表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アネットとピート  作者: 忠 六郎
2/5

第2話 いつもの朝

「行ってきま〜す♪」


「行ってきます、旦那様、奥方様」


アネットとピートは今日も一緒に徒歩で登校する。


「あなた…」


「…なんだ?」


「次の領主はピートでよろしいですね?」


「うん」


ショーンは即答した。

本人であるピートが預かり知らぬ内に彼の人生がほぼ決定したのだが、それはこの物語にあまり関係がない。


「ねぇピート、今日の授業はなんだっけ?」


アネットはそう言って、スルリと自然にピートと腕を絡める。

アネットの柔らかな感触にピートの顔が急激に赤くなった。


「ア、アネット!ダメだよ!」


「えー!なんで!いいじゃん!ボクたち男同士なんだから〜」


なかなか普通の男子同志は登校中に腕なんかを組まないし、そんな可愛く頬を膨らませたりしない。


「とにかく!学校まではこれで行くからっ!」


(ア、アネット〜困るよ〜)


結局、ピートはご機嫌な様子で腕を組むアネットを振り払うこともできず、そのまま登校を続ける。


「あ!アネットさんとピートさんよ!今日も仲がよろしいのね♪」


「あぁピート様、今日カッコイイ♪」


「でも、アネットさんが相手じゃ…」


「しー!ダメよ!アネットさんは男性っ!

そのように接して下さいって生徒会から御触れがあったでしょ!」


「あぁ!そうね!私ったら!いけない、いけない」


というように、アネットが女性である事は、ほぼ全ての学生が知っている。


「ピ、ピート…いまの聞こえた…?」


「えっ!?」


ピートはぎくりとした。

みんなに女性だとバレていると、アネットに知られたと思ったからだ。


「ピートのこと…カッコイイって言ってた…」


(そっちかよっ!)


ピートはホッと胸をなで下ろす。

簡単に言うとピートはイケメンだ。

キリッと整った目鼻立ちに荒々しく波打つ黒髪、身長も高く、体格もキチンと引き締まっている。


「ピート…女の子にモテて嬉しい…?」


そんなピートの隣でアネットは分かりやすく落ち込んでいた。


「い、いや!そんなことないよ!

たぶんアネットの聞き違いじゃないかなっ!?

大体、俺なんかがモテる訳ないって」


「そ、そうかな…?だ、大丈夫かな?

本当に…?まだボクしか気付いてない?

あー!でも!なんかそれはそれで腹が立っちゃう!なんで!?」


アネットは通学路のど真ん中で、分かりやすく乙女心を炸裂させていた。

そして本人だけは、口に出している事に気付いていない。


「ア、アネット!とりあえず学校に行かなきゃ遅れちゃうよ!」


「あっ!う、うん。ごめんね、ピート」


そうして優しく自分の手を引くピートに、アネットは頬を赤く染めて付いて行く。


これはそんな可愛いアネットを、ただただみんなで愛でていく物語。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ