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1.誤解
「…何をしている」
アレクシスの視線が、部屋をゆっくりと見渡す。
ブルグレーで統一されたベッドルーム
レース。
クリスタルの置物。
甘い香り。
そして。
風呂上がりのアンジュ。
夜会ではキリリと高く結われていた豊かな金髪は、今はうさぎ耳のヘアバンドから流れ落ちている。
いつもはアイラインで強調した挑戦的な目元は、いまは大きな碧の瞳が際立っている。
熟れた果実のような唇は驚きでポカンと開いている。
無防備な素顔が、かえって危うい色香をたたえている。そして驚くほど可愛い。
その腕には──
一升瓶と干物。
理解できない光景だった。
アレクシスの胸の奥で、何かが音を立てた。
(男を部屋に隠している)
頭に血が上りロジックの破綻した思考がそう結論づけた瞬間。
感情が、爆発した。
アンジュの腕を掴む。
強く。
ベッドに押し倒す。
「誰を隠してる。」
低い声。
アンジュの瞳が、大きく見開かれる。
怯え。
その瞬間。
アレクシスは我に返った。
手を離す。
沈黙。
「……すまない」
アンジュは跳ね起きると、そのまま隠し部屋へ逃げ込んだ。
床には。
一升瓶。
イカの干物。
チーズ。
シュールな光景だけが残る。




