神様でクズで。
長編が苦手なので、短編の続き物(?)にします。
SMや、歪んだ愛が好きです。
1
なぜ、俺はこんな場所にいるのだろう。
一度しか会っていない、しかも、俺が殺そうとした少年の家にいるなんて。
俺は今まで、たくさんの人を脅し、殺してきた。
あの日も、ランドセルを背負って一人で公園にいた少年――名はミズキと言ったか――を見つけて、首を絞めようとした。
「一緒に死んでくれるの?」とかよく解らない事を言っていたけど、いつも通り手に力を込めた。
けど、ミズキは微笑んだ。苦しそうなのに、微笑んでいた。
そんなミズキの事が怖くなって、俺は首から手を離し、咳込むミズキから逃げた。
充分離れても走り続け、家に戻っても、布団の中で震えていた。
何がそんなに怖いのか分からなかった。でも、ミズキに恐怖を感じていた。
少し眠れば震えは治まり、またミズキに出会ってしまう可能性があるのに、公園周辺を歩いた。
それがいけなかったのだろう。
俺はランドセルを背負ったミズキとバッタリ会ってしまい、逃げようとする前に手を強く掴まれた。
「待ってよ。逃げないで」
これが小学生の瞳だろうか。睨んでいる訳では無いのに、見ていると不安になるような瞳をしていた。
抵抗する気になれず、色々喋っているミズキに手を引かれて、家の玄関に座らされた。
一度家の奥に入っていったミズキが、透明のコップに水を入れて持って来た。
「飲んで」
状況が飲み込めず戸惑っていると、ミズキは不満そうな表情で座る俺を押し倒し、マスクを取った。
「ほら、渇いてる」
何をするのかと思っていたら、コップが傾けられ、顔に水がかかった。
鼻や口に水が入り、咽る様子を、ミズキはにんまりと微笑み見ていた。
「な、何するの……」
「悪さするわりには、喋り方とか乱暴じゃないよね。ヘタレ」
そう言われた時、俺は分かった。
小学生相手に感じてはいけないものを感じてしまったから、怖かったのだ、と。
恐怖を振り切って、求めてしまったら最後。
俺は、堕ちる。