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「お前さえいなければ」と言われたので死んだことにしてみたら、なぜか必死で捜索されています  作者: 水谷繭
16.決別

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16-2

「どうして……」


『なにこれ! アメリアがやったの!?』


 私の肩で、シリウスが怒鳴る。


 シリウスの言葉を受けて、ルークさんが苦々しい表情で言った。


「おそらくそうだろうね……。たくさんの川や森を作っていたなら、このくらいの数の精霊は必要だったと思う」


「ひどい……」


 精霊たちは明らかに生気のない顔でだらりと手足を下げている。もう生きていないことは明らかだった。どの精霊の顔も苦しそうに歪んでいる。


 精霊の中には、体の大きな者も、まだ幼体に見える小さな者もいた。きっと彼らは人間を信じてそばに来て、力を貸そうとしてくれたのだろう。それを利用されたのだ。


 精霊が人間に加護を与えるのは、全て精霊たちの善意によるものだから。


 もし本当にアメリア様が森や川を作るためにこの精霊たちを死なせたのなら、決して許されることではない。


「アメリアに話を聞く必要があるな」


 エリオット様は、険しい表情で精霊を見つめながらそう言った。


 薄暗い森には、ただただ禍々しい気配だけが満ちていた。



 それから私たちは、アメリア様の隔離されている部屋まで向かい、その扉を叩いた。


 はじめ、エリオット様が声をかけると、アメリア様は大きな足音を立てて駆けてきた。


「エリオット様! 来てくれたんですね! 違うんです、あれはセラフィーナ様とルークとかいう男の罠だったんです! 私は何もしてませ……」


「アメリア、これはどういうことだ?」


 エリオット様が、森から運んできた精霊の死体を見せる。


 アメリア様の顔がさっと青ざめた。


「な、なんですか、これ? 精霊の死体なんて物騒な……」


「殺したのはお前じゃないのか? この精霊だけじゃない。神殿の前の森に精霊の死体がいくつも折り重なっていたぞ」


「そんなもの、私は知りません……!」


 アメリア様はぶんぶん首を横に振った。


「アメリア様、あなたは精霊を犠牲にして森や川を作っていたのですか?」


 思わず尋ねると、アメリア様が不愉快そうにこちらを見る。


「やっていないといっているじゃありませんか。なんなんですの? 本当はセラフィーナ様こそ、汚い手段で魔法を使っているんじゃありません? きっとそうですわ。それでなかったらあんな強い力が使えるはずありませんもの。そうだ、その精霊の死体だってあなたがやったんじゃ……」


「アメリア。お前に聞きたいことがある。お前が力を送っていた土地は、ちょうどセラがいなくなった時期から荒廃しはじめたよな。あれは一体どういうことなんだ?」


 エリオット様は冷たい声でアメリア様の言葉を遮る。アメリア様は途端にしどろもどろになった。


「それは……私にも理由はわかりませんが……、国に何らかの異常が起きているからではありませんか? 私に責任を問われても困ります」


「それに、セラがいなくなってから新たにお前が力を送った場所、そこの川はすでに涸れ始めていると聞くぞ。それだけじゃない。セラがいなくなって荒廃し始めた土地にお前が再び力を送っても、すぐに元通りになってしまったと報告がきている」


「……それは……!」


 アメリア様の頬が赤く染まる。


 エリオット様は静かに尋ねた。


「アメリア。お前の上げた数々の功績は、セラの力を利用したパフォーマンスだったんじゃないのか?」


 エリオット様に尋ねられ、アメリア様の表情がみるみるうちに歪んでいった。


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