四章・親友
「うっく…ひっく…」
部屋の中に、虹龍の嗚咽がもれる。
「……」
黒龍も、どう声をかけて良いのか分からず困っている。
白龍。彼はもちろん、大罪など犯していない。まるっきり、だれか(その現場を見たという女官か?)の、勘違いだろう。
「なんで、その女官の言を信じて、俺たちを信じないんだ…。白龍兄を護衛につけて、お前を守らせるのが、普通じゃないか!?」
黒龍が言った。
「わっ私が…鬼門国へ行くのに、邪魔だから…厄介払いもかねて、無理矢理…」
虹龍の声は、しゃくり混じりだ。
「そんなの、誤解が解ければ一発なのに!」
黒龍が、怒鳴った。
「多分」
と、虹龍のものでも黒龍のものでも無い声がした。
部屋の扉が開き、昴零が入ってきた。
「昴零兄様」
「虹龍、黒龍。答えは簡単だ。裏でとある力が動いてる」
昴零の声は硬い。
「とある力なんだそれ?」
黒龍が聞いた。
「賄賂だ」
「賄賂ぉ!!!?」
虹龍と黒龍が、同時に言った。
「どういう事なのよ」
「父上が賄賂を貰って、白龍を捕まえたらしい」
「そんなこと言って、いいのかよ」
黒龍の言葉には、礼儀も何も無い。
確かに、王に刃向かえば昴零の地位も危ない。太子は昴零だけではない。第二太子に王位を継がせることもできるのだ。昴零が今回の事を虹龍に言ったと分かれば、王がそれをする可能性も十分ある。次期王とまで言われた昴零が、その地位から落とされる。それは、昴零自身にとって、絶望的な事だろう。
「私は、3匹の龍がじゃれるのがもう見れないとなると悲しいのだよ」
昴龍は、苦笑する。
3匹の龍。それは虹龍、白龍、黒龍の事だろう。3人の名前には、「龍」の文字が入っている。
昴零は真面目な顔になり、虹龍に向き直った。
「白龍は、その賄賂を渡した者の護衛にされるそうだ」
「誰が…」
言いかけて、虹龍はハッとした。
あの庭で、晶華が言っていた。
−あたしが何しても、恨まないでね
(まさか…)
虹龍は、恐る恐る聞いてみる。
「晶華…?」
「知ってたのか?」
昴零が、驚いた様な声をだす。
虹龍が目を見開いた。
(…そんな…)
虹龍は駆けだした。
庭へ、晶華の所へ。
庭へ行くと、晶華がいた。
「晶華!!!」
虹龍は、叫んで駆け寄る。
晶華が、怠そうに振り向いた。
「何?」
声も、何処か怠そうだ。
「何って…どうして賄賂なんて…!」
「ああ、その事か」
晶華は、薄笑いをしながら言った。
「その事って、そんな簡単に…」
「五月蠅いなぁ」
晶華は、嫌そうに虹龍の顔を見る。
「別にいいじゃない。あんたにとって、白龍さんは只の護衛。でも私にとっては違ったわ。ずっと、ずっと好きだった。それで」
晶華は、眉間に皺を寄せる。
「あんたがずっと嫌いだった」
晶華の言葉に、虹龍は絶望を感じずにはいられなかった。
「公主様、公主様って皆から慕われて、美人で王族で明るい性格で皆に好かれてて」
晶華の口調は、段々荒々しくなっていく。
「わたしは綺麗じゃないし、たいして地位のある家庭の出じゃないし、名前が「陽」っていうのに全然明るくないって陰口叩かれて!!」
キッと、晶華は虹龍を睨む。
「聞くのはいつも『晶華の友達の公主様』の良い噂。もう沢山よ!!」
晶華は踵を返して歩み始める。
「でも、護衛っていう近い所に居れば、手に入れられるかもしれないもの」
フンッと鼻で笑って、晶華は行ってしまった。
後には、虹龍だけが残された。
ど〜も、星蘭で〜す。
今回、皆さんは晶華を少し嫌いになった事でしょう。
嫌いになってくれると、私としては本望です。
なんですか?話の中に1人は、ヤナ奴もいて良いかな〜って。
微妙な雑談ですが、皆さん私の事男と女、どっちと思ってます?「星蘭」って、ちょっと男の人の名前っぽいかなと、私は思ってます。
念のために言っときますが、私は女ですよ。
微妙な雑談2
私は「幼い日の思い出」の作者、李先生と、歳も同じなら、学校も一緒。この「小説家になろう」も、彼女に教えてもらいました。
そんな、最近の彼女との会話。
星)多分さ、私の事男だと思ってる人いるよ。「星蘭」って男っぽくない?
李)それなら、私の事も「すもも」じゃなくて「り」って思ってる人いるよね。
星)「李」って、よく中国人の名字にあるよね。「李」と「星蘭」合わせて、「李星蘭」って、人が1人出来ちゃうよ。
…何言ってんだろうなって思います。
でも、本当に居そうなのが恐い。