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ゲーム  作者: gaiki
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2話 静的で猟奇的(トオル視点)

 俺らが起きてから、体感だが3時間ほど経った気がする。あまりに多くの事がありすぎて、時間が長く感じられる。ただ、数分や数十分ではないことは確かだ。俺らは1度最初にいた教室に戻ってきていた。

 

レン「ずっと暗いままだ。」


 そう、俺らが起きたときも時計は午前の2時になっていた。そこから数時間と考えると、そろそろ明るくなり始めてもおかしくないが、ずっと暗闇のままだ。つまり……。


「時計が止まっているというより、時が止まってるみたいだな。」

 

カイト「確かに。相手の目的も分からないし、出る方法もなかった……。」

 

ケント「クソが!!」

 

ケントはやけになって、椅子で窓を破りにかかった。

 

カイト「おい!」

 

けれども、窓はビクともせず、ただ叩いた音が教室内に響き渡った。エミとカナはまだ泣いている。

 

ナノ「1回落ち着こうよ……。」

 

ナノが泣きそうな声でケントに訴える。

 

レン「早く出る方法考えよう……。」


 その通りだ。その通りではあるけれど、昇降口や窓は開かない。強行突破も無駄に終わる。それにもし出れたとしても、時間が進んでいないことの解決をどうすればいいのか皆目見当もつかない。

 

リョウタ「午前2時は……。」

 

自信なくリョウタが話し始めようとする。

 

ケント「言いたいことがあるならはっきり言えよ!ぐちぐちぐちぐちと、うぜぇんだよ!」

 

レン「おい!こんな状況でひとりの意見も聞けないのかよお前は!」

 

カッとしているケントをレンが止める。


「続けて」

 

と、リョウタに続きを促す。

 

リョウタ「午前2時は、霊界と繋がる時間ってよく言われてるから、もしかしたら霊的なものかもって……。」

 

ケント「はぁ?お前マジで言ってんの?霊ってそんなのがいるわけねーだろ。」

 

カイト「ありえない話じゃないな。事実、時間が止まっているんだ。今更、霊がいると言われても不思議には思えない。」

 

ケントがバカじゃねーのとでも言いたげな顔をしていたが、気にせずにカイトが話を続けた。

 

カイト「他にも何でもいい。かもしれないでもいいから情報があったら言い合おう。」


 何より俺たちには情報が足らなすぎる。そんなことは周知の事実だ。だが、その言葉を口にするのとしないのとでは全然違うことを、俺はここで初めて知った。

 

カナ「サクラが死ぬ前に、本当に誰もサクラがいなくなっていたことに気付かなかったの?この中にサクラを殺した人がいるんじゃないの?」

 

悪い流れだ。当然、こんな状況なら誰も信じられなくなる。だが、この場合、一緒にいる人に疑いの目を向けるとバラバラになる。

 

ケント「誰かが最初から黙って俺ら全員を殺そうとしてるってことか。やってられっかよ……。俺はてめぇらとなんか一緒にいるのはもう無理だ。」

 

そう言うと、ケントはひとりで教室の外に出て行く。


「おい待て!今単独行動はかえって危険だろ!早く戻れ!」


 なぜかそこで嫌な予感がした。初めからこれが狙いなんじゃないか、そんな疑問が浮かんで頭の中から消えてくれない。だけど、現実は映画やドラマのようにひとりだからといって、そいつを狙うわけではなかった……。

 

リョウタ「誰か!助けて!早く!」


 本当にそれは一瞬の出来事だった。もしかしたらサクラは最後に悲鳴をあげることもできなかったのかもしれない。そう思わせるのには十分なほどの時間でリョウタは俺たちの目の前で廊下の方へ引きずられていく。

 

ケント「おい……。何だよ今の……。」


 状況を理解してからではもう遅かった。遠くでリョウタの断末魔が聞こえる。エミ、カナ、ナノは、その衝撃的な出来事に立ち尽くしている。

 

ケント「クソ!何だってんだよ!俺らが一体何をしたって言うんだよ!」

 

カイト「そんなの分かるわけないだろ!」

 

レン「と、とりあえずここから離れるぞ!」


 俺らは走り出そうとした。けれど、サクラは静かすぎたんだ。本来目の前で死を感じるとは、こういうことなのかもしれない。女子3人が動けず、そのままそこに座り込んでしまっている。当然だ。俺も恐怖に駆られて走り出そうとしたが、足が震えてうまく動けない。カイトとレンは、3人の手を引いて走り出した。ケントはすぐに走り出し、俺は女子に続いて走った。

 落ち着いてから俺らはリョウタを探した。少しでも可能性があると信じたかった。いや、そんなことより目の前で起きた惨劇を、信じたくなかった。そんな期待を裏切るように、リョウタの死体が見つかった。 狂ってる……。静かできれいに残されたサクラの死体とは対照的に、頭だけをきれいに残し、体は原型が分からなくなるほど切り刻まれていた。

 

ケント「誰か、あの根暗を引きずってった奴を見たか?」


 放心状態のまま静寂に包まれていた教室内でケントが話し出す。


「いや……、見てない……。」


 何よりも速すぎた。リョウタは体重が重いわけではない。それでも、男子高校生だ。必死に抵抗しているリョウタを引きずるには、相当な力がいるだろう。けれど、そこにはまるで摩擦力も無かったのではないかと思わせるほどの速さで、リョウタは暗闇に消えた。

 

カイト「間違えないな。サクラとリョウタを殺したのは、この中の誰でもない。そもそもやはり時計が止まってる時点で何もかも可能性に入れればよかったんだ。」

 

カナ「何を?」


本当はみんな分かってる。俺もカナもレンもエミもナノも、ケントだって……。

 

カイト「俺らを狙っているのは人間じゃない。動物でもない。何かもっと、別の何かだ。」


 いくら逃げても変わらない。もうすでに俺らはこの校舎という檻に入れられている。相変わらず暗いままの空には、俺たちの感じている恐怖なんて知らないというように、満月が光っている。

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