待っていてくれた。俺と先輩はさっきまで泣いていたが、それは彼女らも同じであった。
「くやしいね。沖本君もあんなに頑張ったのに…」
「ありがとうな藤本。でもいつかは負けるよ」
「健司君、お疲れ様。かっこよかったよ」
「ありがとう、麗奈。もっと頑張れたのに悔しいよ」
全員でのミーティングを終えて解散となった後、俺と先輩は彼女らの方へ向かう。
彼女らは、疲れた自分の彼氏をねぎらい、4人で会場を後にする。
とりあえず、4人でファミレスに入り今日の疲れをいやす。
彼女たちはケーキとドリンクバー,俺と先輩はピザとドリンクバーを頼む。各自ドリンクを用意して、座席に戻り乾杯。
「沖本先輩、お疲れ様でした。」
「健司もお疲れ…」
「 「2人ともお疲れさまでした」 」
負けた悔しさも落ち着いてきたころで、皆で今日の労をねぎらう。
「これからはお前ら2年生がチームの中心だな」
「先輩たちが抜けて、新しいチーム作りが大変ですよ」
「そういえば、私たちは3年生だけど、鈴木君はまだ2年生なんだよね」
藤本さんがそう言うと、沖本先輩も
「立花は大変だな。これからも部活に健司をとられて」
と言った。それに対して麗奈は
「健司君はサッカーが大好きだから仕方ないよ」
そう答えた。そういえば、先輩たちはこれから自由な時間が多くなるんだ…
「沖本先輩は進路とかどうするんですか」
「俺は一応大学に進学するつもりだ」
「藤本さんはどうなんですか?」
俺が質問すると、彼女はこう答えた。
「出来たら沖本君と同じ大学に行きたいな」
そういえば、麗奈はどうするんだろう…
「麗奈はどうするの?」
俺が質問すると、彼女は
「私も大学進学だよ」
と答えた。 そういえば初めて麗奈の進路を聞いたな… そういえば、麗奈は今年受験で来年には離れ離れになるのか…… 俺は何も考えていなかった。ふと進路を聞いて初めて実感した。 なんか…寂しいな…
その気持ちは麗奈も同じであった。正確に言うと麗奈の方が切実に感じていた。
私は来年で卒業… でも健司君はまだ高校3年生。確実に距離が離れる。大学も近くであれば良いが、遠くの大学に進学した場合はめったに健司君に会えなくなる。
どうしよう… そんなのは嫌だ…
最近、不意にそのことが頭をよぎる。その度に心が沈んでいく… 出来るだけ近くの大学へ進学するようにしよう… それでも健司君とは離れ離れになる……
夕方、ファミレスを出た俺たちは、沖田先輩と藤本さんに別れを告げ、麗奈と二人でぶらぶらと街を歩く。
「そういえば俺、麗奈が来年卒業でいなくなるのを考えてなかった。」
「私は考えてたよ。一応受験生だしね。でも健司君と離れることは今は考えたくない」
「麗奈は… 卒業しても俺と続けられる?」
「そんなこと当たり前だけど… 離れること自体が嫌だな…」
「じゃ、こうしよう。俺も麗奈と同じ大学へ進学する。だから先に行って一年間待ってて」
「その一年間がつらいよ。考えるだけで鬱になる。 ううん… やっぱり考えられない」
「そうだな。 まだ時間もあるし、これから考えよう」
「そうなんだけど、… どう考えても辛すぎるもん… 」
「大丈夫! それまでにもっと分かり合える関係になればいいんだから。俺は麗奈だけしか見ないよ。麗奈ともっと強い絆をつくる」
「健司君… ありがとう… なんか…… ぐすん」
麗奈は目を潤ませて少し安心したような顔をして微笑んでいた。
「それより、これから部活の休みも多くなるし、夏休みももうすぐだよ」
「そうだよね。私たちにとって最初で最後の夏休みだもんね。いろんな体験しよ」
「俺の希望は… 出来たら二人で旅行に行きたいかな… 」
「私も、絶対行く!」
「私もお願いがあるんだけど… 」
麗奈は俯いて少し顔を赤くして言う。
「健司君の家に遊びに行きたいな」
「そんなことなら、いつでもいいよ」
「ほんと! じゃ 明日は?」
え、いきなりですか… とりあえず帰ったら大掃除して… 間に合うかな?
「何とかします…」
「やったー 健司君ありがとう 大好き」
そう言って麗奈は、健司の頬にキスをした。これだけ麗奈が喜んでるし… 部活で結構会えなかったしな…
「明日は土曜日で学校は休みだよね、明日は何時に来る?」
「少しでも一緒に居たいから早い時間の方がいい」
「じゃ、十時くらいにする?」
「分かった、じゃ 十時前に健司君の家がある街の駅で待ってるから迎えに来て」
「了解しました」
麗奈は健司にしがみつき、満面の笑みで無邪気にはしゃいでいた。あれ、そういや明日親は両方とも仕事でいないんだっけ? どーしよ… やばい…




