表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
図書室と先輩~ネオ!~  作者: にま
彼の憂鬱、彼女の鬱憤
3/102

その3 彼はお約束を守る子です。

「ねえ、ワタシも図書室行く!」


「えっ」


 HRが終わり、オレが図書室に向かうと、新開映子(カノジョ)がついてきた。

 なぜだ? 朝の様子からするとしばらくは口もきいてくれない雰囲気だったのに。

 女子の考えることはよくわからない。

 まあ、オレがダメだと言えることでもないし、借りたい本があるのかもしれない。


「じゃあ一緒に行くかい?」


 思わずそう言ってしまった。いや、別に深い考えがあってのことじゃない。つい……、そう、条件反射のようなものだ。


「うん」


 あれ? なんだか機嫌が直っているみたいだ。うーん、ホントよくわからない。

 並んで歩くのは久しぶりだ。ちょっと緊張する。


(かわいいし、きれいだし、反則だろ)


 高校に入ってから垢抜けたっていうのだろうか、「かわいい」だけでなく「きれい」の度合いも増している。

 クラスでも、いや全校女子生徒の中でも上位に入るだろう。オレの順位表では常に一位だったりするんだが。いやホント。

 そういえば、と思い出す。

 中3の二学期だったけ、いきさつは忘れたけど二人で廊下を歩いたことがあったな。

 どういう流れか「おまえって結構美少女だよな」と何の気なしに言ってしまって、彼女はオレの背中にモミジをつけてくれたっけか。

「褒めたのに」に対し「秋だしちょうどいいでしょ」ときたもんだ。まさに季節を肌で感じたのはいいんだが、先に恥じらうとかしてほしかったよ、うん。

 なので、今回は口がすべらないようにしないと。背中を守らねば。あれは結構痛い。

 そうしてオレたちは、授業のことや担任の悪口やらを話題にしながら図書室のある特別棟に向かった。


「やっぱり背ぇ伸びた?」


 途中、彼女がそう聞いて来た。


「少しだけ」


 入学した時の身長は170cmちょうど。だが今は172cm。半年で2cm伸びた。


「男の子ってスゴイよね。ちょっと見ない間にぐんぐん伸びちゃうんだから」


「いや、毎日会っているでしょ」


「あれ、そうだっけ」


「一応クラスメイトで席も隣なんですが?」


「あはっ、そうだったー」


 なんなんだ? でも楽しそうだからいいか。緊張も大分とけてきたせいか、オレもつい軽口を叩く。


「そういや、新開も」


「うん、なぁに?」


 小首をかしげる仕草が、チクショー、かわいい!


「だいぶ育ったよね」


 やはり全体的な印象が中学生のそれとは段違いだ。

 もちろん劣情に根差した発言ではない。決してない。ないんだよ。

 ないんだけど……。

 オレの視線はやはり思春期男子が渇望してやまない部分を捉えていて。


「!」


 彼女はあわてて両手で胸を隠す。

 いや、服着てるでしょ、ベスト着てるでしょ。オレ透視なんてできないよ?


「テーラーヤーマーッ」


 バシッ!


「うおっ!!」


 あー、やっぱり背中を叩かれる運命だったのかオレ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ