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五章・本心

―虹龍。この者達がお前の護衛だ。仲良くするように。

 王が、父親がそう言い、目の前にいる者を示した。虹龍が、王の示した方を見ると2人の少年がいた。

 2人とも叩頭礼をしている。

―面を上げなさい。

 王の言葉で、2人が顔を上げた。

 1人は白い髪の、虹龍より少し年上の少年。もう1人は黒髪の、虹龍と同い年くらいの少年。2人とも、美少年という言葉が良く似合う。

 白い髪の少年が、正座状態の足を膝立ちにし、手を拱手させた。

―壁雪、字は白龍と申します。こっちは弟の雲、字は黒龍。


 それは、11年も前。虹龍と黒龍は4歳、白龍は7歳の時だった。



「白龍…」

 もう何回、彼の名を呟いただろう。瞳からは次々と涙が溢れ出ている。

 11年もの間、自分を守ってくれた。思い出が沢山ある11年間。いつも白龍と黒龍が、その思い出の中にいる。白龍に、怒られたこともあった、呆れられたこともあった。もう、自分なんか護衛してくれないかも、と思うほど、彼を怒らせたこともあった。でも彼はいつも自分を守ってくれた。

 1度だけ、刺客によって送り込まれた女官に殺されそうになった。女官はかなり強い殺し屋で、虹龍は危機一髪という所だった。そこを助けてくれくれたのは、まぎれも無く白龍と黒龍だった。その時、白龍は腕に切り傷を負った。深くはなかったが、二の腕を5寸(約15センチ)位切った。痛いはずなのに、白龍は自分の腕より、無傷の虹龍を心配していた。

 虹龍は白龍の事が好きだった。

  としてではなく、友達として好きだった。

 しかし、とてつもなく悲しい。

 忘れていたのだ。虹龍はいずれ誰かと結婚する。白龍もいずれは誰かと結婚する。2人は 同士ではないのだから、当然の事だ。いずれは離れていく。白龍ももう18歳。いつそうなっても、おかしくはないはずだ。その相手が晶華でも。

「虹龍は、白龍兄のことが好きなんだな」

 黒龍が言った。

「え?」

「そういうことだろう?だから、白龍兄が護衛でなくなって、違う女の護衛になって悲しい。それって、白龍兄のことが好きってことじゃん」

 黒龍は微笑みながら言う。普段の黒龍からは想像できない、落ち着いた笑みだ。

「そんなことはないよ…」

 心の何処かで

―玩具をとられた子供と同じだ、

と言う声がする。

「じゃあ、白龍兄が晶華に盗られちまっていいんだな」

「いいよ」

「いなくなっちまっていいんだな」

「…いい…よ」

「他の女と一緒になって、お前の事なんか忘れちまっていいんだな!」

「…い…い」

 虹龍には言えなかった。声は涙にかき消され、その場に座り込んでしまった。

「虹龍…」

 黒龍は、虹龍を抱きしめた。

「自分の気持ちに正直になれ。意地張んな。本当に白龍兄のこと好きなら、取り戻せ。俺もそれに協力する」

「黒…龍…」

 虹龍は黒龍にもたれ掛かって泣いた。

「…ごめん…本当に」

 黒龍は、虹龍のことが好きなのに、虹龍に協力してくれる。黒龍にとっては酷なことだろう。

「よっしゃ。善は急げだ。行くぞ!」

 黒龍と虹龍は立ち上がった。

「うん」

 虹龍は頷く。

 2人は部屋から飛び出した。大切な人を取り戻しに。

 しかし、その計画は一瞬にして邪魔された。

「聞きましたよ。公主様、壁黒龍」

 言ったのは、部屋のすぐそばにいた片手に長い棒を持った兵士。

 火官・王直属の軍の兵士だ。

「公主様、壁白龍のことが好きなのなら、余計逢わせるわけにはいきません」

 兵士の声は淡々としていて躊躇がない。

 虹龍と黒龍は、驚愕に目を見開いた。


 そのころ、白龍は赤家邸、つまり晶華の家に連れてかれていた。

「白龍」

 白龍を見るなり、晶華は彼に声をかけた。その口調は、虹龍と話すときとは違い、甘い女の声だった。

「何故、こんな事をした」

 白龍の声には、愛情の欠片もない。多分、賄賂のことを知っているのだろう。

「決まっています。貴男を手に入れたかったからです」

 晶華は、白龍の胸にしなだれかかる。

「好きよ。白龍…」

お久しぶりです。星蘭です。

とうとう、虹龍が自分の本当の気持ちに気づきました。

恋愛ものは苦手なので、書くとなると大変です。

まぁ、話もだんだん終わりに近づいてきました。

関係ない話のようですが、私が相手役を白龍にしたのは、私の好みのせいです。

年上のクールな人が好み…。


それでは、また次回もここでお会いしましょう。

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