水龍 対 風龍
凄く遅れてしまい申し訳ありません。
言い訳なのですが、スランプに堕ちてしまい全く書けなかったので遅れてしまいました。
これからは、載せる時期を一定に出来るように頑張ります!
剣と剣がぶつかる音が会場の体育館に鳴り響いた。
「それしかやらないの?」
私は、少し呆れた。決闘が始まってもう数分も経っているのに、一定の距離を取って只管スラッシュを撃ってくる。
スラッシュとは基本的な攻撃。斬撃だ。スラッシュやインパクトなど技を使う際は自らの体力を消耗して撃つことができる。技の強さによって消耗する量が違う。スラッシュやインパクトみたいな基本的な攻撃は消耗も少なく、体力がある限り撃ち続ける事が出来る。
だが、インパクトはスラッシュよりも遥かに威力が高い。
中村威修智は肩に剣を乗せている構えから居合の構えに変えた。左の腰に鞘でもあるかの様に収めその構えのまま真っ直ぐ向かってくる。彼は構えた剣を振ったが私は難なく避けた。彼は外したにも拘らずニヤリと笑い、手首を私の方向へ返しスラッシュを撃ってきた。私はその攻撃が早すぎて反応が遅れたがすぐさま剣を盾代わりにして受け流す。頬に擦り傷を負う位で済んだ。今なら入る…私はスラッシュを受け流すと同時に体を捻り、威修智の顎先に鋭い後ろ回し蹴りを放つ、その足を地面に着けずもう1発…次は脇腹に回し蹴りを放ったが、彼は後ろに勢い良く跳び、距離を取ろうとしている。思い通りなんてさせないわ。跳んだのが悪かったわね。私は彼に一直線に跳び、剣を突き刺すが、彼の放ったスラッシュで私の勢いは殺され、私はそのまま真下に着地した。彼との距離は少しは縮まったが、まだ距離を取られた。私は走った。威修智が着地するのと私が彼の前に着いたのはほぼ同時。私はすぐ剣を振るった。彼は剣で私の攻撃を流したが、少しよろめいた。私は振り下ろした剣をそのまま下ろした軌道と同じく振り上げる。彼はそれに対応出来ず、胸に大きな傷を負う。
「くぅ!?てめ…」
威修智は後ろに細かく跳び距離を取ると左手で血だらけの体を抑え、右手で剣を持ち上げた。胸の傷は手応えアリだった。絶対重症の傷。次の攻撃が彼の最後の一振。
「さぁ、来なさい」
私は剣に炎を纏わせ、左足を後ろに引き、力を込める。込めた力を地面に放つ様に蹴ると、低飛行で威修智の元へ跳んでいく。彼は一歩踏み込む、
「言われなくても、やってやらーー!!!吹き飛べ!!」
威修智が剣を振るうと今までとは比べ物にならない巨大なスラッシュが向かってきた。巨大なスラッシュに剣を斬りつけるとスラッシュは跡形もなく消え失せる。威修智の顔は引き攣り、後退りをする。私は後退りをする彼の懐に入る。
「終わりよ」
私は剣を振る。
……早すぎだろ……くそっ。……適いっこねぇや。
「勝者…ペルア・ティトアニア・リアナ選手!」
「おめでとう!リアナ。凄かったよ」
決闘が終わり、控え室に居た私にドアを勢いよく開けそう言いながら抱きついて来たのは上條 花里菜だった。私は強く抱きしめている花里菜を離し、
「ありがとう。これで少しは楽になったでしょ?一樹」
今、入ってきた萩風 一樹に誇らしげな笑みを見せ言ってやった。一樹は、
「お、おう。まぁ、でも、お前が負けても、残りの俺達が勝ってやったのによ!」
一樹は俺と花里菜の肩を掴み笑顔でそう言った。…私は今回の決闘で少し不可解な事があった。
「皆、聞いてもらえる?」
私が皆に問うと皆は「うん」と答えてくれた。
「今回の決闘で少し不可解な事があったの。それは相手の威修智の最後の巨大なスラッシュを斬った時に、基本的な攻撃でも威力で言ったらインパクト位の威力はあったわ。いくら最後の振り絞った力でもスラッシュの3倍の力で放つインパクトと同じになる事があるのかしら?
それに、なんか嫌な感じがしたのよね……だから、念の為言っておくわ。気をつけて一樹」
一樹は右腕を出し、右親指を立たせ、
「大丈夫!心配すんなよ!バッチリ勝ってくるから!」
私は頷き、土門要・花里菜・小咲蕾さんと観客席に戻る事にした。
少しして、先生のアナウンスが聞こえた。俺は、入口で深呼吸をして身を引き締める。
「2番手。西ゲート中村組からは中村凛音選手!東ゲートヴァルキリーソウルからは萩風一樹選手!どんな戦いを見せてくれるのでしょう?」
凛音は、青っぽい色をした七三分けの髪型だが、後ろの髪は肩甲骨辺りまで伸びていて、片方の目が髪で隠れている。身長は要と一緒175位だろう。そして細身だな。
「こんなカッコいい男子と戦えるなんて嬉しい~。結構タイプかも~食べちゃいたいわ……ウフフ。宜しくお願いしますね」
俺は冷や汗が流れた。オネエか?こいつ。
「お、おう。宜しくな」
お互いに挨拶を交わすと、凛音が詠唱をした。
「わたくしの剣水龍玄ラルシオンよ。今此処に現れよ!」
凛音の左手が水で纏われた。水は徐々にでかくなって、剣の形状になると水が弾け飛んだ。水が弾け飛ぶと凛音の手元には大剣が出現していた。
「スゲー、スゲーかっけぇーな!凛音。なんか俺ら似てんな。」
凛音はこの台詞に疑問を抱いたかの様に首を傾げて、「似てる?」と口を開いた。
「おう!似てんのよ。俺の剣とな。まぁ見てな!」
俺は胸の前で拳を合わせて気合いを入れた。そして、片手を前に突き出し詠唱を始める。
「俺、風龍月ヘルクネフ・レイムの主が命ず。俺に宿れ、俺に纏え、その力を俺の力の糧となれ!」
詠唱を終えると俺の右手には大剣が出現していた。その周りには少し風が纏われていた。そして、俺は構えをとる。
「なぁ?似てるだろ?」
凛音は「えぇ。似てるわね。いい戦いになりそうじゃない」と答えた。凛音は剣を横に軽く振ると剣先から水滴が飛び、それは俺の方に飛んでくる。ただの水滴じゃねーな。なんだこの水滴。まるで銃弾みたいだ……。
アイツは降った剣をそのまま横に維持させてこちらに向かって走ってくる。多分…凛音の策は、俺が水滴を躱してる隙に斬ろうって魂胆だろう、単純だな。なら、それに乗ってやるよ。まぁ、斬らせねぇーけど。
体を回転させ、水滴を躱すと凛音の剣が左から来るのが見えたが、俺はそこから動かずいた。予想通り……。
凛音の剣が俺の体に触れそうになった瞬間に俺は、剣をアイツの剣と俺の体の間に突き刺し、凜音の剣は突き刺した剣に弾かれ、体勢を崩した。俺は剣を地面から抜き、剣を振るおうと剣を持ち上げた時、凛音の周り蹴りが俺の右側の脇腹に当たり、次の攻撃が来る前に俺が剣を振るい、奴に距離を取られる。くそ……後少しだったんだがな。なら、次はこっちからだ!
俺は、凛音に向かい走る。剣を持ち上げ剣を振るう。凛音は握り拳を作り、殴る体勢でいた。俺の振った剣は凛音の目の前で振られ、当たらない。これでいい、よし!
大剣なので一振りしただけでも体の軸がブレる。それを利用し、振った大剣に体を任せ、剣を軸に一回転するとアイツの腹を蹴る。これには凛音も反応出来なかっただろう。次…。
そのまま大剣を凛音の方向に振るう。アイツは体勢を崩していたにも関わらず、剣で俺の攻撃を防いだ。俺は、剣を押し込むが凛音も負けずと力を加えてくる。
「やるわね。貴方体付きはそこそこだから、もう少し重いのかと思ってたら、意外と柔軟なのね。いいわね。でも、良くわたくしが飛ばした水滴を避けたわね。今までのおバカさん達は全員くらってそれで終わりだったのよ」
俺は、自慢げに答える。
「あぁ、さっきのか。言ったろ?俺ら似てるって俺も似てる技使ってるから、それかな?と思って。それと普通の水滴ならやまなりの放物線を画いて落ちるだろ?でも、こっちに真っ直ぐ飛んできたから可笑しいなって思ってな。似てるって言うのは例えばこれとかな」
俺は、押し込むのを止め、上に高く飛ぶ。俺は、大剣を大きく反るようにして、振りかぶった。凛音は咄嗟にガードしたが、足場が凹んだ。俺の剣に纏っていた風を斬撃の様にぶっ飛ばしたんだ。凛音の顔は少し引き攣り、「良くやるわね」と言い苦笑いした。俺は、着地と共に凛音に剣を振るう。凛音はそれを躱し、距離を取る。
「この技は避けられるか?鱗弾」
俺が剣を振るうとそこから鱗の様な形をした風の弾が作られ、それらは凛音の元へ飛んでいく。
「水放」
凛音は透かさず水滴の弾を飛ばす。鱗弾と水放がぶつかり合い消えていく。その中でもぶつからずこちらに向かってくる弾もある。それは、簡単に避けられる。勿論、凛音も避けている。俺は、何回か剣を振り鱗弾を作り、飛ばし、自分も凛音の元へ向かう。凛音も同じ事を考えていたのだろう。同時に同じ動作をする。鱗弾と水放がぶつかる中アイツと俺の剣もぶつかり合う。
そして、戦いは数分も続いた。俺も凛音も息を切らしている……そろそろか。
「なぁ……、お互いにもう体力があまりねぇ……。最後に俺の必殺技をお見舞いしてやるよ」
俺は構えをとり、剣に今最大限の風を纏わせる。
「いいわね……必殺技って。わたくしも必殺技で終わらしてあげる」
凛音今まで見たことない構えをとり、剣に水を纏わせる。
「水龍玄よ。今、最大の力を!喰らいなさい水龍。水牙龍斬!」
「なぁ、相棒。ヘルクネフ・レイム。アイツを倒すぞ。暴れろ、風魘・懍月!」
剣を振った斬撃は、龍の形となり凛音に向かう。凛音も剣を振るうと、その水滴が集合し三本首の龍の形となって俺に向かってくるが、俺の目の前には俺の龍がいる。2匹の龍がぶつかると、冷気と水しぶきが風に煽られ、会場に広がる。
冷気で視界が悪い。俺は、手から力が抜け剣が落ちた。もう、立ってるので精一杯だ。
「……り、凛音は?」
徐々に冷気が消え始めると向こう側に人の影が見える。……倒れてなかったのか。凛音は身体中に無数の斬り傷がある。凛音も俺同様フラフラで立ってるのがやっとって所だ。龍がぶつかり、会場に広がった水滴を弾に変え俺は体力がなく、避ける事が出来ず受ける。痛え…。体のそこら中がデカい針で刺されるような痛みが来る。勿論、俺が受けるだけじゃねぇ。俺は吹き荒れる風を斬撃にして凛音の腕を斬った。凛音も避ける事出来ず、凛音は片腕が切断され切られた腕が吹っ飛んだ。お互いでお互いの技をくらった。
「………なんだ。倒れねぇのか……案外、タフだな……」
俺は、重い足取りで凛音に向かう。
「貴方も………こんなにくらってまだ倒れてなんて……なかなか、やる子ね……わたくしは…片腕切り落とされたからって…負ける訳にはいかないのよ……」
俺と凛音は最後の体力で拳をつくり、殴るが力が入らずお互いにパンチが当たらなかった……。
……スカしてんじゃねーよ……最後に……いいパンチ当てた……かった……ぜ。
ボヤけている視界には凛音が膝を折り倒れかけていた。俺はすぐ後に視界が暗くなった。
「両者ダウン。結果、この試合。引き分け!」
次は3話目です!
剣を変えた花里菜が戦います!
こんなんですが、見ていただいた人達の気持ちに応えられるように頑張るので、応援のほどよろしくお願いします。