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第三話:異世界の朝は清々しい

あぼーん……(゜□゜)


軽い気持ちで覗いたらお気に入りやら評価が凄いことに……(゜□゜;


み、皆様の期待に応えられるよう精一杯頑張ります(-_-;)



「ふわあ……」


朝日が差す中、俺は欠伸をした。

地面に横たわっていた自分の体が無事かどうか確かめながら、起き上がる。

俺は見事に無事だった。


やった。

やってやったぜ。

魔物がうろつく森の中で一夜を過ごしてしまった。

見たか、魔物ども。

俺の度胸の凄さを。

別に怖くなんかなかったぞ。

物音が聞こえるたびにびくっと震えることもなかったし、耳を塞いで縮こまることもなかったからな。


嘘じゃねえよ!

ほんとだからな。

決してへたれじゃないからな!


まあ、とにかくだ。

まずは安全確認しないと。


スキル、警戒を発動させて、周囲を探る。

昨日と同じく、全く魔物の気配を感じない。

ここまで露骨に気配を感じないとなると、俺の推論は案外、当たっていたのかもしれない。

運がよかった。

普通の一般人である俺の運も捨てたもんじゃないな。

そして俺は魔物たちがここら一帯に寄りつかない原因だろう泉に目を向ける。

相変わらず泉はどこから水が供給されているのかわからないが、一定の水位を保っている。


唐突に腹の底からくぐもった音が響いた。

腹が栄養よこせと叫んでいる。

残念ながら周りに食糧と成りうるものは見当たらなく、あるのは目の前の泉だけ。

だが、それで十分だった。

俺は泉のほとりに近づいて、しゃがみこむ。

そして泉に口をつけて、泉の水を昨日と同じようにがぶ飲みする。

泉の水が喉を通るたびに、体に力がみなぎっていく。

空腹が、渇きが、欲求が満たされていく。


「ぷはっ!」


うまい。

どうしてこんなにうまいのかわからないが、とにかくうまい水だ。

何故、こんな泉が魔物たちに避けられるのだろうか?

考えれば考えるほどわからない。

魔物が近づけない聖なる泉だとでも言うのか?

ここは異世界だ。

案外、ありえるかもしれない。


「にしても綺麗だな」


泉の水は相変わらず透き通っている。

不純物など一切ないような透明度だ。


「ん?」


泉の底に何かが見えた。

目を凝らして、よく見てみる。

それは拳ぐらいの大きさがある珠だった。

綺麗な琥珀色した珠だ。

それはちょうど泉の中心にあたる位置の底に埋め込まれるようにしてあった。

宝石だろうか?

そういえばこの世界では俺は一文無し。

目の前に高く売れそうな宝石があるのなら、もらわない手はない。

だが、躊躇いはあった。

だって明らかにあれは人為的に泉に埋め込まれたものだ。

じゃなければ、何できれいに泉の中心にあたる位置の底に埋め込まれてるんだよ。

意味ありげすぎるだろ。


もしかしたらあの珠が魔物が近づけない理由なのかもしれない。

他に怪しいところは見当たらないし。


やっぱり取るのはやめておこう。

断じてへたれではないぞ。

これは戦略的撤退なのだ。

触らぬ神にたたりなしだからな。

俺は自分に言い聞かせながら、泉から離れようとした。

しかし、俺は昨日で運を使い果たしたのか、不運にも足を滑らしてしまった。


「あっ」


気がついた時には後の祭り。

倒れる先にあるのは泉。

俺は為す術なく、泉に落ちた。


「おわあああっ! 溺れるぅーって、あれ?」


浅かった。

いや、浅いのは分かっていたけど、目測で予測し水位より浅かった。

温泉並みの水位である。

座っていても、余裕で首が出る。

何だ、慌てて損した。


「うわあ、服がびしょびしょだ」


俺は手をついて立ち上がろうとする。


「!?」


途端、手から強烈だが心地よい何かが流れ込んできた。

驚いて、反射的に手を見る。


「あ」


あの琥珀色の珠に手が触れていた。

やっべ!!

やっちまった!!

すぐさま手を引っ込めて、泉から出る。


『【スキル】超魔力を手に入れました』


『【ユニークスキル】解放条件:【スキル】超魔力を入手する、の達成を確認しました』


『解放条件が達成されたことにより【ユニークスキル】(てのひら)の欲望が解放されました』


「んん?」


陸に上がった瞬間、またあのアナウンスが聞こえた。

解放条件がなんたらかんたらとか言ってたけど。

とにかくステータスを見てみよう。



【名称】神埼直人

【Lv】1

【種族】人間

【職業】無職

【ユニークスキル】

人の知恵 掌の欲望 ???

【スキル】

洞察 翻訳能力 警戒 超魔力



おお。

ユニークスキルの一つが解放されてる。

掌の欲望?

なにそれ、おいしいの?


冗談はさておき、真面目に何だろう?

人の知恵に続いて、またよくわからないスキルだな。

名前からして掌に関係があるんだろうが。

後回しだ、後回し。


次は普通のスキルだ。

超魔力っていうのが増えてる。

たぶんそのまんまだな。

さっきから体が暖かい何かに満ちているような気がするし。

きっと魔力なんだろう。

超がついてるだからすごいに違いない。

ようやく戦いに役に立ちそうなスキルを手に入れたな。

まあ、スキルが増えたのはいいことだが……。

俺は泉にある琥珀色の珠を凝視する。


あれに触れたからスキルを入手できたんだろう。

やはりただの綺麗な珠じゃなかったらしいな。

あれに触れて、超魔力を入手できたところから考えると、魔力の塊か何かだったに違いない。

今後も不用意に触れるのはよしておこう。


「へぶしっ!」


思わずくしゃみが出た。

そういえば泉に落ちて、びしょびしょだったんだ、俺。

とりあえず服を脱がないと風邪を引いてしまう。

でも脱いだところで服はこれしかないし、乾くまで待ってなんかいられない。

朝っぱらからついてないないなあ。

いや、スキルが入手できたし、おあいこか?


「へぶしっ!!」


やっぱりおあいこじゃない。

あーあ、せめて火でもおこせれば。


ん?

待てよ。

この世界って魔力があるんだよな。

だったら魔術や魔法があるんじゃないか?


「ものは試しだな」


目を閉じて、自分の体を意識する。

さっきから感じている体中に満ちたものがさらにはっきりと感じとれた。

これが魔力なのだろう。

きっと、恐らく、たぶん。

その魔力らしきモノを指先に集中させるように意識してみる。

が、なかなか思うようにいかない。

四苦八苦して何とかソレを指先に集中させる。

とはいえちょっと集中させすぎた気がする。

指先は煮えたぎるように熱く、今もなお、ソレが指先に集まっていくのでさらに熱くなっていく。


随分、魔力を込めてると思うんだけど、まだまだ余裕がある。

超魔力は伊達じゃないらしい。


まあ、多くてもいいや。

初めての魔術、いや魔法か?

どっちでもいいか。

とにかく初めてなんだ。

景気よくぶっ放すのもいいだろう。

俺は巨大な火炎が指先から放射されるのを想像して、むむっと念じた。

もしいきなりこんな大技が成功したら、遠距離無双も夢じゃない。

何かテンション上がってきた。


よっしゃあ!

唸れ! 俺の指先!


俺は最初の目的をすっかり忘れて、さらに念じた。

指先の熱さがまるで爆散するかのように外へと放出されるのを感じた。

直後、濃密な何かが場に溢れたかと思うと、すぐに四散していった。

今の感じ……。

あれは俺の魔力に違いない。

込めた魔力が膨大過ぎたのだろう。

そんなささいなことはどうでもいい。

俺は目を開けた。

目の前には森を焼き尽くすようなまさに龍と呼ぶべき燃え盛る巨大な炎――――。

ではなく。

指先から出ているのはマッチ棒もびっくりなほどか細く、吹けば一瞬で消えるような火だった。


『【スキル】火魔術Lv1を手に入れました』


どうやら遠距離無双の夢は遠いようだ。





だが、俺は知らない。

些細なことだと無視した、あの四散した膨大な魔力がこの世界の者にとってどれだけ異常なものなのか──。


そして、それを感じ取った者たちがどんな行動に出るのか────。


俺は、知らなかったのだ。





ユニークスキルや魔術などは次回にて解説するつもりです。


ご意見、ご感想をお待ちしております。



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