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第76章 秘密のプロトコルと繋がれた竜

文化祭二日目の朝、2年A組のパビリオンは緊急の秘密会議室と化していた。田中がプロジェクターに初日の最終統計を映し出すと、教室中に感嘆のどよめきが走る。数字は驚異的だった。なんと「ラビット&ジェントルマン」は、営業開始からわずか数時間で新黎明学園の全生徒の90%以上を動員していたのだ。商業的大勝利に興奮する10人の女子生徒たちは直感した。東京のセレブどもは、この非日常空間にならいくらでも金を支払う用意がある。最高売上記録の絶対的更新には、メニューのドラスティックな拡張が不可欠だった。「金持ちどもが仕掛けに嵌まったわ」サクラが好戦的に瞳を輝かせ、ホワイトボードにマーカーを走らせる。「でも、普通のドリンクやパフェはもう通過点よ。利益を最大化するために『裏メニュー』を導入するの。ファンサービスのためなら数百万をドブに捨てるような奴らのための、隠された超高額ポジションね。だけどリュウ、あんたの嫉妬は本気で客を全員追い散らしかねないわ。だからクラスとして手を打たせてもらったの。安全対策であり、特別な演出でもあるわ。覚悟しなさい!」女子たちは満場一致でこのアイデアを支持した。新調した人間工学チェアの快適さをすでに満喫している百合子先生は、妹風のドールメイクの奥から無言で満足げに頷き、教室の近代化のためにあとどれだけの便利グッズが買えるかを脳内で計算していた。個別のカードに達筆なカリグラフィーで記された新しい裏メニューは、黄金世代の財布に対する洗練された挑戦状のようだった。

• ラビットへのイチゴ給仕 ―― ゲストが瑞々しい果実を購入し、選んだホステスに手ずから食べさせる。ホステスは唇だけで優雅にそれを受け取る。

• ラビットの頭を撫でる ―― 5,000円

• ラビットを撫でる(頭+背中) ―― 10,000円

• ラビットを撫でる(頭+背中+「尻尾の付け根」) ―― 500,000円

• ラビットが膝の上に横向きに座る ―― 500,000円

• ラビットが膝の上に正面を向いて座る ―― 1,500,000円

• 執事があなたを2分間お姫様抱っこする ―― 10,000円(熱狂する上級生女子のために特別に用意されたポジション)

このメニューにおける最大かつ記念碑的な障壁は、教室の隅で仕立ての良いタキシードのボタンを物憂げに留めている男だった。朝香竜之介。田中が新しいカードを提示したとき、竜之介はそれに一瞥をくれただけだった。その氷の瞳が恐ろしいほどの細さに狭まり、放たれた竜のオーラがあまりに重苦しかったため、厨房の佐藤は本能的にギョーザの包丁を落とした。確実だった。もしどこぞの財閥の御曹司が、百合の白いシルクバニースーツに触れるため、あるいはあろうことか彼女を己の膝に座らせるために50万や150万を叩き出そうものなら、竜之介は文化祭のルールを破るどころか、パビリオンを古流の血の海に変えるだろう。竜之介は貴族的な仕草で眉をひそめ、内心で身構えながら男子たちの物理的な突撃を迎え撃つ準備をした。彼の古流剣術の経験をもってすれば、佐藤や健太に一歩も譲るはずがなかった。しかし、襲撃は起きなかった。女子たちの作戦は遥かに狡猾だった。サクラと東国葵が瞬時に彼との距離を詰める間に、健太が衝立の裏から巨大で重厚なアクセサリーを転がしてきた。床を傷つけないよう黒いベルベットで包まれた、重く鈍く光る鋼鉄の鎖だ。電光石火の早業で、サクラはタキシードの内側にある彼の腰へ頑丈な革ベルトを丁寧にかつ強固に締め上げ、葵が鈍い金属音とともに重厚なカラビナをパチンと噛み合わせた。鎖のもう一端は、教室の年代物の支持柱に完全に固定されていた。竜之介は激しく身をよじり、容易くその拘束を食い破ろうとしたが、まさにその瞬間、ハートマークのハイソックスを履いた百合子先生がこれ見よがしに鍵穴でキーを回し、パビリオンの入場扉を大きく開け放った。廊下にはすでに、最初の女子客や報道陣の巨大な人だかりができており、カメラのレンズが一斉に教室の奥へと向けられる。少年は硬直した。全校生徒の目の前で大暴れしてクラスメイトを投げ飛ばし、クラス全員が心血を注いだパビリオンの評判を失墜させることは、彼のプライドと冷徹な計算が許さなかった。鋼鉄の繋ぎ飼いは、鈍く震える響きを伴って竜之介と柱の間で張り詰める。鎖の長さは田中によってミリ単位まで数学的に計算されていた。彼が自身の「執事エリア」を自由に動き回り、女性客のテーブルをもてなし、完璧な魅力を披露することは許すが、ホステスたちがチェス盤の陣形を敷いて働くゲストエリア側へは物理的に一歩も近づけない仕様になっていた。竜之介は歯の隙間から重い息を吐き出し、その瞳に恐るべき冷徹な独占欲の炎を宿らせた。しかし、パビリオンにとってこの演出は、ファンサービスの絶対的な最高傑作となった。仕立ての良いタキシードを着た気高く手の届かない美貌のホストが、まるで手懐けられた危険な猛獣のように文字通り鎖に繋がれている姿は、来店した客の目には耐え難いほど魅力的に映ったのだ。竜之介は弓道の呼吸で息を整えた。腰の鎖がかすかにチャリンと鳴る。女子たちの戦術的な罠の前に、今の自分の冷徹な計算が通用しないことを悟った彼は、ただ僅かに目を細めるにとどめた。その唇に、バーカウンターの裏で必死に身を隠している佐藤と健太に向けられた、獰猛な笑みが浮かぶ。「いいだろう。だが、レジが閉まるのは午後6時整だ。そして、この錠前が外された瞬間……その劇用小道具を使った君たちのイニシアチブについて、非常に詳しく話し合おうじゃないか」佐藤と健太は引きつったように唾を飲み込んだ。竜之介はホストとしての完璧な優雅さで身を翻すと、鎖を限界まで張り詰めさせ、入り口から押し寄せる最初の熱狂的な客たちへ向けて気品に満ちた一礼を捧げた。数百万のチェク(会計)と繋がれた竜を武器にした文化祭の二日目が、公式に幕を開けた。

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